福島ユナイテッドFC 2021シーズン選手通信簿

2021年中に書いときたかったんですけど、ネット環境が死亡したり凄まじくやる気が起きなくてこのままぶん投げようかとも思ったんです最初は。でも福島ユナイテッドを追っかけてる身としては備忘録として書き残しておこうと思った次第。
今シーズンは主力を次々失いながらも過去最高成績。補強も例年にないくらい積極的で楽しいシーズンでした。でも優勝を語るレベルにはなかったんじゃないかなーってのが率直な感想。上位との直接対決を落としすぎだし、優勝するクラブはウノゼロのゲームをとれる、安い失点をしないクラブだと個人的には思ってます。攻撃面は有望株が軒並み残留しそうなので、22年は守備面のブラッシュアップをしてほしいところ。

GK
1番 ファンティーニ燦 2試合出場 1失点
通訳を兼任しつつ、服部が殆ど負傷してたのもあって年間通して2ndGKを務める。ラスト2試合で山本海人の負傷もあって出場。至近距離からのシュートには強いよねファンティは。29節YSCC戦ではMVP級の活躍でクリーンシートを達成。レスポンスがいいから当たってるとすげえ止めるけど、最終節讃岐戦みたいなのを止められるかどうかがスタメンとサブの差なんじゃなかろうか。足下もいいし、相変わらず骨格が欧州基準なので混戦でも相手をぶっ飛ばしてボールに触りにいけるのは強みだけど、まだまだ山本海人に学ぶ段階なのかも。コーチングがすごく通るってわけではなさそうだし。とにかく勝ち点をもぎ取れるGKになれるかがキャリアの分かれ目なので来シーズンの奮起に期待。

16番 服部一輝 出場なし
契約満了で八戸への移籍が決定済。年間通して負傷しっぱなしだった。プレシーズンから左膝外側半月損傷で離脱すると復帰した途端に右膝外側半月を損傷する不運ぶり。11月の練習見学でもランニングすら行わず別メニュー調整。リーグでの実績がないし年齢的には中堅なのでここまで怪我が多いと契約満了もやむなしか。GKはそこにいることが大事なので。ピッチ外では「児童擁護施設を建てたい」「子供達へ夢をあきらめなくていい環境を提供したい。」と物凄い真剣なテーマをnoteで発信したり、契約満了になっても「福島にはポテンシャルの高い選手がたくさんいる。その選手達をスタジアムで見てほしいからもっと観客動員数を増やしてほしい。」と発言したりと、見た目が金髪ロン毛の厳つい兄ちゃんの割に人間のできた好青年である。個人的にはこういう怪我続きで折れちゃった選手を福島でも何人も見てきたので、それでも「負けないぞ」ってやってる選手は応援したい。

22番 山本海人 26試合出場 31失点
元日本代表の肩書きは伊達じゃない。そんな感じのシーズンでした。最終盤に負傷離脱するまで絶対的レギュラーとしてゴール前に君臨。経験値の高さから来るセービングの技術やプレー選択と判断の早さは流石だったし、最年長としてチームの方向性を統一させる声掛けが出来たのが素晴らしかった。特にコーチングの部分はチームに落ち着きをもたらしたり、プレーへの賛辞などポジティブなものが多くて良かったんじゃないかと。ビルドアップもシーズン序盤は怪しさがあったけど徐々にアジャストしていったのも流石。とはいえやっぱり年齢が年齢なので瞬発力が求められる局面で怪しさがあって、特にエリア外に飛び出した時にヒヤヒヤするプレーが少なからずあったので来シーズンへ向けて修正してほしいところ。身体が動かなくなって来るのを上手く経験でカバー出来れば40代までやれるんじゃないかしら。技術とコーチングでは他のGKを寄せ付けないので、若手のお手本としてもう少し福島で頑張ってほしい。

31番 上川琢 出場なし
早稲田大から特別指定で加入。本格始動は来年から。時崎監督のベルマーレユース監督時代の教え子らしいけど来シーズン時崎監督いないねん。29節YSCC戦では服部、山本海人が負傷ということでバックアップでベンチ入り。来シーズンからよろしくお願いします。


