第0話 あの黄金のバンコクの日々

今から6、7年前にタイのバンコクに住んでいた。現在30代半ばだが、あの日々が一番楽しかっただろう。クラブに酒に女と毎夜遊んでいたので所謂「充実」した日々ではなかったが、あれほどに人生を謳歌した日々は無かったし、老いを感じ、日々衰える肉体と外見を感じる今日この頃、最高の時に最高の場所に居れたのではないかと思う。ただその人生の一番大事な時間を快楽に費やしてしまったのだから今はこうやってあの黄金の日々を懐かしむことしか出来ない。独り身、フリーター。友人は会社の重役になっている奴もいれば会社を興し成功している奴もいる。大半は家庭を持ち、楽しそうな日々をSNSで見る。正月に地元に帰省した時には妹や親族の子供を見ては俺も早くこうならなきゃなと思うものの、そんな家庭を持てるわけもない。

最近あの黄金の日々をよく思い出す。コロナで壊滅状態になったバンコクやパタヤの状況をTwitterでちらりと目にするが、あの黄金の日々はもう戻ってこないのではないか。もう二度と出会えないかもしれないあの黄金の日々を自分の記憶に残すために手記をここに残す。

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