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街頭演説を廃すべきか否か

はじめに

7月13日、アメリカのトランプ元大統領が支援者集会で銃撃されるという事件がありました。この事件はセンセーショナルに報道されたことに加え、阿部元首相の暗殺事件を想起させることもあってか、ウェブ上で様々な議論を巻き起こしました。

その中で私の目に留まったのが、日本でも選挙戦の際の街頭演説を廃した方が良いという意見でした。これに関して様々な意見があるかとは思いますが、私も同じく、街頭演説を廃した方が良いと考えております。以下に、その理由を述べていきます。


理由1. 候補者の安全確保のため

これは今回の事件からダイレクトに連想できる理由だと思います。現在主流の街頭での演説では、歩行者のチェックが事実上不可能であるため、どうしてもリスクが高まってしまいます。

演説が必要な場合はどこか施設内で演説を行うことで、来場者のボディチェックを実施することができ、安全確保が比較的容易になると思います。

理由2. ポピュリズム脱却のため

街頭演説で具体的・現実的な政策が語られることはほとんど無いと思います。街頭演説を聞くのは候補者の支持者だけではなく、偶然その時間にその場所を通りかかった有権者も含まれます。そのような方々に訴求するには、通り過ぎるまでに伝わるような短いキーワードを繰り返し述べるのが効率的です。そうなると、有権者にとって耳障りの良い、ただし内容の薄い抽象的なフレーズを延々と繰り返すだけの演説になりがちです。

このような形式が主流であると、政策や実務能力でなく演説がうまかったり人気のある候補者が選ばれてしまいます。具体的な政策を述べてないので、政策の実現可能性やメリットで候補者を比較することが難しいためです。つまり、街頭演説という形式はポピュリストを生みやすいと考えられます。

街頭演説を廃し、演説は限られた施設の中で行い自治体の課題や政策を具体的に説明する・誰にでも閲覧可能な状態でウェブに掲載することで、今よりも政策や実務能力が比較しやすい環境が作られると思います。

理由3. 候補者間の資金差による影響を軽減するため

不勉強なため具体的な金額は認識していないのですが、街頭演説にかかる費用は相当なものだと思います。一度だけならともかく選挙期間中は何か所も回ることになるため、人口の多い自治体であればあるほど費用がかさんでしまいます。

これでは多くの政治資金を調達できる候補者が有利になってしまいます。後援会などを頼る方法も考えられますが、利益誘導を生むきっかけになりかねません。

街頭演説を廃すことによって、候補者間の不公平や、利益誘導・癒着を生むきっかけを無くすことができるかと思います。もちろん、ウェブ上で広告を大量に打つという資金の使い方も考えられますので、街頭演説を廃すだけですべて解決するとは思いませんが、街頭演説の廃止は良い第一歩になるのではないかと思います。

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