DF
2番 鎌田翔雅 25試合出場 2ゴール 
絶対に譲れないものがあるとのことで富山への移籍が決定済。福島には鎌田翔雅にとって譲れないものが欠けていたようです。冗談はさて置き(冗談じゃないかもしれないが)、今シーズンの福島にとって最大の補強だったんじゃないでしょうか。吉田の電撃移籍を受けて秋田退団後フリーだったところを緊急補強。序盤は試合勘の不足のせいかプレーが不安定だったけど試合を重ねるごとにハイパフォーマンスを披露。WBやSBもやったけど基本的には3バック4バックともにCBでレギュラーを獲得。対人良し、エアバトル良し、ビルドアップ良し、カバーリング良しで文句なしの活躍。危機的状況での身体を張ったブロックも印象的で、機動力を生かした場面も多かった。CBながらもここぞという場面での得点力、攻撃力も見逃せない。実は失点に直結するミスもたまにやってんだけどそんなものは帳消しにしてお釣りがくるほどの活躍をしてくれた。ピッチ内で圧巻のパフォーマンスを見せれば、ピッチ外でも福島県の観光地やグルメの紹介、スポンサー製品の紹介、スタグルの企画監修、アパレルの企画監修、インスタライブでサポーターと交流などを自ら率先して行い多方面でマルチに大活躍。ベテランとして若手へアドバイスも欠かさず誰からも慕われる存在だったのも伺える。退団はクラブにとって大きな損失だけど、鎌田翔雅の行動を見て何か感じる選手が出てくればそれだけでも十分意味があると思う。本当にあらゆる面がハイレベルな選手だった。

3番 河西真 21試合出場
加入当初よりいい意味でだいぶチャラくなった。今シーズンは諸岡と共同主将を務める。キャプテンシーも発揮してたし、怪我する直前の5月くらいまでは間違い無くJ3最高のCBと言っても過言ではないほどのパフォーマンスを発揮。ことごとく相手の前線を潰し、自由を与えず、射程の長くよく刺さるタックルでクロスをブロックし続けた。ポジショニングや判断が良く、対人や空中戦の強さだけでなく、数的不利の状況のカウンターさえ捌くなど上手さも備わった。更に今まで課題だった足下の技術についても右足限定とはいえ高精度のフィードをバンバン飛ばせるようになるなど確実に成長。しかし6月に負傷離脱してから後半戦に入ると何故かどんどんパフォーマンスを落としていって26節今治戦で2失点に絡むミスをするとラスト3試合はベンチ入りすらままならず。正直色々と空回りしてしまったのかなという印象。ラインコントロールさえ身につけて今シーズン序盤のパフォーマンスを継続的に出せれば間違い無くJ3最高のCBなので来シーズンもう一度がんばってほしい。

4番 宇佐美宏和 12試合出場
今シーズン限りで引退、福島で指導者のキャリアへ進むそうな。小柄だが身体能力に優れて技術もあるベテランということで鎌田翔雅と被る感じだったのだが、出場すれば圧巻の身体能力で3バックを支えた。今シーズンも怪我での離脱をちょこちょこ繰り返して、出場しても60分程度のプレーにセーブせざるを得ないといった感じで身体と相談しながらのシーズンだった。本当にこの人は怪我さえ無ければJ1でやれた人だと思う。CB、SBどちらもこなせるフィジカルとスピードと技術があるし、戦術理解力も高いのでどんな戦術でも出場機会を得た。つくづく怪我の多さが悔やまれる。今シーズンのハイライトは15節今治戦。出場停止の堂鼻の代役として3バックの中央で先発すると今治の前線をシャットアウトしてみせた。まずはお疲れ様でした。次は福島の次の10年のための選手を育ててください。

5番 岡田亮太 7試合出場
福島一筋のバンディエラ、地域リーグ時代を知る唯一の選手もついに契約満了。高知ユナイテッドSCへの移籍が決定済。ベテランになり身体能力の衰えもあってか圧倒的だった競り合いの強さがナリを潜め、全然出場機会が得られなくなってしまった。4節富山戦で高橋駿太にあっさり競り負けて失点した場面はいよいよ衰えが顕著になってきたと感じさせる場面だった。相変わらずコンタクトプレーには強いし、両足でボールが蹴れるし、監督の求めに応じて様々なポジションでプレー出来る戦術理解力の高さがあるのだがついにこの時が来てしまったのかと思うととても悲しい。僕は岡田亮太とJ2に行く福島ユナイテッドが見たかった。心優しい巨人の高知での挑戦に期待したい。ホント、僕にとっては最高の5番でした。

