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ハイブリッドワークの働き方 - 辻 紗都子さんの修士論文のご紹介 -

牧 兼充

夜間主総合ゼミ4期生の辻さんの修士論文が、内容・発表共にとても良かったので、対外的に公開できるように本人に準備してもらいました。

最終プレゼンテーションの発表は以下からご覧いただけます。ご本人が所属するメディアプラス社の会議室から配信していて、今の時代の先端ともいうべきオンライン・プレゼンーションを実現していると思います。

本人の修士論文のサマリーは以下の通り。

ハイブリッドワークは企業の働き方のスタンダードになるか?
~COVID-19パンデミック後の日本企業従業員を対象としたサーベイをもとに~
早稲田大学 経営管理研究科(早稲田ビジネススクール)
修士2年 牧 兼充ゼミ
辻 紗都子
 今世界的なCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)の感染拡大という未曽有の事態により、会社経営と労使関係においてもパラダイムシフトが起きている。世界中の多様な業種において半ば強制的に一斉リモートワーク体制が実施された結果、経営における利点も多いことが明らかになり、リモートワークを恒久的に採用する企業が現れた。一方で新たに生まれたのが「ハイブリッドワーク」という現象だ。組織において「オフィスワーク」か「リモートワーク」を一律に選択するのではなく、社員が週のうち数日出社し数日はリモートワークを実施することを認める、いわば第三の選択肢である。「オフィスワーク」と「リモートワーク」の両方の利点を得られる可能性が期待され、すでに多くの日本企業も実施している一方で、この新しい複合的な働き方が管理者と従業員にどのような影響をもたらすのかについては十分に研究されていない。ハイブリッドワークとは新しい働き方であると同時に、新しい組織管理の在り方である。「同じ職場で従業員を管理する」という近代からの大前提が変わりつつあるこの瞬間に、マネジメントの在り方も変容する必要がある。
 そこで、本研究は、パンデミックによる働き方の変化後に集められた最新のデータを用いて、ハイブリッドワークが従業員のパフォーマンスに与える影響を定量的に分析し、今この瞬間もまさに前例無き選択を迫られている経営者や管理者に、エビデンスに基づく示唆を与えることを目的とした。
 この目的のため、株式会社日経リサーチ社によって2021年5月に民間企業の社員1104人を対象として実施された調査データを用いて、ロジスティック回帰分析を行った。回答者をリモートワークの実施頻度から「毎日リモートワーク」「ハイブリッドワーク」「毎日オフィスワーク」の3種類に分類し、ハイブリッドワーク実施社員のパフォーマンスにどのような特徴があるのか分析を行った。
 はじめに「社内コミュニケーションの取りやすさ」についてハイブリッドワークが与える影響を分析した。その結果、ハイブリッドワークを行う社員はその他の働き方を行う社員より社内コミュニケーションが取りやすいと感じていることが分かった。
 次に「社員の会社に対するエンゲージメント」について働き方の違いが与える影響を分析した。その結果、毎日オフィスワークを行う社員はその他の働き方を行う社員より会社に対するエンゲージメント(組織に対する愛着心)が低下していた。一方、ハイブリッドワーク・毎日リモートワークを行う社員の場合は会社に対するエンゲージメントが高いことが分かった。
 最後に、社員のコミュニケーション手法の好みと実際の働き方のミスマッチが社員のエンゲージメントに与える負の影響について分析した。その結果、対面のコミュニケーションを好む社員が毎日リモートワークを行う(好みと実際の働き方の不一致が生じる)場合、会社に対するエンゲージメントは低くなることが分かった。ハイブリッドワークはこのミスマッチを回避できる点でもメリットがあると言えよう。
 本研究は「ハイブリッドワーク」という未開拓の研究領域に一歩を踏み出すものである。

新しい領域を切り開くとても面白い研究になったと思います。この内容は、実務家にも役立つ情報だと思うので、ぜひ多くの方に見ていただきたいと思っています。


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