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もっとkaniと仲良くなりたい!

第3回目(6月16日)のミニカニ講座は
「カニのうたは魔除けのうた」でした。

その昔
島では森羅万象すべてに神が宿るとする
アニミズムの世界観がありました。
山に入る時、夜道を歩く時、海に出る時など、
精霊に悪さをされないように、
新しい着物を着る時、喉に魚の骨が引っかかった時など、
守ったり助けたりしてもらえるように、
人々は、言葉の力を使っていました。
島ではそれを「呪言(クチ)」と言っていたようです。

うちのご近所の90のOばぁは、
薪木やお線香に火をつける時、
風が強くて付きにくかったりすると
不思議な音を連ねた呪文を唱えます。
わたしも教えてもらい、唱えてみると、
不思議と火がつきやすい気がします。

なるほど、これが「呪言(クチ)」というものなのかと
身近に感じることができました。

一方、
その頃は、お祭りや、儀式、若い男女の集まりなど、
主に男女が歌の掛け合いをして遊ぶウタアシビ(歌あそび)の文化は
日常に欠かせないものだったようです。

精霊が生き、ウタアシビが身近だった時代、、、なんと魅力的な!
タイムマシンでその時代に行って暮らしてみたいものです。

ただ、資料を紐解いていくと、
集落は閉鎖的な世界だったらしく
集落同士はお互いに牽制し合っていて、
他集落(ヨソジマ)でウタアシビをするときに
歌の中に「呪言(クチ)」を入れられて相手集落の人に
危害を与えられる危険性があったとのこと。
そんな悪い呪いが入った歌を徳之島では「サカ歌」といったそうです。

その頃から、人は人に対する恨みや攻撃心があったのですね。

今と違うのは、物的に相手に危害を加えるのではなく
言葉の霊力を使って戦っていたというところ。
そこがおもしろいです。

そのサカ歌の影響を受けないようにするための
守りの「呪言(クチ)」が入っている予防歌もあり、
そのひとつとして、「蟹口説」といううたが残っています。

川のカニがものをとって食べる、1、2、3、、、10
というシンプルな数え歌なのですが、
それでカニが悪い「呪言(クチ)」を断ち切ってくれるのだそうです。

わたし個人的には
とても気持ちのいいうたなので
調子の悪い時などに
可愛いカニを想像しながら歌ってみると
よい感じになる気がします。

講座では、
バリのブラックマジックとホワイトマジックの話や、
昔から人は争いの気持ちを持っていたことに対して、
どうしたらそれを人に向けずに手放せるのか、
争わず身を守れるのか、、、、など、
話題が広がりました。

そんな悪いクチを断ち切るカニは
もしかすると平和を守る存在なのかも知れません。

後半のワークでは、
今の自分にとって気持ちがいい音を五十音の中から各自で探り、
その音を出し合ったり、その音を組みあわせたりしてあそびました。

実は、今でも昔とかわらず、
音や言葉には力があるよう思います。
日常の中で意識してみると
気づくことがあるかも知れません。

そして、
最近ハワイの文化に詳しいお友だちから、
ハワイ語で「kani 」というのは
「音」という意味だと教わりました。

わたしはふたつの意味で
もっとkaniと仲良くなりたいと
思ったのでした。

今回もありがとうございました。

✳︎

こんな感じで
毎回ゆるゆるとカニを探究しているミニカニ講座。

大体前半は、その日のテーマについて
わたしが興味あることをお伝えして連想を広げ、
後半は、そのテーマにつながるミニ表現アートワークをいたします。

ピピカニ!ときた方、カニ初心者も大歓迎
是非ご参加ください。

【今後の予定】
23日 「奄美に伝わるカニの昔話」 登場人物になってみる
30日 「カニは横歩きする」 横行君主/世界の見え方

*会場 オンラインzoom会場

*日時 6月の木曜日:23日、30日
    20時から21時

*参加費 一回1500円

お問合せ•お申込み
ohisama.utaoto⭐︎gmail.com(あおきさとみ)←⭐︎を@に変えてください
メールにて、お名前、メールアドレス、お電話番号をお知らせください。


【案内役】あおきさとみ(カニアーティスト)
奄美大島在住。地球の自然の仕組みや美しさ、
そこに生きるイキモノたち(人間も含む)に興味がある。
心理職として小中学校にかかわる傍ら、
カニを描き、カニに学ぶ。手づくり音楽ユニット「ふやよみ」や、
島の植物を暮らしに生かす「草ラボ」のメンバーとしても活動中

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