13番 田中康介 24試合出場 1ゴール 5アシスト
大卒ルーキーながら左のWBとSBに定着。チームで数少ない単独のドリブルで相手を剥がせる選手なので田中がサイドで勝てるかどうかでゲームの難易度がかなり変わったんじゃないかしら。前半戦は左サイド持ち上がって切り返して右足クロスくらいしかなかったのだが後半戦はカットインからのミドルシュートやワンフェイク縦突破から左足クロスなど仕掛けのバリエーションを増やしてきてるのが好印象。29節YSCC戦の3人抜きのドリブルからのアシストとかハマると異次元の突破力を発揮するので来シーズンはさらに突破の精度、クロスの精度を上げてアシスト王をとってほしい。それはそれとして守備は粘り強いけどそんなにボールを奪えた訳じゃないのでその部分の強化も必須。SBを主戦場にする以上は守備面でのタフさを磨きたい。まあ1年目でステップアップに片足をかけるくらいはやれたと思うし課題と強みがわかるくらい試合に出られたので上々のシーズンだったんじゃないでしょうか。

20番 北村椋太 3試合出場
吉田の電撃移籍を受けての緊急補強の1人。時崎監督のベルマーレユース監督時代の教え子の大卒ルーキー。左利きの左SB、WBだったがポジション争いでは田中や池高に遅れをとってしまった。左足からのクロスが最大の武器なんだけど逆に言うとそれしかなかったのが痛かった。ただこの左足からのクロスの質はチーム屈指で、アーリーやグラウンダーのクロス、深い位置から打ち込むような低弾道高速クロスなどあらゆる種類のクロスを蹴り分けられるし、どれも高精度。武器は特大なんだけどクロスを上げるプレーに特化しすぎててサイドに張って幅をとるプレーしか選択できないし左足しか使えない感じなので、不器用さが試合に絡めなかった要因かと。怪我もあってコンディション調整に苦戦したみたいだけどクロスは非常に魅力的なので必ずチャンスはやってくるはず。ポテンシャルとしてはアシスト王も狙えると思うので来シーズンこそ飛躍を期待。

23番 福島隼人 18試合出場 1ゴール 1アシスト
湘南への復帰が確定。またしても開幕前に重傷を負ってシーズンの半分近くを欠場したものの、復帰後すぐに3バックの右のポジションを確保。4バックに移行後も右SBのポジションを手放さなかった。対人のタフさとビルドアップからチャンスメイクやフィニッシュにまで絡む足元の技術の高さがハイレベルに融合し、3バックの右をやらせたら恐らくリーグ屈指の選手へと成長。去年とかシャトルランで苦戦してる映像とかあったせいで足が遅いイメージあったけどそんなこと全然無いのよね。そしてスライディングタックルのクリーンさは河西以上。河西と諸岡不在の際にはキャプテンマークを巻き、味方を鼓舞するなどキャプテンシーも持ち合わせているので将来が楽しみである。ただ今シーズンは4バックのCBはやらなかったのでわからないんだけど最適ポジションは3バックの右なのよね。超攻撃的SBとしてオフサイドラインに張り付くとかやってたけど、走力で勝負する選手ではないのでやっぱりボランチ、WBと連携しながら攻撃参加する3バック右の方がバランスがいい。とはいえSBでも結果を残せたのでまだまだ伸びしろが大きいと思う。来シーズンはJ1で飛躍してほしい。

27番 堂鼻起暉 26試合出場 1ゴール 1アシスト
今シーズンの福島の新人王じゃないですかね。大卒ルーキーながら負傷と出場停止以外では全試合出場、3バックでも4バックでもCBのポジションをがっちり確保。対人も空中戦も圧倒的に強いしラインコントロールもこなせるしそこそこにボールも蹴れる。競り合いに滅法強いので185cmくらいあるのかと思ったら177cmなのね。足下も最初はもうちょっと蹴れればな~って感じだったけど、シーズンが進むにつれてどんどん上手くなっていった。攻撃参加しても迫力を出せるし、持ち上がってミドルが選択肢にあるCBなので後方からでも相手の脅威になれるのも強い。球際で無理が効く選手なので怪我しそうで危なっかしい面もあるけどそれだけ身体を投げ出すガッツもあるし、イーブンのボールにガンガン突っ込める頑丈さも素晴らしい。J2とかでも通用するタフさがあるステップアップ候補だし、個人的には一番ステップアップの可能性が高い選手だと思ってる。もし来シーズンも残留してくれれば守備の柱になる選手。今シーズン序盤の河西と今シーズン終盤の堂鼻を組ませたらたぶんリーグ最高の防壁を築ける、それくらい穴のないハイパフォーマンスだった。


