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2022年面白かった本

2022年に読んで面白かった本です。
ざっくりの紹介または、感想または、あらすじです。

日本の民主主義はなぜ世界一続いているのか 竹田恒泰

民主制は海外から入ってきたものではなく、主に皇室を中心に日本の長い歴史の中に常にあったもの。日本の民主主義と西洋の民主主義の違いを明らかにし、日本の民主主義の素晴らしさが書かれている。

元老西園寺公望 伊藤之雄

幕末から終戦直前までを生き、昭和天皇に最も信頼された西園寺公望の生涯。

無私の日本人 磯田道史

江戸時代、貧しい宿場町を救うために私財をかき集め、藩主にお金を貸し、利息で宿場町を復活させようと無私の日本人が立ち上がる。実話。泣けます。

奥羽越列藩同盟 星亮一

幕末、いわゆる「賊軍」となってしまった東北の藩のそれぞれの立場・状況・その後が描かれている。

日中国交正常化 服部龍二

1972年9月の日中国交正常化について様々な困難がありながら、国交を結ぶ過程がお互いの国の障害や思惑を臨場感を感じながら読める。

蝉しぐれ 藤沢周平

主人公の文四郎の父は政争に巻き込まれ切腹する。文四郎のその後の苦難が感動的。

山県有朋 伊藤之雄

長州藩の山県有朋の生涯。急進的な議会制にブレーキをかけながら国のために尽くしていく様子を山県有朋の目線で知れるのは面白い。

友情 武者小路実篤

野島と大宮は親友関係。野島は杉子に恋をするが杉子は大宮に恋をする、という三角関係。親友との関係を考え、大宮は杉子から離れるためにパリへ留学に行く。しかし、大宮と杉子は恋仲になってしまい、野島は失恋。仕事に精力を注ぐ。といったあらすじだが、めちゃくちゃ面白い。

亡国の農協改革 三橋貴明

日本の農協の重要な役割、政府の様々な規制等で農協の役割が崩壊していくことの危険性が書かれている。

シベリア抑留 富田武

第二次世界大戦後、ソ連に連れていかれてシベリアに抑留され強制労働させられた日本人の実態、ソ連の実態。

国を守る責任 折木良一

日本の地政学上の位置的に、周辺国がいかに日本の存在を障害と思っているか、他国の立場に立って書かれている観点などが勉強になり、国防の重要点や問題点が勉強になる。

新編風の又三郎 宮沢賢治

宮沢賢治の優しい童話集は大人こそ見るべきだと個人的に思う。

子どもの貧困 子どもの貧困Ⅱ 阿部彩

日本の貧困問題の状況・問題点・課題・解決策・影響などが書かれており、問題意識が生まれ、非常に勉強になった。

黒い雨 井伏鱒二

1945年8月6日の広島への原爆投下後の黒い雨を浴びて、原爆症になった矢須子の様子、原爆投下前後の様子が小説として書かれている。実際にある日記を基にしている。

天皇は本当にただの象徴に堕ちたのか 竹田恒泰

大日本帝国憲法から日本国憲法になった時に、日本の主権者が代わり、日本は新しい国になったという説に、大日本帝国憲法と日本国憲法の内容を解説し、共通点や連続性を明らかにし、その説に異を唱えたもの。明らかにする過程を通じて、憲法の素晴らしさや日本の素晴らしさを知れて、難しいが非常に面白い。

アメリカの戦争責任 竹田恒泰

アメリカの原爆投下の真相を当時の資料などを参考にしながら戦争責任を明らかにする。非道な原爆投下に怒りを覚えるとともに、原爆投下のアメリカ側の意図など様々なことを知れる。

蟻の兵隊 池谷薫

日中戦争終戦後、中国の山西省にいた日本軍の一部がそのまま残留し、中国国民党軍として共産党軍と戦うといった実話。祖国に帰国したいのに軍の上層部に翻弄され残留して戦う日本兵がいたという事実に驚く。

斗南藩 星亮一

戊辰戦争で敗れた会津藩が領地を没収され、下北半島の斗南へ転封され、そこでの苦難が書かれている。

ハリーポッターシリーズ全19巻 J,K,ローリング

映画を見てネビルの急激な活躍の理由が気になり読んでみた。本だと細かく書かれており、めちゃくちゃ面白かった。

戦前日本のポピュリズム 筒井清忠

戦前の大衆がいかに戦争に向かっていく原因になったのかを書く。戦後の教育や報道では、日本だけ、軍だけが戦争の原因を作ったかのように伝えられるが、すべての要因が積み重なって起きたこと。今の時代も政治だけに限らず、浅はかな考えが多数になって世の中やいろいろなものを動かしていくことの危険性を考えさせられる。

