ユーザーインタビューのあと”モデリング”をやりませんか?提案したログ

「UXが大事なんだって!じゃあ、インタビューしてみよう。」といって、UXリサーチデビュー🐣する企業が増えていると思う。しかし、「ユーザーがこう言っていたから、この施策をやってみよう!」というように進めても、うまくいかないことがよくある。

ということを、事業部の人に共有するために集めた情報のメモ。


速く走る馬が欲しい?

「どんなものが欲しいですか?」と聞いて、ユーザーから返ってきた答えをまとめることが”ニーズ探索”ではない。よく使われる例えに、「速く走る馬🐴」の話がある。

あなたはユーザーに「速く走る馬がほしい」と言われたとする。本当のニーズを調査するにはどうしたら良いか?

「速く走る馬が欲しい」
「なぜですか?」

「目的地に早く着きたい」
「なぜですか?」

この理由が重要
・このテレビ番組を見たい:TVerで配信されないの?
・ナマモノを持っている:クール便使えば?
・この話を母ちゃんに早く話したい:電話すれば?

結局、欲しいのは速く走る馬ではなく、TVerでした。というお話。


膨大な情報からどうやって情報を抽出する?

議事録から、重複している箇所を除いて、5000字程度の情報になったとする。それが10名分あったら、5万字の情報になることになる。

ここから、何も考えずに重要そうな情報を抜き出すと、どうなるか?
まず、仮説として考えた部分に当てはまる部分が目につくだろう。
そして、自分が担当する領域に関係する部分が気になる。

しかし、これでは、自分がもともと重要だった所だけしか抽出できず、インタビューをした意味がない。

そこで、モデリングという作業が必要となる。次に続く「コンセプトデザイン」の前段階に必要な箇所。理由は先の「速く走る馬」の通り。

UX開発の7ステップ UXの教科書より

ユーザーモデリングでは、ローデータ(生データ)を、一つ一つ分析し、その過程で、ユーザーの利用文脈に共感する作業でもある。(ワークショップ形式でやることが多い)

⚠️この時間は、ビジネス戦略を一切考えないことが重要。理由は、前述のとおり、自分がもともと重要だった所だけしか抽出できないから。ビジネス戦略は、次の工程で存分に考えれば良い。


モデリングの範囲

いろんな記事で「ユーザーモデリングは大事だぞ〜」と言われているが、5万字の情報を扱うのは、かなりの重労働になる。

また、インタビューの関係者・関係部署が多すぎると、KA法をみんなでやってみよう!という動きはかなり腰が重い。

そこで、最低限「モデリング」の必要性を伝えながら、どの部署にも有用な情報を成果として残すにはどうしたら良いか?を考えた。


検討した結果、属性層=どんな人が使うの?という部分を優先的にモデリングしたいと考えた。(下図:一番下)

UXの教科書より ユーザーモデリングの3階層(左が調査方法、右が分析方法の例)


どんな人に届けたいのか?という対象は、部署が違っても共通の課題になるし、まずそこを抑えないと、行為層・価値層のモデリングの精度も上がらないと考えたので、最初にやりたいと提案した。

どんな価値提供ができるかは、関係する部署があまりにも多いと、纏まらないと思う。行為層も同様の理由で優先度を下げたが、価値層よりは話はまとまりそうなので、部署間で連携して一貫した体験を設計するのに効果が期待できる。



価値の探索

ただし、いざ「この部署で、何をしていこうか」という話になった場合は、コストがかかってもKA法などの探索をすべきと考える。

これは、私が別件でKA法をやった経験があるので、経験がない部署に展開する。

参考:

KA法テンプレ(神)


とりあえず、これらを話してみる。

通常業務を回しながら、UXリサーチを進めるのは根性が必要だ。そして、ユーザーのことを100%理解できるという幻想を捨て、諦観をもって、分からないなりに、何とかニーズを捉えていこう、という冷たい熱意が必要だと思う。ねむい。

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