MF
6番 諸岡裕人 18試合出場
河西と共に共同主将を務める。シーズン中盤までは相変わらずボランチで出足のいい守備をするけどビルドアップ、攻撃面が虚無みたいな感じだったが、終盤に突如覚醒。ボールを捌くし縦につけられるしで攻撃面で長足の進歩。ひたすら中盤でボールを刈るしインターセプトもガンガンするしで来シーズンの飛躍を予感させる仕上がりだった。ただハイパフォーマンスを発揮するのと引き換えに稼働時間60分の身体になったっぽくて、60分過ぎると足をつる状態になってたんで来シーズンはフル出場出来るコンディションを整えてほしい。大夢や上畑、柴との激しいポジション争いや鎖骨骨折での離脱があった中で一定の活躍ができたのは収穫だと思うけど、やっぱりキャプテンなのでもっと試合に絡んでほしかったのが正直なところ。キャプテンシーというよりは委員長タイプというか審判に詰め寄る味方をなだめたりする場面が印象的だった。来年こそ、怪我なくダイナモとしての活躍に期待します。

7番 遊佐克美 1試合出場
地元福島市出身、インドリーグのスター選手の肩書きをひっさげての地元凱旋だったがベンチ入りすらままならないという厳しい内容だった。やっぱりコロナ禍でインドから帰国して1年間のブランクがあったせいかフィットネスの面でかなり厳しい感じが伺えた。要所で熱い人柄は見られたし、キャリアの壮絶な経験から若手にきっと伝えることがたくさんあるはずなのでもう一踏ん張りしてほしい。ボランチのポジション争いは厳しいが、11月の練習を見た印象ではテクニカルだしフィットネスもだいぶ戻ってるっぽいので来シーズンに期待。7番は飾りじゃないところを見せなければ。

14番 青山景昌 1試合出場
契約満了で退団が決定済。怪我もあったらしいけどシーズン通してベンチ入りもままならず、左足の制度を披露する機会が訪れなかった。ボランチや2列目では選手層の厚さもあってなかなか難しかったか。練習や試合でも左足のキックの精度は光るものがあるので次のクラブでの活躍を祈ります。

18番 橋本陸 25試合出場 2ゴール 1アシスト
試合には出るんですよ陸は。めっちゃ走ってくれるから。だけどシャドーやSHで出てることを考えると2ゴール1アシストはちょっと物足りないというか昨シーズンの課題をそのまま持ち越してるというか。7節長野戦試合終了後、満身創痍で今にも吐きそうになるまで90分走り続けた姿には感動したし、陸の無限鬼プレスで得られた勝ち点があるのも事実。でもチャンスメイクに強みがあるわけでもないし決定力があるとも言えないのでこのままではよく走る選手で終わってしまう。走れるだけではキャリアが20代後半で走れなくなったら終わってしまう。20シーズンの通信簿でも言ったけど出来ることを増やす事が求められる。前線からの守備強度が保てるし身体も張ってくれる、ひたすらスプリントしてボールを追いかけてくるので相手にとっても嫌な選手だろうし、貴重な左利きのアタッカーでもある。他の選手にはできない愚直なプレーができる男だ。だからこそ結果を残せればもっと上に行ける選手なはずなので来シーズンの爆発に期待します。アタッキングでもっと周り見てパス出せよって思うシーンもあるけど俺が俺がでシュート打つのは陸の良いとこなのでそのままでいいです。そのシュートを決められるように磨いていってほしい。走るしチームのベクトルを前に向けられるからこそ陸が使われてると思うので、シュートが第1選択肢でいいのでそこに+αと精度が加わればもっと素晴らしいフットボーラーになれるはず。2列目のポジション争いは熾烈なので来シーズンは正念場二なると予想しますが、やってくれると信じます。

19番 池高暢希 24試合出場 1ゴール 3アシスト
レンタル期間満了、北九州への移籍が決定済。シャドーやらボランチもやったけど主に左WBでスタメンの当落線上といった感じでシーズンを過ごす。WBもボランチも2列目もそれなりにこなすんだけどサイドだと推進力と突破力が足りない、中央では攻守の強度が足りないといった感じでどっちかに特化した方が選手としては大成しそうだなといった印象。右足のキックの精度が高くて、17節鳥取戦のゴールや21節富山戦のアシストみたいに凄まじい精度でピンポイントにボールを蹴れるので、この武器の使い方を身に付ければ結構いい選手になると思います。あと時崎監督が気に入るくらいなので球際でも身体張るようになってるんで、もう1年時崎監督とやれればなーもったいないなーという感じ。あとイケメンなのでどんなプレーしてても画になる。チャンスへの関わり方とか試合の流れを読む戦術眼を養えれば大化けすると思います。

