2024年 岐阜市議会 6月定例会(6月18日) 一般質問 「市長の政治姿勢について」
○ 可児隆 岐阜市議会議員
最後に、先日報道された、市長のイスラエル訪問について、ご質問します。
先週の議会に於いて、当会派の田中議員の質問に対する、市長の答弁に愕然としました。
返答に困ると「お祈りしてます」、「平和への祈り」に終始され、市長の今回の行動に対する責任に対しては、はぐらかすばかりの答弁でした。
問題は、イラン国営放送である「イラン・イスラム放送」が運営しているニュースサイト「Pars Today」が、岐阜市長がイスラエルを訪問し、頭にキッパを乗せ、お祈りする姿をわざわざ報道しています。
イスラエルの調査機関、エルサレム公共問題センターのモーリス・ハーシュ氏と面談、その面談については、ハーシュ氏は「日本政府による国連及びパレスチナ自治政府のあらゆる資金援助に関する説明責任について話し合った」と説明したことが報道されています。
周知の通り、イランはイスラエルの敵対国ですが、日本にとっては、原油を日本円で決済してくれる親日国です。
その親日国であるイランの国民に、イスラエル支持として「Gifu City」というワードが植えつけられた市長の行動は、岐阜市民にとって、迷惑な話だと思います。
市長は、イスラエル人の人質に対する、ハマスの虐殺ばかりをクローズアップしますが、イスラエルも先日、国連から「子供の権利を侵害した国」に指定されたように、ガザ地区の罪のない市民に警告なしに空爆するなど、虐殺を繰り返しています。
中東問題は、国境を海で囲まれた日本でも、想像もできない領土問題や宗教問題が根底にあります。
長い戦いの歴史から、民族間の憎悪感は想像絶するものであり、イスラエルの極右勢力の中には、「パレスチナ人は根絶に」という過激な思想の人が存在することも事実です。
そのようなセンシティブな問題が存在する地域に訪問し、岐阜市長と紹介されたことが、市民を危険に巻き込む可能性が生まれかねない行動であり、到底受け入れられないというものです。
先日の田中議員の「イスラエル訪問から影響が懸念される市民生活の安全面」という質問に対する市長の答えは、「政府、または、その自治政府当局が、その力を発揮」と自分には全く関係の無い人事のような返答でした。
小さな喧嘩、大きな紛争が起きる原因は、小さな誤解の場合が少なくありません。
日本にも少なからず、イスラム教を信仰する方が住んでみえます。
今回の市長のイスラエル訪問を、岐阜市が認めた訪問と誤解する可能性がゼロとは言えません。
戦争当事国の訪問に、市長がもし不慮の事故でも無いかと、心配しております。
それが起きないとは限りません。
議長が、事前に聞いていたという話ですが、やはり、私たち38名の議員には教えて
欲しかったというのが本音です。
強く指摘します。
市長は、令和6年3月定例会で、当会派の服部議員の質問に対し、政教分離の原則について説明され、その文言から宗教の自由を問かれ正当化されていましたが、今回は市長という権力者の宗教活動で、一般市民が意図しない、岐阜市の印象を、中東諸国に与えた事実は、その憲法の文言以上に好ましくないと考えます。
いかがですか。
市長のお答えを下さい。
私も、毎日、今日も無事、皆さんの幸せをお祈りしています。
子供たちが傷つくことはない、平和が少しでも早く来ることを願っています。
以上で質問を終わります。
ありがとうございました。
○ 議長
市長、柴橋正直 君。
○ 柴橋正直 岐阜市長
私の政治姿勢に関するご質問について、お答えを致します。
今般のイスラエル訪問の主目的は、エルサレムの平和のために祈ることです。
従いまして、私は祈るということを行動で示すということが大切であると考え、イスラエルを訪問し、先のご質問者に答弁申し上げましたが、訪問の中で4つの機会を頂いたところです。
1つ目、エルサレム朝餐祈祷会へ参加し、世界40箇国のクリスチャンのリーダーが出席する中で、私はハマスによるテロに対する悲しみや痛みを共有することなど、4つのメッセージを行いました。
