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ジョゼ・サラマーゴ『象の旅』完成までを追ったドキュメンタリー映画「ジョゼとピラール」(日本語字幕付き)のご紹介

ジョゼ・サラマーゴ『象の旅』(木下眞穂訳)の刊行がいよいよ近づいてきました。本書の邦訳刊行を待つまでの間に、ぜひご覧いただきたいドキュメンタリー映画があります。

映画「ジョゼとピラール(José e Pilar)」は2006年から09年にかけてジョゼ・サラマーゴと妻のピラール・デル・リオの日常にミゲル・ゴ
ンサルヴェス・メンデス監督が密着して撮影した作品で、10年に公開されました。

『象の旅』の執筆に着手したものの途中で病に倒れ、未完のまま終わるかと危ぶまれますが、妻のピラールの支えで奇跡的に回復を果たし、作品を書き終えるまでの過程が描かれています。

『象の旅』の訳者あとがきで、訳者の木下眞穂さんはこう書かれています。

実は、私が本作『象の旅』を手に取ったのも、まさにこの映画がきっかけだった。ひょんなことから日本語字幕訳を任されることになったのだが、一度観て、たちまち魅了された。この映画が公開されるまでは、サラマーゴといえば舌鋒鋭く気難しい人物という印象が一般的だったと言えよう。ところが、映画で見せるその素顔は、年の離れた妻ピラールをこよなく愛し、彼女に甘え、周囲の人や家族を大事にして大事にされる、温かみに溢れる人だった。この作家のそれまでの人物像を覆したこの映画は、2010年11月18日、サラマーゴが世を去ってちょうど5か月後にポルトガルで公開されると、異例のロングランヒットを記録した。

下記URLから、日本語字幕付きの映画をご覧いただけます。どうぞお楽しみください!
(鑑賞の大きな妨げにはなりませんが、完全版でない字幕が使用されているため、読みにくい箇所、誤訳などがいくつかあるそうです。予めご了承ください)

【近刊情報】

『象の旅』
ジョゼ・サラマーゴ
木下眞穂訳

四六判、上製、216ページ
定価:本体2,000円+税
ISBN978-4-86385-481-9 C0097

〈象は、大勢に拍手され、見物され、あっという間に忘れられるんです。
それが人生というものです〉。ノーベル賞作家サラマーゴが最晩年に遺した、史実に基づく愛と皮肉なユーモアに満ちた傑作。

1551年、ポルトガル国王はオーストリア大公の婚儀への祝いとして象を贈ることを決める。象遣いのスブッロは、重大な任務を受け象のソロモンの肩に乗ってリスボンを出発する。嵐の地中海を渡り、冬のアルプスを越え、行く先々で出会う人々に驚きを与えながら、彼らはウィーンまでひたすら歩く。時おり作家自身も顔をのぞかせて語られる、波乱万丈で壮大な旅。

0907象の旅_書影+帯

参考:http://embaixadadeportugal.jp/jp/saramago_elef/

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