24番 鎌田大夢 28試合出場 5アシスト
時崎監督からの絶大な信頼を受けてボランチで全試合出場。フィジカル負けの目立った2020シーズンから身体もメンタルも鍛え上げて守備力が劇的に向上。並みの相手なら普通にボールを奪いきれるようになったし、勝てる勝てないは別にして身体をぶつけにいく、サボらず競りにいく、当たり負けても諦めず食らいつく、そうした闘う姿勢が徹底されていた。相変わらず捌いたりキックやボールコントロールは上手いので選手としてさらにスケールアップ出来たシーズンだったのでは。得意なラストパスがライン裏へのタッチダウンパスなので裏に走れるストライカーがシーズン後半はいなかったせいかアシスト数は延びなかったが、チャンスメイクも継続的に出来ていたのでもっと周囲とすり合わせていけば二桁アシストも夢じゃない。シーズン終盤は点取りたいからなんだろうけどゴールにドリブルで突撃するプレー多かったのでもっと冷静になってプレー出来ればとも思うけど若気の至りということで、そこは来シーズンへの課題かと。ステップアップもありそうだけどJ2で通用するフィジカルかはちょっと怪しいので僕は残留かなーと予想します。J2へは福島でいこう。

29番 吉永大志 24試合出場 3ゴール 2アシスト
今シーズンは序盤はシャドーもやったけどなんだかんだ右WBに定着。SBにも挑戦したけどもうちょっと守備力がほしかったかなーという感じで4バックに移行後は出場機会を失ってしまった。キープやキックの技術の高さにを見せつつ今シーズンはプロ初ゴールを含む3ゴールに加えてクロッサーとしても悪くない仕上がり。WBだけじゃなくてボランチとか2列目もそこそこに対応出来るユーティリティ性も重宝する。クールでシャイなイケメンなんだけどピッチ内では闘う姿勢前面に出すのが好感が持てる。まあ何やってもかっこいいんすよ吉永は。相手と交錯すると分かり切ってるタイミングのボールに全力で突っ込んでくのもかっこいいし、独特の短いステップでのプレースキックもかっこいいし、点取るとめちゃくちゃデカいガッツポーズするのもかっこいいし、カウンターの時パスコース探しながら高速ドリブルしてるところとか最高にかっこいい。身体能力に優れるタイプじゃないので今後どのポジションでやってくのか悩ましいところではあるけど、走れるし体も張れるしキックもうまいので守備力を強化してSHかSBに進んだ方が輝くかなーと思ってる。ゲームを作れるサイドの選手になれると思うよ。

35番 柴圭太 12試合出場
高卒ルーキーながらボランチで開幕スタメンの座を手に入れるなど10試合以上に出場できたのはまずまずなんじゃないでしょうか。十分合格点のシーズン。激しいコンタクトからのボール奪取とそこから味方にしっかり繋げる技術と状況判断とか、一時期は攻守トータルでみれば諸岡以上のパフォーマンスを見せるときもあった。流石にこのカテゴリではスピード、パワー、リーチ色々不足してて出場機会は後半戦にいくに連れて減っていったけど、基本的に賢い選手だしプレーの選択は的確だったので身体が仕上がってくれば普通に活躍できると思うので来シーズンが楽しみな選手。プレスとか受けても全然ビビらないし。162cmで特に身体能力が高くもないのにボランチやってるだけあって凄く賢いプレーをするので将来有望だと思います。

41番 上畑佑平士 21試合出場 1ゴール 2アシスト
序盤は負傷してたのかベンチにも入れなかったが8節八戸戦で初出場を果たすとそこからボランチでハイパフォーマンスを発揮。基本的にサッカーが上手すぎる。視野が広くてアイデアもあるし、空間把握能力が凄まじく高いので相手を嘲笑うかのようなボールキープを中央でやってのけるし、独特の身のこなしとヌメヌメしたボールキープで敵陣にじわじわ侵入していけるのも強い。ボールを捌いてゲームを作れるだけじゃなく守備もしっかりこなしてガンガン相手にタックルするしボールも奪えるので非常に優秀だった。どうみても上畑がファール取られても仕方ないタックルかましてファールとられると腕を振り上げてブチギレてるところも熱くて好き。終盤戦は諸岡の覚醒もあって控えになっちゃったけど、単体のボランチとしてはチーム内で一番バランスが良いんじゃないだろうか。もうちょっと機動力があるとなおいい。展開力、守備力、強度は揃ってるので後は得点力とか直接ゴールを脅かせるプレーが出来れば言う事無しです。