十七歳の硫黄島 秋草鶴次

硫黄島の戦いを生き残った日本兵の記録を通して見る。

海軍と日本 池田清

終戦時までの海軍側の政治や軍備に対する考えや陸軍と違う海軍の体質が分析されている。

俘虜記 大岡昇平

太平洋戦争時にレイテ島で俘虜となった作者の体験をもとに俘虜実態を書く。

元老 伊藤之雄

明治維新において未熟な近代国家を成熟した近代国家に形成すべく、元老が国を作っていく。 憲法制定、政党内閣などへの変換を慎重にタイミングをみたり、日清・日露戦争などの外交問題に対して、元老達が老練な政治力を発揮していく。

「吉田調書」を読み解く 門田隆将

福島第一原発事故に奮闘した吉田氏と現場の人々の尊厳を踏みにじる誤報をした朝日新聞の記事との戦い。吉田調書から読み解く当時の現場での戦いの様子。事故、官邸、本社とも戦う。

インパール兵隊戦記 黒岩正幸

無謀なインパール作戦について。兵士の戦記。 兵站も無謀で後方からの補給も途絶え、撤退時には飢えや病気と戦いながらひたすら険しい道を歩いていく。 隊列に間に合わなく落伍した者には自決を強要し、従わないものは射殺される。 仲間が倒れていく姿は本当に悲しい。 

明治六年の政変 毛利敏彦

通説の征韓論の西郷隆盛と非征韓論の大久保利通という構図が一次資料を読み解くと実は誤りというもの。 今まで信じてた通説が誤りだったことを知り感動した。 感情や政治力や派閥、偶然が積み重なり起きる歴史はやはり面白いと改めて思う一冊だった。

人口と日本経済 吉川洋


人口と経済の関係性。人口の影響による経済の変化・経済の影響による人口の変化、産業革命で人口増・所得増により人口増と平均寿命の延び・平均寿命や所得格差の縮小など。今まで読んだこの分野の本では、人口減少は需要・供給両面から見ても経済にマイナスな影響があると述べているものが多かった。 しかし、この本では供給面は人口減少との関係性はなく、プロダクトイノベーションにより対応可で需要も人口に関わらず飽和するとの研究結果がある。どちらの説を信じるとかはないが新しい視点・考えを知れて良かった。

般若心経 ひろさちや

般若心経を解説したもの。 「事実を事実として受け止める」すごく大事だなと。 生き方の根本の参考になる。

帝国議会 久保田哲

帝国議会開会に至る過程。 封建制度の江戸時代から明治維新を経て、近代国家を目指すにおいて憲法制定や議会政治を混乱を最小限に留めようと努力し奮闘する明治時代の政治家達の姿が素晴らしい。 民権派との対立や民主化することへの弊害を抑えることなど政治家としての力量がすごい。 明治維新は言っても士族階級の革命の話であって、当時の士農工商の最下層の革命ではなかった。 にもかかわらず、新しい政府では伊藤博文などはその権力に固執せず、ただ国を良くするためには議会の力が必要と改革する辺りは本当に素晴らしい。

眠れないほど面白い「吾妻鏡」「日本書紀」 

眠れないほど面白いシリーズはわかりやすく、何事にも入門編として適している。日本書紀も難しいからとっかかりとして面白かったし、吾妻鏡は北条目線の吾妻鏡だけでなく、慈円の愚管抄も参考にしてたのは良かったし、かなりドロドロしていて、物語かと思えるような出来事が実際あったというのは見ごたえがあった。

競争社会の歩き方 大竹文雄

主に行動経済学の視点で身近な経済行動を語る。 伝統的経済学では説明できないような非合理的な経済行動を人はよくしてしまう。 それを行動経済学の視点でみていくと解明できることが多々ある。 その視点を取り入れて企業や組織、政策を行う必要性を語るなど非常に面白く、目から鱗な情報も多い一冊。

物語日本史 上・中・下 平泉澄

日本史を国の成り立ちから通して書いたもの。 非常に分かりやすく面白い。 3巻で700ページほどだが、建国から戦後まで簡潔にまとめられているのはすごい。
日本人が今を生きる上で、西洋から合理的な考え方だけを取り入れても決して良くはならない。 歴史を知り、日本人に合った精神や考え方を学ぶことが今を生きるために必要なこと。 西洋で通じることが日本にそのまま通じるとは限らない。 西洋には西洋の日本には日本にあった精神があり、それをすっ飛ばして考えても物事はうまくいかない。

暇と退屈の倫理学 國分功一郎

暇は搾取される。なぜなら人は退屈することを嫌うからである。 人は退屈に対して不快感を感じる。それが人の辛さや悩みになる。 先進国では自由で豊かで余裕がある反面、途上国や過去の歴史などを見たときに命を賭けて国のために戦う人達を羨ましく思うのはなぜなのか。 豊かで不自由がないはずなのに、なにもすることがないという欠落感や打ち込むことが欲しいと思うのはなぜなのか。 暇と退屈を哲学や人間学、人類史などから深く掘り下げ、結論を導き出す。 暇と退屈を掘り下げることで暇と退屈に対する向き合い方が見えてくる。

