オタクは行間が読めない
「言外の意味」という表現がある。英語ではimplication、あるいはconnotationと呼ぶ。
オタクというのはこの「言外の意味」、あるいは「行間」というものが絶望的に読めない。
字面通りにしかことばを追いかけられないのだ。
まぁ国語のテストの点数は驚異的に悪かったに違いない。だから「オタク」なんて非常識な蔑称を平気で名乗っていられるのだろう。
皆が知っている例で言えば、かつて「京アニ事件」の時僕が言った「ナンマイダー」発言。
あの時も驚き、呆れ果てた。
僕はあの時、「全然関係者でもないのに事件に首突っ込んでナンマイダー、そんなことを平気で行い、あまつさえそれを新作の宣伝に使うとは何事か!」と、新海誠を痛罵した。
ところがだ。
「ヤマカンこそ事件直後に現場に急行し、1スタに向かってナンマイダーをしたじゃないか!!」と言われた。
もうこんなバカ相手にするのも無駄だが、敢えて反論すれば、僕は当日偶然関西に向かっており、途中事件を知り、現地でやる仕事を全部キャンセルして、翌日、やはり見ておこうとあの1スタに赴き、花を手向け、手を合わせた。
それを中国のTV局が生中継していたのは誤算だったが……。
まぁそれはよしとして、僕は実際に現場に向かって、1スタの前で花を手向け、まだはっきりせぬ被害者に「ナンマイダー」した。
一方で新海誠はもちろん現場に行くことなど全くなく、公開初日の『天気の子』の宣伝として日テレ(だったかな)の生放送に出演し、多くのカメラ、スポットライトの向けられる中でしれっと関係者ヅラで「ナンマイダー」と呟いた。
最初言った通り、オタクは「言外の意味」が読めない連中だ。
「実際現場へ急行し、ナンマイダーをしたのはヤマカンじゃないか!」そんな声が上がった。
未だに信じられないのだが。
ただ、この新海の「現場に通うこともせず、そこにある人々の様々な想いを一瞥だにせず、ただ恰好だけ『ナンマイダー』を呟く」というどうしようもない悪質な偽善性は、やがて次作『すずめの戸締まり』で極まることになる。
僕はその時、彼に慈悲の心などまったくないと確信した。彼にあるのは「慈悲深い自画像」の懸命な構築意欲だ。
次のローマ法王の座でも狙っているのだろうか。早くバチカンに行け。アニメには戻って来るな。
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