不誠実な答え方をする大人たち

 テレ朝の #ニュースな会  という番組で、出演者からのコロナに関するなかなか際どい質問に、ゲストの医者が直接答えずに巧妙に話を摩り替えていた(確認できただけで2回。カットされているようには見えなかった)。
 この国の大人は医者ですらコレだ。「分からない、知らない、その観点は気付かなかった、鋭い質問ですね、私も知りたいので後で調べて報告します」等のセリフが咄嗟に出てこない。
 無知は恥ではない。無知を取り繕い誤魔化す方が余程、恥だ。だが今の大人は義務教育で哲学や心理学を全く学習していない。恐らくディベートすらやった経験がない。答弁力や傾聴力・表現力を鍛えられていないので、ああなる。

 政治かも無論、例外ではない。自分の言葉で語る能力がない(或いは気を付けないと思わぬ妄言・放言が飛び出す)ので、自ずと役人が用意した原稿を棒読みすることになる。それだと恥ずかしいのか、中には原稿をあたかも自身の言葉であるかのように読むことに長けた者まで出てくる始末(誰とは言わないが麻生太郎とも言わない)。
 彼ら個人の努力不足・勉強不足という部分はあるだろう。ルビの入った漫画ばかり読んでいるから漢字も碌に読めない。だが彼らを責めても仕方がない。元々、子供時分から表現力や答弁力・語彙・アドリブ能力を鍛えられていないのである。なので野党や記者に聞かれたことに堂々と論点摩り替えをする。ご飯論法だけではない。ストローマン、対人論証、多数論証、お前だって論法、前後論法など、ありとあらゆる詭弁が国会で披露されている(誰とは言わないが特に安倍晋三がとも言わない)。だが少なからぬ国民が、自分たちが騙されていることに気付いていない。有権者自身が、詭弁を詭弁と見破れるだけの教育を受けていないからだ。
 現総理大臣も、ぶら下がり会見中に記者の質問に食い気味に答えになっていない答えをすることが多い。都合の悪い質問は避けたい、という心理が働いているのだろうか。元々口下手な人なので、説得力を期待する方が酷なのかも知れない。恐らく御多忙につきお疲れなのだろう。自分を選んでくれた自民党議員が大勢目の前にいる時は何故か覇気があるが。

 今の子供は昔より段違いに高水準な教育環境の中で育ってきているので、才能ある彼らが大人になるまでは頓珍漢な答弁を楽しむしかない。尤もその前に、どんな無能者にも政治家が務まるほど、国自体が成熟し切ってしまう方が早いかも知れないが。

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