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#078 隔週の麺線

火曜日の午後は隔週で講義がある この講義がある日のランチはいつも決まって麺線だ 

麺線というのは台湾のローカルフードの一つで ソーメンのような細い麺を鰹ベースのとろみ出汁で煮込んだものだ 牡蠣やモツが乗っていることも多く わたしがいつも食べているのはモツが乗っているものだ

午前の講義を終えたら 1フロアー下にある午後の講義の教室に向かい 荷物を置く 貴重品だけを持って昼を買いに行くスタイルが一番効率が良い この教室棟からは学食まで行くのと外のお店に行くのが距離的にあまり変わらないので この日は学食ではなく外に買いに行く 大学の正門を出て信号を渡ると複数の飲食店が並んでいて 昼になると ランチを求めて学生はもちろん周辺に勤めている人や住人らが集まってくる

わたしは比較的並ぶ時間が少なく 安くておいしいという理由で麺線を買いに行く
麺線のお店は日本人にも有名な西門のお店とその系列である忠孝復興の店舗で数回食べたことがあるくらいで 実は麺線自体 日頃からよく食べるわけではない
大学の正門前にあるこのお店も存在自体は知っていたけど試したことがなかった

大学に入ってからクラスメイトに誘われて初めてこの店で食べた麺線はとても美味しかった 麺線てこんなにおいしいんだっけ? と抜け落ちた記憶を探すのに少し時間がかかったので この時の感想を新しい記憶として保存しておいた 

麺線は有名店でなくてもおいしいものだということがわかり 安いうまい速いのローカルフードは学生にはありがたいので その日以来ちょくちょくこの店を利用するようになった とはいえ毎週ランチに麺線というのも飽きそうだし 隔週ぐらいがちょうどいい 麺線を買い終えたらその足で周辺のコーヒーショップやコンビニなどでコーヒーをかって教室に戻るのが定番のコースだ

麺線には基本的にパクチーがトッピングされているのだが わたしはパクチーが苦手なのでパクチーはいらないとさきに伝える必要がある ついでに唐辛子も抜いてもらう 伝え方は不辣不菜である 正しくは不要辣椒跟香菜であるが 台湾の飲食店での注文時にはこうした略語が飛び交うことが多く 特に不辣という表現は一般的でレストランで辛くないものを希望する際にもよく使う ただ不菜という表現はあまり使う機会がないが 葉物類あるいは野菜全般に使える この店で葉物はパクチーだけなので不菜=パクチーはいりませんということになる

唐辛子とパクチーは抜いてもらうが にんにくのペーストとお酢はしっかりと入れてもらう 容器いっぱいに入れられた麺線はレンゲを入れるだけでこぼれてしまいそうだ 麺線は麺料理だが麺の長さは短めでスープがかなりとろっとしているので箸ではなくレンゲで食べる 初めて食べた時はこれが難しかった
とろみスープといえば わたしは猫舌なので麺線を食べるのは一苦労だ それでもそのおいしさにはかなわない 少しづつレンゲに取り 丁寧に息をかけて温度を下げてから口に含む それでもまだ熱いがおいしさを感じられる 出汁のスープは細麺にしっかりと絡んでいて口の中いっぱいに香りが広がる パクチーはなくとも少し多めに入れてもらったお酢とにんにくのペーストがアクセントになって もったりしすぎないのであっという間に食べ切れてしまう

麺線を食べ終わる頃にちょうどいい温度になったコーヒーを飲むとその日のランチは終了である 教室で講義までの間 台湾人らしく机に伏せて昼寝をしたり 課題を進めたり SNSをチェックしたりして過ごす

何度か麺線以外の選択肢を考えたりもしたが 隔週の火曜日はどうもこれが定番化されていて 今期はあと数回だしこのまま2週間に一度麺線を食べるコースが続きそうだ 


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