財務指標(収益性分析)_投資学習④

ある企業に投資(株式を買い付ける)場合、その企業の財務指標をチェックすることをお勧めします。財務指標といっても様々なものがあります。その企業の財務安全性や、収益性、生産性、成長性など多くの観点からその企業を分析することで投資することに対する納得性を高めることができます。また納得して投資することで、短期的な株価の下落に翻弄されずに長期的な目線で資産形成を実行する一助になると考えられます。

収益性分析

売上高総利益率

売上高に占める売上総利益の割合。売上総利益とは、「粗利」、「粗利益」等とも呼ばれ、売上高から売上原価を差し引いた利益を指します。従って、販売費及び一般管理費を差し引く前の利益項目です。売上高総利益率の水準は、業界によって大きく傾向が異なるため、異業種間での比較はあまり意味を持ちません。同業種比較の中で高い売上総利益率を実現している企業は、付加価値の高い製品・サービスを提供できている、ということが考えられます。

売上高営業利益率

売上高に占める営業利益の割合。営業利益(日本基準の場合)とは、上述の売上総利益から”販売費及び一般管理費”を差し引いた利益を指します。販売費や一般管理費には、広告宣伝費や交通費、家賃、水道光熱費等が含まれます。つまり、売上高から原価と各種経費を差し引いた額が営業利益となります。営業利益(日本基準)には、支払利息や受取利息、特別利益、特別損失等が含まれませんので、通常の営業活動(本業)のなかで稼いだ利益が営業利益だといえます。

ROA(総資産利益率)

総資産に占める利益の割合。企業に投下された総資産が、利益獲得のためにどれだけ効率的に使用されているかを表します。分子となる利益には、営業利益や経常利益、当期利益などが用いられます。

ROE(自己資本利益率)

自己資本に対する利益の割合。言い換えると、株主が出資したお金をもとに、どれだけの利益を上げられたか、を表しています。従って、分母には自己資本が用いられ、分子には株主に帰属する当期利益が用いられます。

総資産回転率

総資産がどれだけ効率的に売上高を生み出したか、を計る指標です。1年間で総資産が売上高として何回転しているか、を表す指標とも言えます。この指標は売上高÷総資産で求めることができます。総資産回転率の値が高い企業ほど、より効率的に売上高を上げている企業ということができます。

売上債権回転期間

売上高に対する売上債権の割合を表しています。企業が所有している売上債権がどれくらいの期間で回収できるかを計る尺度です。単位は(月)とされる場合が多く、この場合は売掛金や受取手形の合計を月商(=年間売上高÷12)で割った数値で求めることができます。売上債権回転期間が短い企業は、売上債権が現金化できるまでの期間が短いため、資金繰りが健全的かつ効率的であると考えることができます。

損益分岐点

ある事業において、売上高と費用が全く同じ金額(=利益が±ゼロ)となる売上高を表しています。損益分岐点を上回る売上高があれば利益が出て黒字になり、逆に下回ると赤字になります。この費用は、固定費(売上高の水準に関係なく一定の金額がかかる費用。家賃、人件費など)と変動費(製品の販売量に応じて変動する材料費など)に分けられています。

次回に続きます。
以上

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