FW
9番 森晃太 14試合出場 2ゴール 1アシスト
エンタメとしては正解な選手というか、みちのくのサン=マクシマン。このプレースタイルでもっとコンスタントにゴールやアシストを積み上げられればみちのくのネイマールになると思うんだけど、現状派手なドリブルでおしいとこを行ったり来たりしてるのでサン=マクシマンってことにしときます。イスマイラ退団を受けての補強で夏に山口から完全移籍で獲得すると、後半戦の切り札的存在に。単独で相手を剥がせるドリブラーなんだけど仕掛けがとにかく派手。高速シザースや時として相対した選手が着いていけずに転倒するほどの強烈な切り返しとフェイントを多用するドリブルで右サイドを根城に脅威になり続けた。絶対にキッズたちから人気が出るプレースタイル。体幹が強いので遠目からも強烈なミドルが打てるしコンタクトプレーも全然苦にしない柔と剛を兼ね備えたアタッカーだけど競り合いとか守備はそんなに上手くないんでそこら辺が来シーズンへの課題か。まああとサイドで縦に抜いたりカットインは上手いけどカウンターとかで中央から選択肢の多い状態で抜くのもそんなに上手くないのよね。まずは突破とチャンスメイク、フィニッシュの更なるブラッシュアップをして来シーズンに臨んでもらいたい。たぶん田村亮介くらいの働きはする選手になるはず。

10番トカチ 17試合出場 7ゴール 1アシスト
エメちゃんしか勝たん。そんな感じで樋口と並んでエース級の活躍。とにかく苦しい状況でも脈絡なく右足でボールに魔法をかけて勝ち点を手繰り寄せてくれた。開幕直前に骨折したりコロナにかかったり(濃厚接触者かも)でシーズンの半分近くを欠場しながら7ゴールは立派。たぶんシーズンフルで出てたら得点王も狙えた。左シャドーや左SHの定位置を確保すると、ゴール左45度の位置にでフリーになると一撃必殺のシュートが発動する確定演出みたいな感じになってた。基本的に右足のキックがインもアウトも正確無比で、フィニッシュだけじゃなくプレースキックでも流れの中でもチャンスを作れる優秀さを発揮。シュート精度の高さに加えてアタッキングセンスも昨シーズンよりスケールアップした印象。今シーズン中盤くらいまではペナ幅でプレーさせないと有効な事ができない感じだったが、終盤はサイドに開いて起点を作ったりしてかなり器用な選手になってた。キックのパワーがこのカテゴリでは別格なのでステップなしの右足の一振りでタッチラインから一気に逆サイドまでボールを振れるのもめちゃくちゃ強い。守備もしっかり寄せるし走るので十分やってくれてるので文句なしです。プレー内容は10番に相応しいものだったので来シーズンこそフル稼働でお願いします。

11番 雪江悠人 24試合出場 1アシスト
頑張って走って競ってくれてるのはわかるけど、得点無しではいくらなんでもFWとして言い訳できない。アシストもドリブルしてコケたこぼれ球を味方がミドルでねじ込んだものなので意図的なアシストはほぼ無いに等しい。18節沼津戦のオウンゴールを誘発した場面が最もゴールに近づいた場面だった。前半戦は右WBやシャドーでの起用、だったが後半戦はイスマイラの代役としてCFに固定。スピードがあるし空中戦には強いしファーストディフェンスとしての強度は素晴らしいのだがゴールに迫れないのでは全く相手にとって怖くない。怖くないので2列目を活かすタンク役にもなりきれなかった。これで3点とか4点でも取れれば全然違うんだけど、そもそもシュートが打てないしチャンスに飛び込む嗅覚に優れてるわけじゃないし、チャンスシーンでのトラップミス連発ではFWとして擁護出来ないのよ。とにかく後ろでボール持ってるときはキックもそれなりに上手いのにハーフウェーラインを越えると視野が極端に狭くなりミスを連発する状態で、前線のレギュラーの3年目の選手としては落第点だと思います。迷わず身体を投げ出すし愚直に走ってくれてるのはありがたいし、19年シーズンの颯の相方みたいな「エースFWの補佐役」がたぶん最適ポジションなんだろうけど、FWとして勝負すると決めて11番を背負ったんだから結果を残して欲しいところ。イスマイラの影に隠れてはいたけど雪江も身体能力が日本人離れしてるので少しでも上手くなればゴール前で圧倒的脅威となるポテンシャルがある選手なので来シーズンこそゴール量産を期待します。雪江のゴール後のめちゃくちゃクソデカいガッツポーズは大好きなので、そういう場面をたくさん見せてください。

