暴れガニ短歌賞 3月期の褒め

お久しぶりです。にゃおぽぬです。
というわけで個人的に行っておりました暴れガニ短歌賞の褒めの時間です。

暴れガニ短歌賞とは
なんの権威も持たないにゃおぽぬ主催の短歌賞です。
なんの権威も持たないため、ここでは気楽に短歌が褒められます。
良すぎた短歌はどこかで紹介
(にゃおぽぬラジオなど)
さらに良すぎた短歌には蟹が贈呈されます。

暴れガニ短歌賞応募フォーム

普段からクソ短歌ブックなどの発行を通して物を作ることのハードルを
ガンガンに下げていくぞ~と画策しているのですが今回の暴れガニ短歌賞も
同じ理由での開催になります。
もっと気楽にふらっと短歌を投げてあわよくば褒められたい、あわよくばカニも欲しいという欲求を満たすために今後も開催予定です。
ちなみに僕自身には人を褒めまくりたいという強い欲求もあります。

そんな感じでここから褒めのパート


暴れガニ短歌賞 3月期テーマ部門「巡る」


そんな感じで今月のテーマは「巡る」です。
一年の中で一番巡ってる感じがするのが3月ですね。
個人的には期末の帳尻を合わせるために襲い来る予算周りのあれこれが
己の業が巡っている感じがしてゾクゾク来ます。

駅前のスタンプラリーの参加者の老人5人犬が一匹

暴れガニ短歌賞の気の抜けたモットーを見事にくすぐってくれる一首。
そういえばスタンプラリーって本当に全然参加したことないかも……
なんてことを感じていたけどこの短歌を読めば大体こういう空気か~と
結構つかめてくる。
駅に訪れる電車もスタンプラリーも犬の散歩のある生活も全部巡るで固められてるのがかっこいい!
きっとこの人の見たスタンプラリーは巡る日々の中で犬の散歩ついでにほんの少しだけ日常を逸脱させるような巡るだったんだろうな~ってのが読み取れてほんの少しうれしい。
もしかして老人ってところに輪廻までもうちょいみたいなのもかけてる?
だとしたら超サイコー!

今日をみず 先に冷えては稀にみず 明日は氷かそれとも雲か

大気の巡りってものすごくマクロな動きなんだけどそれが最小単位の水滴に
なってものすごく近いものに影響を及ぼすシステムのことを俺はものすごく安心できていいなと思っています。
けどこの短歌はそうじゃなくて不確かで見えない物に対するグラデーションめいた気持ちが見えている気がしていいな~
単語の選定やミーミングからは鬱屈した雰囲気を感じるんだけどこれが短歌って姿になると何となくあきらめていないというか、期待感というか、そういうものがちらつくように思えるから不思議。
水ってモチーフはにゃおぽぬ的には裏と表とか複数の側面みたいな印象が
強いんだけどその姿と巡ることをうまく紐づけててかっこいい!あと単純に音の並びがきれいでいいな。口に出すとめちゃ気持ちいいし

五年前クワガタを追いかけていた。五年後はクワガタを追いかけている。

巡るってお題でこれからの話するのめっちゃかっこいい!
この短歌の中では今についてが空白だけどどう考えても今もクワガタ追ってだろうしね。
けど巡るものでこの短歌が生まれている以上何かを経由してまたクワガタに向かっていくんだろうな。
そもそも自分の記憶の中にあるクワガタ採集も基本的には川沿いのクワガタの集まる木をマッピングして毎日足しげく通うって感じだったし、そもそもクワガタを追う行為そのものが巡ることに回帰してくるのかも。
違ったらごめんだけど!
にゃおぽぬも実は虫捕りが好きなんですが大体7年ペースで思い出したようにドはまりしてます。そういう風にめぐってる奴らもいる。

雀卓を囲めば親はめぐり来る生産性のないわれらにも

めちゃくちゃかっこいい。
麻雀って17巡とちょっとの人生の縮図ですからね。
選択の連続が目の前に川になって可視化されていずれ結果が訪れる。
そういう中で訪れる親番もやはり人生の中の可能性の一つなんだろうな。
生産性ってところも、そもそも麻雀って何かを増やす遊びじゃなくてあるものを再分配するだけってシステムともかかっててかっこいい。
なんか偉い映画監督かだれかの言葉で麻雀はサラリーマンの生産性のない遊びだ!なんてのがあった気がするな。
とにもかくにも巡る手番の中で勝ったり負けたりな結果に振り回されつつも
役に向かって選択を続けたドラマは美しい。
上がれなくてもせめて聴牌ではいたい。
そういう強烈な麻雀の美学とパーソナルで繊細な感情が混ざってる!
正直最高!!

いくつもの世界を巡り我が膝に収まりし猫その名はゴン太

短歌の外側からドラマを感じて好きだな~!
その日の散歩とも何人もの飼い主とも取れるわけだけど結局は自分のところにいるって優越感、めっちゃ親ばかで最高~
猫って魂が九つあるなんて言うけどなくした分の魂は先に輪廻の中で転生してたりするのかね?
愛猫の同位体は最終的に9人になったりするのか?ちょっと最高かも。
もしかして9を乗算し続けて猫ってものすごい増え方してる?
猫が見てる世界ってなかなか自分で見ることが出来ないからものすごくワンダーだよね。
もしかしたら自分の想像すらできないような大事件や超常があったりするかもなわけで膝の上のふわふわがそうだったら……って想像の楽しさがいいな
たどり着く場所がある巡りってめっちゃ優しくて最高!

