トンデモ右翼思想本レビュー その2

「アメリカの戦争責任 戦後最大のタブーに挑む」竹田恒泰著


 GHQの検閲・言論統制には「アメリカは善で日本は悪という発想」があると主張する著者。実態は寧ろ、アメリカが原爆投下を悪だと自覚していたからこそ「そこを追及されると都合が悪いので」言論封鎖したに過ぎない。
 彼に限らずネトウヨは兎角「他者の深層心理を読み解く力に乏しく」、「善悪二元論的な解釈をしがち」で、「己の自虐的国家観に無自覚」である。

 原爆慰霊碑の「過ち」の主語は、加害者たる当時の「米国陸軍航空軍」以外にない。彼らが「投下の主体」であり投下行為の選択者だからだ。如何なる所業であれ、己の行為を被行為者のせいにするのは責任転嫁以外の何ものでもない。著者の言うような「日本が非道な侵略(或いは真珠湾攻撃)したから懲罰として原爆投下された」は、前後即因果の誤謬に過ぎない。
 原爆に関して強いて日本に過ちがあるとすれば、「制空権(一般国民の安全)を奪われていたにも拘らずズルズルと戦争をし続けていたこと」である。原爆投下の原因と責任は日本にはない。「原爆投下は正義」の偽善性を看破できないのは、著者のように論理的思考力の乏しい者だけだ(ここまでの因果論についての論拠詳細は幣サイト感情自己責任論をご参照)。

 そもそも著者自身、死刑や核攻撃などの暴力主義を肯定し、未だに同じ“過ち”を犯し続けている潜在的テロリスト。そんな人物が幾らヒステリックにアメリカを批判したところで同属嫌悪の域を出ず説得力はない。
 尤も、彼もまた低水準教育の犠牲者だ。義務教育で哲学・心理学を教えないから、想像力・自制心・倫理観・論理的思考力・メディアリテラシー・問題解決力・批判的思考力が低くなる。高水準教育≠高学歴。低水準教育下では高IQでも「殺せば解決」「己の不快感は他人のせい」「我が知見こそ全で真」等と錯誤する。

 因みに、広島原爆被爆者の最多年齢層は12-13歳。これは当時世界最強のテロ集団(米国陸軍航空軍)による、人類史上最も短時間かつ最多の無差別大量児童虐待・虐殺事件でもある。大人同士の喧嘩を止めるのに子供を殺す必要はない。見境の無い臆病者ほど、過剰防衛を正当化する。

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