17番 延祐太 12試合出場
関西大学リーグでベストイレブンや得点王など、大卒ルーキー組では最も実績を積み上げてる選手なのだが、本人も認めるように苦しい年だった。シャドーなど2列目で出場機会を得て、シュート、パス、ドリブルどれも上手いしスピードもあるし守備もサボらないしで悪くないパフォーマンスなんだけど不思議なくらいに得点に絡めなかった。スピードに乗ったドリブルからのシュートはかなり魅力的だったけどフィニッシュに絡む頻度が少なすぎたというか、やっぱり要所でのインパクトが不足していたのは否めない。とはいえ能力自体は不足がない感じなのでどれだけゴール前で効率良く効果的な仕事が出来るかが来シーズンの鍵となるかと。奮起に期待。

25番 長野星輝 10試合出場 2ゴール 1アシスト
今シーズン最大の発見なのではないか。高卒ルーキーながら前半戦から10節岐阜戦などの上位攻防戦で出場機会を得ると、着実に成長し29節からのラスト2試合はCFでスタメン出場し2試合連続得点と確かな結果を残した。183cmの大型FWだがスピードも足下の技術も水準以上。マークをはがしてフィニッシュに持ち込むストライカーセンスも非凡なものがあるし、背負ったままでもシュートに持ち込むことも出来る生粋の点取り屋。身体が仕上がってフィジカルがついてくれば更にポストプレーの安定感も増して活躍するはず。点とってもウオオってちょっと吠えるだけであんまりニコニコしないしガッツポーズとかもしないし、プロ初ゴール後も「嬉しくないし今まで点をとれなかった悔しさの方が強い」みたいなこと言い出すのでサイボーグというかフットボールマシン感が強い。来シーズンのエース候補だと思うので今から期待してます。

26番 ガブリエル 2試合出場
夏にコンサドーレ札幌からレンタル加入。元ナイジェリア代表なのだが嘘やろってくらい何も出来なかった。11月の練習を見てもミニゲームで何も出来ない感じだったので本当にまずい。コンディションが整わないのか本人のやる気がないのかよくわからんけどそもそも日本でのプレーが合わないのではないか。ふれあいサッカー教室とかではニコニコで子供を抱っこしたり怖がられてハイタッチをスルーされたりしててほっこりした。来シーズンについては謎だけど、札幌に戻っても居場所がないと思うので福島に残るならナイジェリア代表の実力を見せてほしい。

40番 樋口寛規 28試合出場 9ゴール 6アシスト
個人的には今シーズンのMVPです。今シーズンは久々に前線に固定されシャドーやトップ下で全試合に出場。ゴール数、アシスト数共にチームトップで、リーグでもそれぞれ3位と5位という好成績。一瞬でマーカーを剥がす動きとゴールへの嗅覚で「いつの間にかそこにいる」感じでゴールを量産。上背や跳躍力に優れるタイプではないもののリーグトップの5ゴールをヘッドでとれたのもポジショニングとボールへの入り方の上手さ故だろう。チャンスメイクも決して毎試合のようにこなせたわけではないが、危険地帯にボールを送り込むセンスがあるからこそ6アシストという結果を得られた。献身的な守備やビルドアップへの関与も含めてオールマイティな活躍だった。キープは上手いけど競り合いに強いわけじゃないし、コントロールシュートがあんまり上手くなかったり裏抜けが全然得意じゃないからフィニッシュパターンが限られたので1トップでは力を発揮できなかったが、1.5列目的使い方で福島加入後最高の活躍をしてくれた。やっぱり前の選手よね樋口は。全ての得点がツータッチ以内だし、老練なフィニッシャーとしての味が出てきた。ピッチ外でも農業部部長として農作業の先頭に立って活動。カレー部でも川俣シャモを使ったチキンカレーを提案するなど年間通してフル稼働。来シーズンは岡田が退団したことで最古参の選手となる。このまま福島に骨を埋めて農家になるかカレー屋を開いて欲しい。

49番 サイモン 1試合出場
10月4日に突如加入が発表された大型ナイジェリア人ストライカー。翌週の22節鹿児島戦にはいきなり1トップで先発出場するもその後ベンチにすら入らずシーズン終了。右足を骨折でもしたのか11月練習で見た頃はずっと松葉杖でした。188cmと大型だし短いプレー時間でも強靭なフィジカルと柔らかい足下は見せてくれたので本格始動は来シーズンになるかと。ポテンシャルは見せつけたし、ガブリエルよりはまともっぽいので戦術理解が深まればイスマイラのような大活躍の可能性も。来シーズンに大いに期待。


