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ニッポン景観論 アレックス・カー著

 アレックス・カー氏の著作のファンである。
 氏は米国生まれで、今年72歳。昭和20年代だから同世代だ。
 日本の自然、文化芸術を愛し評価してきた東洋文化研究者。
 日本の古民家を購入し、その保存と活用を実践。更に古民家再生コンサルトンとして活躍。日本の美術に造詣が深く、消えていく屏風や掛け軸など美術コレクターとして、現場経験を積み上げた人である。

 最初の著作が「美しい日本の残像」(1993年刊)。

 この作品に感銘を受けた。私の古民家保存と活用のベースになっているかもしれない。
 この著作で美しい日本の景観が崩れ、日本の民家や美術が失われることへの警鐘を鳴らしていた。

 その後の「犬と鬼」(2001年刊)では、公共事業による自然破壊を痛烈に批判し、早く方向転換すべきと提案している。

 今回取り上げたのは「ニッポン景観論」(2014年刊)。
 10年前に刊行された著書である。

 私も日常的に気にしている里山地域の景観も変貌しているからである。
 この本は全国各地で日本の景観を写真撮影し、美しい日本の姿が壊されていくことへの警鐘を鳴らし、再び美しい景観を回復するための提案をしている。
 ビジュアルな著書なので、読みやすい。

 日常的に見慣れた風景は、醜悪なものでも慣れてしまうのか。何も感じなくなってしまう。怖いものである。

 私の里山風景もソーラーパネルの設置が急速に進んでいる。山の中腹が削り取られてソーラパネルが張り付けられている。
 その痛々しい景観もだが、大雨時の災害発生につながらないかと心配になる。
 10年前の著作だが、現在も日本の景観は悪化している。
 是非、読んでいただきたい著作である。

#今年のベスト本

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