2022/04/11 病棟から着信

師長さんからの電話だった。
この日、会議があったらしい。そこで、母の様子が良いので、院長から「良い話なので、本人の様子を家族に伝えるように」と指示があったとのこと。

肝心な母の様子だが…
どうやら、気管切開の穴を塞ぐバルブをつけると声が出ていて、言葉が出るそうだ。職員に「おはよう。」と言ったり、聴き取れないが発語があるとのこと。

この話を聞いた瞬間、私は電話口で泣きそうになった。それは嬉しくて?感動?…いや違う。悲しかった。辛い。

左脳の大部分が壊死して、脳全体も大きなダメージを負った。脳ヘルニアの治療のために壊死した脳の一部は取り除いた。

そんな母が、何か話そうとするなら、私には余りにも辛い。母が可哀想だ。

もう、以前の母には戻れない。だから、私は、母が安らかであって欲しいと思ってる。

今の私には、母のことを考えること自体が辛いんだ。

師長さんに心からのお礼を申し上げて、泣くのを堪えながら電話を切った。

その後、ゆっくり考えた。
あの脳のダメージで、口から言葉が出るなんて奇跡だと思った。でも、母の人格は以前のように保たれていない可能性が高い。

お母さん、
それでも「おはよう」という言葉を知ってるの?