はじめての石膏鉢作り【オリ鉢研究日誌#3】
前回3Dプリンターで印刷したTPE素材のモールドに、ついに石膏を流し込み、オリジナル植木鉢を作る!
石膏は、石膏型や石膏像などなど、美術界で古来から使われてきた定番素材。
制作の手順などは腐るほどネットに転がってるので、この記事では軽めに(雑に)扱う。
今回の工程の目的はこれ。
石膏鉢を作る手順(ざっくり)
使用するのはこちら。
モールド(前回作ったTPEモールド)
石膏
水
混ぜる棒
石鹸水(家にあったキレイキレイを水で薄めた※合ってるかは知らない)
1:水と石膏を混ぜる
石膏の商品に記載されている分量通りに水と石膏を用意。
水に石膏を満遍なく投入→1分間静置→2〜3分攪拌→若干とろみが出たらモールドへ流し込み。
というのが正しいやり方らしい。
私はとりあえずやったれ精神で、完全に目分量かつ静置を忘れるというズボラさだったが、なんとかなった。
ムラや気泡をなくし、強度を上げるためには、ちゃんとした手順と計量が必須のようだ。今後努力したい。
なお、石膏(正確には焼石膏)と水が混ざり、固まる前の流動体の状態のことを石膏スラリーと呼ぶらしい。
2:石鹸水をモールドに塗り、石膏を流し込む
石鹸水は、石膏がモールド(型)から外れやすくするための離型剤の役割だとか。
TPE樹脂に石膏がこびりつくとは思えないので、まあいらない気もするが、一応モールドに塗布。
それから1で作った石膏スラリーを流し込み。
途中でトントンとモールドを叩き、気泡抜きを試みたが、攪拌が雑だったため気泡は残ったまま。
3:20分ほど待つ
石膏は20分ほどで固まる。(※完全硬化ではないが型から外せる)
これが素人にはとっても驚きだった!
そして、発熱する!!
前提知識がなかったので、これは本当に感動した!!!!!!
数字よわよわのド文系人間にとって、こんなに明確な化学反応が目の前で実感できることはなかなかないのだ…!
ましてや、以前はモルタルやシリコンでの試作を試していたから、硬化が必要なものは24時間以上待つのが当たり前だと思っていた。
焼石膏時点では不安定だった石膏の結晶を安定化させるために熱エネルギーを放出するらしい。
詳しくはわからないが、「これが熱量保存の法則か…!」となった。
4:モールドから外す
試作したモールドは、外そうと引っ張ってもこの程度↓が限界。
なので、ハサミで切って解体した。
ゆくゆくは何度も使えるモールドにしたいので、形状は要検討。
ということで、完成〜〜!
自作の3Dプリントモールドから、無事に鉢として成形できて感無量😭
フィラメント送り出し不良で裂けた部分はもちろん形を拾っており、
3Dプリントの積層痕まで繊細に写し取られている。
バリや不均一な部分を紙やすりで水研ぎし、工程を終了。
3Dプリントで底網を作る
底穴でかくね?
と思った?思いましたね?
それ、設計なんですよ。
3Dプリント好きになったので、どうしても直接の印刷物も創作に組み込みたい。そして機能性を高めたい。
そこで作りました。
これを、
こう!!!!!
自分でそう設計したんだけど、ちゃんと穴にハマった時は感動した…。。
「手に触れられる『モノ』を作った」という実感。
本職はWebデザイナーだし、前職もWeb広告代理店で、PCの中の情報とばかり向き合ってきたからこそ、手ざわり感のあるものにすごく憧れて。
ものづくりができた!って喜びが全身にあふれた瞬間だった。
底網3Dプリントの反省点
TPEに慣れたかったのと、フィラメント替えるのが面倒だった(本音)という理由で、底網もモールドと同じTPEで印刷してみた。
モールドを作ってた中だと一番きれいに印刷できる設定だったが、底網は全体が小さく細かい形状だったためか、糸引き・ほつれがかなり多めに。
底網がやわらかい素材である必要性はないので、PLAで印刷するのが良さそうだ。
おまけ:ミニ改良版も作った
前稿時点での反省点を元に、縁に持ち手部分を設けたモールドを印刷。
時間短縮を求めて2分の1くらいのミニサイズに。
手動でのフィラメント供給にも慣れ、めちゃくちゃきれいに印刷できた。
いざ取り出し。
縁部分は全部ひっくり返すことに成功!
ただ、持ち手が小さくかなり難航。力を入れて少しずつ剥いでいき、5分くらい格闘して、やっと…!
モールドを破壊せずに石膏を取り出せた!🙌
ちゃんと元の形にも戻った!
外すのにかなり力がいるので劣化しそうだけど、まだ2〜3回くらいは使えそう。
サポート材の印刷時間をケチって数ミリ幅で取手部分を作ってしまったので、もっと広い面積にする・傾斜をつけるなどで外しやすさは改善するはずだ。
計画している植木鉢制作の工程は、あと2つ。
好きなデザインにペイントする
防水塗料でコーティングする
今回作った鉢で試して、実際に植え替えまでやってみたい。
さらに並行して、再利用可能なモールド形状のブラッシュアップ。
石膏の強度向上のための手法・素材の探索。
そしてその後、単純な円柱や角柱ではなく、独自性のあるデザインの鉢を作っていく!!!
夢広がる、楽しい楽しいオリ鉢制作です。