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続・Buen Camino 2023 あなたも巡礼に出かけてみませんか? ⑫

12)ブルゴスBurgosへ 

 6/11(日)
 前夜から激しい雨の音が聞こえ、時折雷も鳴っていた。出発時になっても期待むなしく、まだ雨は降り続いていた。最後の最後になって雨具の着装である。他の多くの人たちが簡易のポンチョであるのに対して、私のそれは背丈が長いゴアテックスの雨具で、傘を併用し、ザックにはカバーを装着していた。こちらでは私以外に傘をさしているのを見たことがない。
 それでも真っ暗な雨の中を歩くのは鬱陶しかった。片手に傘を持つので、ヘッドランプは頭に付けた。時間の経過とともに、スニーカーの中まで浸水してきた。
 しばらくは道路沿いに歩き、ちいさな村の中を通過した。途中にアタプエルカAtapueruca遺跡の近くを通る。ここはヨーロッパでも最も古い人骨が出土したところで、世界遺産に認定されている。

アフリカからヨーロッパに入った人類

 ここからいよいよ最後の山越えに入る。水が斜面を伝って、いたるところから流れ落ちるので歩きにくい。生えている木はオリーブなので雨よけにはならない。山頂が近づくに従って雷が近くなり、ヤバいと思った次の瞬間、頭の真上でピカッと光り、大きな音がした。生きた心地がせず、走るように山を下った。

          巡礼路 十字架立って 避雷針

 この峠を超えると、後は下り道で、その先にはブルゴスがある。
この頃から雨も上がったので、巡礼たちもそれぞれの宿を出て歩き出した。小さな町を抜けたが、朝食を取ろうにも日曜日で店はみんな閉まっている。公園のようなところがあったので、雨具を脱いで身軽になった。ここからしばらくは何の変哲もない退屈な道路沿いをひたすら歩く。巡礼路にしては殺風景だ。
ブルゴスの町が近づくと工場が増え、左側にブリジストンの大きな工場があった。

ここでもタイヤ作っているのだろうか?

 更に歩くと、街のにぎわいが増えた。入りやすそうな軽食屋があったので、休憩がてらトルティーヤを食べ、コーラを飲んだ。 
 ほたて貝のマークに導かれて進むと旧市街地区に入り、11時過ぎに目指すアルベルゲに着いた。ここが今回のゴールで、前年に宿泊した宿である。公営の立派な宿だ。列に並んでいると、兵庫から来たという30代くらいの日本人女性に会った。彼女はフランスのル・ピュイから歩いてきたという。逞しい。
 シャワーを浴び、少し休んで、町の見物に出かけた。まず丘の上の要塞跡に行ったが、昨年は行けた区域は封鎖されていて、残念ながらそこから眼下に見下ろす町の風景を見ることができなかった。

これは途中からの風景で、塔は大聖堂
ブルゴス大聖堂

 次は、昨年パスした大聖堂を見学。入場の仕方に戸惑ったが、巡礼だというと割引してくれた。

見事な彫刻の類

 ここにはレコンキスタ(国土回復運動、8-15世紀末)の英雄エル・シドの遺体があるという。

様々の伝説に包まれている

 ブルゴスはレコンキスタの中心で、十二使徒のヤコブはレオン王国などキリスト教国の守護聖人と見なされ、「Santiago matamoros」(ムーア人殺しのヤコブ)と呼ばれた。兵士は戦場で「サンティアゴ!」と叫んで突撃したという。
また、カトリックの聖化がイエス→マリア→聖人→司教の順で進んだことがよく分かった。

楽譜

 その後、街に出てアイスを食べながら散策した。

サンタマリア門

 夕食のレストランで出たグリーンピースは塩辛いだけで残してしまった。反対に、次の鮭は全く塩味が効いていなかった。宿に戻って先程の女性に料理のことを聞いたが、彼女が食べた限りではどこも美味しかったという。(23.9km、46,893歩)

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