2つ目、アイザック・ヘルト大統領との面談では、ハマスによるテロへのお悔やみなどを申し上げたところです。
3つ目は、ハマスのテロ攻撃により、被害に遭われた地域の訪問です。
テロとはどういうものか、現場に見聞きし、現地で祈りました。
4つ目は、エルサレムの嘆きの壁です。
このエルサレムの嘆きの壁では、平和への祈りを捧げさせて頂きました。
嘆きの壁の前では、ユダヤ教がその信仰に基づいて祈りを捧げており、彼らの聖地でエルサレムの平和のために祈るにあたり、入り口でキッパをお借りし、被ることが常識とされておりますので、私は経緯を表して、それに従ったものです。
このように、様々な機会を通して、鎮魂と平和を祈ってまいりましたが、祈りとは人類にとって、崇高な営みであると考えております。
議員は、イランについて、先ほどの質問で言及されました。
2022年12月14日、国連の経済社会理事会は、女性地位委員会から、イランを追放する決議を賛成多数で採択しました。
イラン当局は、イスラム教徒の女性の髪を隠すスカーフの被り方について、不適切だとして女性を拘束し、その後死亡したことや、この事件に対し、発生した抗議デモを弾圧しました。
また、反省府抗議活動を行った男性を処刑したと報じられました。
イランは、ハマス、ヒズボラ、フーシ派等を使って、中東を不安定化させている国であり、イランのプロパガンダに乗じることは、ハマスの幹部が主張する、ガザ市民の犠牲が増えるほど有利だとし、市民を人間の盾としている、彼らの戦略に乗ることではないかと思います。
イスラエルにも、パレスチナにも、イランにも、平和を愛する人々がいます。
各国の努力により、1日も早く、平和が実現することを祈ります。
続いて、政権分離に関して申し上げます。
信教の自由、政教分離の原則については、日本憲法 第20条 第1項に於いて、「信教の自由は何人に対してもこれを保障する」、「いかなる宗教団体も国から特権を受けまたは政治上の権力を行使してはならない」、第2項では「何人も宗教上の行為祝典儀式または行事に参加することを強制されない」、第3項で「国及びその機関は宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない」と定められております。
先の議員の質問にも答弁申し上げた通りでありますが、これは、大日本帝国憲法の下で神道が国教化され、神道以外の宗教が抑圧された歴史的経験を踏まえたものであり、国家権力が国民に特定の宗教を強制することを防ぎ、国民の信教の自由を保障するために定められているものと認識しております。
従いまして、私の信仰や政治活動は、政教分離の原則とは関係無いものと認識しております。
何れに致しましても、イスラエルとパレスチナ双方の1日も早い平和の実現と世界の恒久平和を祈っております。
○ 可児隆 岐阜市議会議員
最後に、市長のイスラエル訪問についてですが、色んな回答、ありがとうございました。
敬虔なクリスチャン(プロテスタント)である市長には、釈迦に説法かもしれませんが、聖書は偽りを禁じています。
正義を持って、色々お話し下さい。
13日の議会の混乱からも、多くの市民の方から、電話を頂いております。
「どうなったんだ」と「どういう風に決まったんだ」と言われますが、そのお答えもね、今、随分色んな方がお話ししました。
1月の能登地震以来、各地で地震が群発し、南海トラフ地震の発生も危惧される中、留守中の防災などの緊急体制も支持されない状態での外国訪問は、40万人のトップである市長としてね、考えられないことです。
それでも、市長自身が、「政教分離の原則に反していない」という文章を頂きましたが、その宗教活動で市政に開けた穴です。
今後も、このような市政に穴を分けた状態で、宗教活動を行われるのであれば、市長のバッジを外してからの方が、市民に影響が出ないとお伝えし、要望を終わります。