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輻輳

 電話が混雑してかかりにくくなることを、輻輳が生じている、といいいますが、このたび改めて調べてみて、びっくりしたので報告いたします。

 輻輳といえば、眼前の1点に両眼の視線を集中させる機能のことで、寄り目をかっこよくいうことばなのに、それと電話回線の混雑がなぜ、むすびついているのかなあというのは、ぼんやりきになっていました。
 また、他の回線の通話が聞こえてくることを「混線」、専門用語では「漏話」というようですが、アナログ通信のころ、電話線の中をとおっていた音声信号が、電磁誘導の原理でとなりの電線に乗り移る現象のようです。
 ということから、たくさんの通信が同時にやってくると、波が干渉して問題が生じているイメージがあり、輻輳は、波動の問題なんだろうなあと思っていました。また、輻輳ということばの近くには、混雑、混線、干渉、錯綜などの言葉がいるように感じていました。

ところが調べてみると、
 輻輳は、いろいろなものが同じ箇所に集中して混雑する状況のことでした。「輻」の字は車輪のスポークを意味していて、「輳」は「あつまる」という意味の字であり、輻輳の字義は「方々からいろいろな物が一か所に集まる」ということでした。
英語では「congestion」と表現され「密集」「集中」「人口過密」「渋滞」といった意味合いです。
両眼の視線が1点にあつまることから、近くのものを見るときに眼球が内側に向くことを「輻輳」というようです。

結局、輻輳には、波動という要素はどこにもなく、車輪のスポ―クのことであることがわかり驚かされ、ぼんやりした問題は意外な展開で解決しました。

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