技術力という捉え方の違い

 私が勤める会社では、会社で使用する製造装置を販売するメーカーが多数存在します。その製造装置のメーカーでは、販売先の会社に自社の製品をプレゼンテーションすることがあります。そこで、「切る」技術を提供する企業なのですが、そのプレゼンテーションの中で、結局のところ、「切るものによって加工条件を変えてください」という内容が報告されたことがありました。そして、加工条件により、品質特性上どういった影響があるのかという説明が行われていました。
 これは、そのプレゼンテーションの場で、言葉にはしていませんが、恐らく、こういった情報の蓄積が技術なんだと言っているような印象を私は感じました。(私が勤める会社でも同じ感覚だと思いますが ・・・ )

 一方、私の地元に、ものは違えど同じく「切る」技術として、芝刈り機を作るメーカーがあります。その芝刈り機は、名前がユニークな事もさることながら、芝の長短関係なく芝を均一に切ることができる芝刈り機だそうです。このメーカーは海外にも進出していて、競合の海外製の芝刈り機が芝の種類に合わせて、あらゆる調整箇所を調整しなければいけないのに対して、その芝刈り機は、1つの調整箇所でその調整ができるそうです。
 こういったものづくりができることは、その根底にある技術力がかなり高い水準にないとできないと私は思います。

 販売する機械の違いはあれど、どちらも「切る」技術です。どちらが顧客にとって魅力的な技術を有しているのか、その技術力の差は歴然だと言わざる負えません。また、ものを「切る」という基本機能で、ここまで顧客に魅力的な価値を提供できるという事も技術者として見逃せないものだと感じます。

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