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第4回 巨大観音のいる風景を再現したい(半田カメラ)

巨大観音が好きです。

「巨大観音」とはつまり、巨大な仏像「巨大仏」をさらに細分化した、巨大仏の中でも観音さまのみを指す、私がこの上なく好きな四字熟語です。

「細分化」の部分を少し詳しく説明します。多くの人が思い浮かべる仏様とは、頭がボツボツしているイメージですよね。あのボツボツ頭は悟りを開いた最高位の存在の証で、ボツボツしている方々を「如来」と呼びます。観音さまは「如来」の下の「菩薩」というポジションで、悟りを開くべく修行中の身。ですから観音さまは如来に比べより人に近い存在なのです。人っぽい感じなのに、巨大。これが巨大観音のいる風景をさらに際立った光景にしているのではないか、と私は勝手に分析しています。

今回はその際立った光景を例をあげ、その光景を切り取りインテリアとして再現してみよう、という…毎度のことながら、まったく役に立たない内容ですが、どうか好奇心優先でご覧いただければと思います。

巨大観音のある「際立った光景」の最たるものと言えば、ここではないかと思います。こことは神奈川県、鎌倉への玄関口でもある大船駅。ホームの上からのぞくのは大船のランドマーク的存在の巨大観音像、大船観音です。

地元の人々にとってこれはごくごく日常の光景です。ですが前知識ゼロでこの光景に出会ったら、どうでしょう。電車を降り、ふと見上げた先に真っ白な巨大観音。間違いなく衝撃度Aランク判定です。

大船観音のある光景が衝撃的なのには、いくつかの理由があると思います。まず前述したように観音像であるがゆえ、より人に近いリアルさと妖艶な美しさがあり、かつそれが尋常でなく大きいということ。そしてもうひとつ、外からは胸から上しか見えておらず、見えないその下がどうなっているのか解らない、漠然とした不思議さがあるということです。

見えない観音さまの胸から下はどうなっていると思いますか?先ずはその答えを探しに、山の上にある大船観音寺に行ってみましょう。山の上とは言え、大船観音は国内有数の駅近仏件。大船駅から徒歩十数分でその謎は解けるのです。謎を謎のままにしておくのは体に良くありません。

大船駅西口にあるスカイデッキを渡り、エレベータを降りて小道に入ると、そこはもう大船観音寺の入口です。そこからつづく坂道を数分登れば山門が見えてきます。山門をくぐり右手に進むと街を一望する展望スペースがあり、つい眺めに気をとられてしまいますが、振り返ると不意打ちのように石段の先に観音さまが現れ、一瞬思考が停止します。

石段の先に現れたのは規格外に大きい観音さまのお顔。何度も大船観音を参拝している私ですが、わかっていてもこの場所に立つとドキッとします。

ここまで坂道を登って来て、さらにまた石段を登っているのですから、鼓動が高鳴るのは当然のことです。ですが単にそれだけではありません。巨大な観音さまがだんだん近づいてくる非日常の状況にドキドキするのは、私だけではないはずです。とにかくなんだか平常心ではない感じで石段を上って行くと、とうとう見えなかった観音さまの全貌が姿を現します。

それがなんと胸像!

人に近いリアリティのある微笑みで目前に現れた大船観音は、胸から上だけで高さ25.39 メートル!単純に一般的な建物の1階を3メートルとするならば、8階建てくらいの高さだとご想像ください。スケール感が少しはお解りいただけるでしょうか。遠くに見付けたときの衝撃とはまた違う種類の、二度目の衝撃Aランク判定です。

ちなみに、地元の人々の間では「大船観音の下半身は山中に埋まっている」という実に夢のある都市伝説的な話があります。大船観音は胎内に入ることも出来ますので、真偽のほどはどうぞ中に入ってお確かめください。

近くもドキドキですが、やはり大船観音の一番の魅力は、遠くから観たときの、あのなんとも不思議な光景だと思います。個人的には定期的に観に行きたいと思うほどですが、最近少し忙しくしておりまして、なかなか大船まで行けません。そこで「大船観音のある光景をインテリアとして再現」してみようと思い至りました。

どうやって再現するのか。

先ずは、紙粘土の中でも乾くと水をはじくものをチョイスし、大船観音をつくります。私がつくるとどうも人っぽさが強く出てしまい苦労しましたが、まぁ、なんとか大船観音に見えるかな、というところまで持っていけたと思います。これに細長い棒を差し込み固定、乾かします。

次にプランターとお好みの苗を用意します。今回は苔を含む、三種類の背の低い苗をチョイスしました。これをひとつのプランターに植え付けます。

察しの良い方はもうお解りでしょう。これがベース部分、つまり山の部分…むしろお寺部分と言った方がいいでしょうか、になるわけです。ここに、先ほどつくった、その名も「大船観音ガーデニングピック」を差し込みます。

すると…

これぞまさに大船駅周辺で目にする光景!大船観音のあるあの衝撃的な光景を、インテリアとしてある意味かわいらしく、自宅に再現できました。

ですが…実はここのところの猛暑により、現在プランターはカラカラ状態。いまや見る影もございません…観音さまごめんなさい!でも、この大船観音ガーデンピックがあれば大丈夫です!また新たにプランターをつくればいつでも大船気分。プランターじゃなくても、もしかしたらケーキに刺したりしても…アリかもしれません。今後は植物の育たない我が家での新たな活用法を模索したいと思います。

ということで、また次の巨なるものでお会いしましょう。

プロフィール
半田カメラ

大仏写真家。フリーカメラマンとして雑誌やWeb撮影の傍ら、大好きな大仏さまを求め西へ東へ。現在まで300尊をこえる大仏さまを撮影。「巨」なるものが好き。穴も好き。『夢みる巨大仏 東日本の大仏たち』(書肆侃侃房)が発売中!


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