インパール五部作 高木俊朗

インパール
昭和19年3月に開始された第15軍司令官牟田口廉也中将による無謀なインパール作戦について書いたもの。 牟田口中将以外無謀だと反対したものの、本人の功名心のため実行された。 インパール作戦は、主に祭・烈・弓師団による作戦であった。 この巻では主に弓部隊が作戦を命じられてから撤退するまでが書かれる。 兵力、装備、糧秣の不足の中で攻略を命じられる。連合軍の空挺団により後方の兵站は塞がれてしまう。物量の差により多くの被害を出す。 前線の将校達は作戦の無謀さに怒り、多くの兵が亡くなっていくのを嘆きながらも戦う。


インパール坑命
インパール作戦において、烈師団長佐藤幸徳中将の退却・抗命事件について。 補給の困難から反対されたインパール作戦において、佐藤中将は補給を必ずするようにと念を押し出発した。 しかし、補給はされず、コヒマで奮戦しながらもさらに、ディマプールへの進撃を命じられる。 現場の状況を全く把握していない無謀な命令であった。 このままでは全滅すると佐藤中将は兵の命を守るために退却する。 作戦失敗後、幹部達は失敗の責任を師団に押し付ける。 牟田口中将は終戦後も自身の責任を取らず、失敗は師団のせいだと説いてまわる。

インパール全滅・憤死
インパール盆地の湿地帯に投入された戦車支隊の悲劇を描く「全滅」と祭第15師団を描く「憤死」 。戦車にとって明らかに不向きな湿地帯で、現場から遠く離れた場所に司令部を置く第15軍が無茶苦茶な命令を次々に下し、現場の兵が死傷していく。
インパール作戦における被害総数は烈師団 23139人中、戦死・死没者約11500人、 弓師団 22376人中、戦死・死没者約12500人、 祭師団 25148人中、戦死・死没者約12300人。

現代政治理論 川崎修・杉田敦

難しい分とても面白かった。 政治理論について、権力・リベラリズム・自由論・平等・デモクラシー・フェミニズム・環境・グローバルなどの面をその成立から現在に至るまでの流れと問題点などを解説。 今まで自分なりに思っていたこれらの問題に対する考えが浅いものであるということを知れて、 これらの問題にはもっと深い問題点があり、より深く考えなければいけない。

昭和陸軍の軌跡 川田稔

日本陸軍が満州に手を出した理由がわかり面白かった。日本陸軍が満州事変を起こしたことや中国に進出して行ったことについて、それが大東亜戦争に繋がったことについて否定的な意見が多い。肯定する気持ちはないが、今の感覚と当時の感覚は違うのは頭に入れておいていかないと思った。当時の国防感覚・情勢は今とは違うため、自分達の国を守るために、資源などを求め満州や南方に進出した行ったことは今の感覚で語るのは違うと思った。

教養としての神道 島薗進

神道とは何かといったものが初心者にも分かりやすく解説されている。最近、古事記の神話が実際にあった出来事として見てみるのも面白い。大国主命の国造りを助けるために高天原から派遣された少彦名は船乗って来たという話も技術を持った人々が朝鮮半島から来たのではないかという説など非常に面白かった。神道を少しずつ理解しながら日本という国に対して理想と現実両面を持ちながら誇りを持つことは大切。

社会契約論 J・Jルソー

ざっくりとしか知らなかった社会契約論をようやく読んだ。主権について、政府は人民の公僕で、主権を持つ人民が職務を行なわせる立場であり、市民が怠惰だと政府が増大し、主権は消滅する。一人一人の主体的な関心・責任感が大事。

世界の民族超入門 山中俊之

日本は「基本的に」単一言語・単一民族であるため民族間のトラブルなど「基本的に」はない。それは日本人にとっては正常なことだが、世界的にみれば異常なこと。歴史があり、誇りがあり、宗教が絡み民族の問題がある。サッカーに絡む部分もあり、思うことが変わった部分もあった。

政友会と民政党 井上寿一

明治から戦前にかけて二大政党であった政友会と民政党がどのような経緯、考えがあって政治闘争を行なってきたかが書かれている。
政党の側でも戦争の原因になる部分はたくさんある。政争に勝つための行動が戦争や国がマイナスな方向に進んでいく面も多々あった。政治の根本は国が良くなることで、政争に勝つことではないと改めて感じる。

古事記完全講義 竹田恒泰

古事記に記載されているものは「事実」ではなく「真実」であるという。 神道の歴史などと合わせて自分なりに考察するのも面白く、出雲の大国主命はやはり大和王権が支配する前にその土地を支配していた大きい勢力だったのかなとか、三輪山の大物主神は古事記が編纂される前から信仰されてきたから大事にされてるのかなとか、大国主命や大物主神に頁数が割かれていることなどを考えるとそうだったのかなと思う。 古事記の素晴らしいと思うところはそういった元の勢力に対してリスペクトが感じられるということ。 そして日本は昔から民主的で和が重んじられているといこと。


ベスト5

ベスト5は

天皇は本当にただの象徴に堕ちたのか
暇と退屈の倫理学
現代政治理論
世界の民族超入門
教養としての神道

です。順不同です。
みなさんのおすすめもぜひ教えてください。

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