途中退団の皆さん
9番 イスマイラ 14試合出場 8ゴール 2アシスト
間違いなく前半戦のMVP。前半戦の大活躍を受けて15節終了後J2京都へ完全移籍。フルシーズンを福島で過ごせば得点王もリーグ優勝も十分に可能性があった。今シーズンは昨シーズン以上にチームの核として福島を牽引。1トップで前半戦全試合に先発するとエースとしてゴールを量産。決定力が劇的に向上しただけでなく、相手に対福島の大前提として「イスマイラを止める」事を強いることでマークを引きつけ2シャドーへの間接的なアシストも。サイドに流れたり中央でキープしながらチャンスメイクもこなすなど昨シーズン以上のハイパフォーマンスをみせた。とにかく向上心と貪欲さが素晴らしく、15節今治戦での2ゴール目はイスマイラというストライカーを物語るゴールだった。2点リードした後半アディショナルタイムに、どう考えても追いつかない味方の雑なボールを最後まで追いかけ、相手GKが手でボールを持ってからも目を離さずスローをカットするチャンスを伺っていた、そんな恐ろしく点をとることに貪欲な選手だからこそ生まれたゴールだった。来シーズンはいよいよJ1への挑戦。期待してます。

15番 賀澤陽友 出場なし
高卒2年目のアタッカーだが今シーズンはベンチ入りの無いまま4月に北信越リーグの福井ユナイテッドFCへレンタル。絶対的レギュラーではなかったみたいだけど天皇杯ではJ2甲府相手に1ゴール1アシスト。ボックス内でこねまわしてシュート叩き込むの得意なんだろうしハマれば強いんだろうけど現状の福島の2列目は層が厚いのでちょっと来シーズンは読めない。復帰するなら勝負の年になりそう。

21番 吉田朋恭 出場なし
プレシーズンマッチからキャプテンマークを巻き3バック左でハイパフォーマンス。攻守に隙のない戦術の核として今シーズンに臨むかと思ったら開幕直前にJ2山形へ電撃移籍。山形ではバックアッパーながらそれなりに試合に出られたみたいです。ちょっとこういうタイミングで移籍されると色々しんどいのでこれっきりにしてほしい。たぶん福島に残ってれば超攻撃的DFとしてビルドアップもチャンスメイクもこなしてたんだろうけども。吉田の移籍が無ければ鎌田翔雅との出会いは無かったと思うのでそこは一期一会ってやつですね。

33番 佐藤和樹 3試合出場
吉田の電撃移籍を受けてフリーだったところを緊急補強。左利きでSBとCBをこなせる選手ということで吉田にタイプ的には一番近い選手だったんだけどあんまり試合に絡めず。前半戦終了後に八戸へ移籍。なんか八戸は佐藤和樹の終の住処になりそうな予感。なんで使われなかったのかよくわかんないんだけど、それだけ田中や鎌田翔雅のパフォーマンスが良かったって事なんでしょう。八戸では元気にやってるっぽい。

46番 堤聖司 出場なし
高卒ルーキー同期の長野より先にベンチ入りを果たすも出場は無し。前半戦終了後、関西リーグおこしやす京都ACへレンタル。なんかお京都じゃSBやってたみたいだし主力とも言い切れない感じだったっぽいけど来シーズンどうするのかしら。自分で仕掛けられるタイプのストライカーだし、まだ1年目なのでしっかり育てていってほしいのだが来シーズンも出場機会は微妙そうなので再レンタルになるんだろうか。とりあえず試合に出ることを重視しましょう。


はい、そういうわけで個人的な選手の感想でした。陸と雪江には辛口だった自覚はあるけど2人とも来シーズン頑張って点をとってください。樋口に次ぐ古参になる河西、諸岡、雪江、吉永の4人には特に来シーズン期待してます。来シーズンは服部年宏新監督の下、今シーズン以上に厳しい戦いに臨みます。もうクラブは「ステップアップクラブだから」という言い訳を捨てました。クラブレジェンドも去りました。本気でJ2を目指す戦いをしなくてはならない、追っかけてる方もそういう目線でチームを見なくてはいけないのかなと思います。
個人的な考えですけど、「次の試合は」「次のシーズンは」そう言いながらJ3に参入して8年が過ぎ、その「次」はいつ来るのという感じ。ユースの実績が引っかかったからJ2ライセンスもらえなかったけど2022年はまずライセンスもらえるでしょう。今シーズンはライセンス不交付が響いたという言い訳が使えたけど来シーズンはその言い訳は(おそらく)使えません。たぶん2022年も新監督の戦術浸透に時間がかかり・・・とかいう話になるんでしょうけど。2022年は福島ユナイテッドの本気が見られるシーズンと期待してます。僕は相変わらず人間といると疲れるので観客動員数には貢献しないのですが、可能な限りスタジアムでその本気を見届けたいと思います。毎年思う。あーでもないこーでもない、あのプレー、ゴールは素晴らしかったと語れるクラブが街にあるのは幸せだと。

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