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『山中智恵子歌集』(水原紫苑編)を7月下旬に刊行します。


「私は言葉だつた。」


短歌の韻律に乗せて人間存在を徹底的に問うた歌人・山中智恵子。

代表歌集『紡錘』『みずかありなむ』『夢之記』を完本で収録する。

『葛原妙子歌集』(川野里子編)に続く新編歌集シリーズの第2弾!

http://www.kankanbou.com/books/tanka/0531


【目次】

『空間格子』/『紡錘』(完本)/『みずかありなむ』(完本)/『虚空日月』/『青章』/『短歌行』/『星醒記』/『星肆』/『神末』/『喝食天』/『鶺鴒界』/『夢之記』(完本)/『黒翁』/『風騒思女集』/『玉蜻』/『玉菨鎮石』/『玲瓏之記』/解説(水原紫苑)/山中智恵子年譜


【栞】

小島なお「匣のなかの贈物」

瀬戸夏子「殺害のプロセス」

藪内亮輔「山中智恵子の〈境〉 ──『みずかありなむ』を中心に」


【収録歌より】

うつしみに何の矜恃ぞあかあかと蠍座は西に尾をしづめゆく(『空間格子』)

わが生みて渡れる鳥と思ふまで昼澄みゆきぬ訪ひがたきかも(『紡錘』)

行きて負ふかなしみぞここ鳥髪に雪降るさらば明日も降りなむ(『みずかありなむ』)

その問ひを負へよ夕日は降ちゆき幻日のごと青旗なびく(『みずかありなむ』)

さくらびと夢になせとや亡命の夜に降る雪をわれも歩めり(『虚空日月』)


【著者プロフィール】

山中智恵子(やまなか・ちえこ)

1925(大正14)年愛知県名古屋市生まれ。前川佐美雄に師事。1946年秋「日本歌人」入会。1955年第1回「短歌研究」新人賞応募(佳作)。1960年塚本邦雄らの同人誌「極」に、1964年村上一郎の同人誌「無名鬼」に参加。歌集に『紡錘』『みずかありなむ』『青章』(現代短歌女流賞)『星肆』(迢空賞)『夢之記』『黒翁』『玉蜻』など。他にライフワーク『斎宮志』に代表される斎宮制度解明の史書がある。没後、『山中智恵子全歌集』『玉すだれ 山中智恵子句集』。鈴鹿市寺家町正因寺の山中家の墓に眠る。


【編者プロフィール】

水原紫苑(みずはら・しおん)

1959年神奈川県横浜市生まれ。早稲田大学大学院文学研究科仏文学専攻修士課程修了。86年、「中部短歌会」に入会。以後春日井建に師事、師の没後は単独で活動。歌集に『びあんか』(第34回現代歌人協会賞)『客人』(第1回駿河梅花文学賞)『くわんおん』(第10回河野愛子賞)『あかるたへ』(第5回山本健吉賞・第10回若山牧水賞)『えぴすとれー』(第28回紫式部文学賞)『如何なる花束にも無き花を』(第62回毎日芸術賞)などがある。

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