巡音の ルカは懐メロ 懐かしや オタクの老後 時は巡りて

老人ホームでボカロ大合唱の未来はそう遠くはないぞ!
下手したらせいぜい20年もしないうちにそうなっちゃうかも……
個人的な巡音ルカの火付け役だった「just be friends」「ダブルラリアット」「magnet」とかは13年前に投稿されたとかで、まぁ見事に干支も巡っちゃってたよ。
そこまで考えてこの短歌投げてきてたらさすがにオタク筋鍛えすぎてる。
ボカロってジャンル自体は巡り続けてて今はもう過去最高に白熱してるらしいですよ。
最近はボカロ黎明期にあったボーカロイド自身の人格を歌う歌がまた増えつつあるとか……
オタクの趣味もまた巡るわけやね……

そういえば見たことがない川越の桜を、卯月の暮れに来たもの

この土地での生活が一周するたびに桜が見れるの、めっちゃ最高かもね!
そういえば桜じゃんって気が付く瞬間って色々あると思うんだけども、巡り自体が桜に結びついてくるのはちょっとお得。
巡り一年目の短歌って巡り一年目でしか作り得ないからいいな~
これ来年だったらどんな歌が出てくるんだろう?
ちょっとそういうのも気になるしやっぱりいいな。
来たものってワードもいいな。茶目っ気と強さが同時に存在しててかなりラギッド。
何度も口の中できたものって転がしてるとちょっと気持ちいいかも。
仮に卯月の暮れに来た者だったとしたら一年の生活を経て越してきたばかりの生活を俯瞰しまくってて超擦り切れてるな。
それでも桜はきれいだもんね。

この桜去年も見たねあの桜毎年見たのに今はマンション

ここまで巡るのテーマで短歌見てきたけどそういえばここまで明確に変化について詠んでるのなかったかも。
季節とか時間の流れでそれを強烈に意識してしまうのって変化が生じた時だもんな。
一つの歌の中に続いてるものと断絶されたものがうまくきれいに情景が収まっていて標本箱みたいで凄いな。
変化、俺はかなり悲しくなるので何かの方法で保存できればと思ってるんだけど短歌ってそこにふわっとした感覚みたいな気持ちを保存しておけるからいいな。未分化の感情にラベリングしても未分化でいられるこの形態のことやっぱかなり好き。
巡りの中の一瞬の切り抜きがやっぱうまくて最高!

蟹目当て 行くぞ城崎 勇めども 外湯巡りで ポカポカ気分

めっちゃ正直で結構!
城崎、憧れつつもまだ一回も行ったことないから気持ちばかり昂るね。
これ温泉と血の巡りもかけてんな……
個人的にはこれくらい肩ひじ張ってないくらいがやっぱ好き!


暴れガニ短歌賞 3月期自由詠部門


テーマと並行して自由部門も募集中。
無理に頭をひねらなくてもさくっと出てくる人、なんか言いたいことがあった人、たまたま思いついちゃった人などどなた様もどうぞ。

ジョーズより なんだかスケールしょっぱいね 海底47m

自由詠はこうでなくっちゃね。
海底47メートルってスケールの小ささの中でどうやるかみたいな感じだけどそれはマジでそう!
あとラストほにゃららの~ってキャッチコピーもちょっと言いすぎてたかもってことを勝手に感じ取ってしまう短歌だ……
二本目のマヤの奴もめっちゃ好き。水中洞窟もので一番出来が良くない?
あの土煙が舞って視界奪われるところとかいい感じ。

陰毛を抜いて長さを比べてる これはひとさし指より長い

生活の中で詠まれるこういう個人の中にしかないユーモアのこと大好き!
人を人たらしめるための行為ってそれぞれ異なっているとは思うんだけど
俺は人から見えない場所の身だしなみを整えることだと思っていて、そういう意味でこの歌って人間でいるために必要なことを詠んでるのかもな。
にゃおぽぬにとってのそういう行いは足の爪を切ることなんだけどやっぱり伸びすぎたもの整えて、失ってしまった自分の体の一部への思いって何となくうすぼんやりとしてて温い。
めちゃくちゃ美しいと思います。

月にいます あなたが食べる餅ぜんぶ日本のお米でできています

実際そうらしいよ!
頭の月にいますがすごくいいな。
一発で月に行けるから。めっちゃ気持ちいい。
こういう可愛くてぎょっとするユーモアの中にも何となく月面の神秘的で豊かな情景が浮かぶかも。
月面の真っ白な地肌の上に金色の波が揺れてたらめちゃくちゃ嬉しい。

以上3月期の褒めでした。
応募総数 28首


今月のカニ

そんな感じで初開催暴れガニ短歌賞でした。
皆さんご応募いただき誠にありがとうございます。めっちゃ楽しかった。

と、言うわけで初開催ということもあり景気づけにカニを出します
栄えある今月のカニは


雀卓を囲めば親はめぐり来る生産性のないわれらにも


に決定いたします。
正直初めての開催じゃなくてもカニ送ってたなってくらい切れ味あった。
これ手番じゃなくて親なのが凄いよね。ぎょっとする。
だらしなさとユーモアがあるのになんかものすごく大きなぎょっとしがあるのがカニの選定基準になりました。
おめでとうございます。
麻雀の間にカニを食ってください。


暴れガニ短歌賞 4月期について

そんな感じで4月期も締め切りました~
しかしながら4月期はめっちゃ残念なんですが応募総数が少なく、5月期と合わせての発表になるかと思われます。残念~
まぁ気長に続けるつもりなので何卒お付き合いいただけますと幸いです。

ちなみに5月期のお題は「休み」です。
こちらもにょきにょき募集中。目指せカニ。時期によってはカニじゃないかも。ともかく、心持だけはカニを目指してやっていきましょう


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