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映像作品についてのインタビュー③ 『SP 警視庁警備部警護課第四係』(前編)

――では連続ドラマ版『SP』について伺います。まずは、どのようにして企画を思いつかれたのか教えてください。

映画『フライ、ダディ、フライ』がクランクインしてすぐの頃に用事があって銀座に行ったんです。日曜日の昼間で歩行者天国をやっていたんですが、たまたま某大物政治家の演説が始まるところに出くわして、ふと、「殺せるかやってみよう」と思ったんです(笑)。もちろんシミュレーションですが。

――いやいや、(笑)じゃないでしょ。普通の人はシミュレーションであれ、そんなことやりません。

『ジャッカルの日』などの暗殺ものが大好物なので、つい(笑)。それで、某大物政治家の背後にこっそりと忍び寄って手を伸ばせば届く距離まで近づいたんです。

――それで、SPにチェックされた?

まったくのノー・チェックでした(笑)。僕にその気があって何らかの凶器を持っていたらテロを実行出来ていたと思います。それがきっかけでSPの世界に興味を持ったんです。

――テロリストではなくSPのほうに興味を持たれたのはなぜですか?

僕からすると、あんな穴だらけの警備をするからには何らかの理由があるはずだと思ったんです。そこを掘っていけば面白いものが見つかるかも、と。もしそこに理由がなくてただのシステムの欠陥だったとしても、それを改善させる過程を描けば面白くなるはずだ、と。

――映像化企画として意識したのですか?

いえ、初めは単なる興味でした。当時、SPのことといえば吉村昭さんの短編『動く壁』を読んだり、そのドラマ化作品を見たりといった程度の知識しかなかったので、資料を買い集めるところから始めました。色々と調べていくうちに面白い設定とストーリーが思いついて、これはいけるかも、という確信が芽生えていきました。映画『フライ、ダディ、フライ』の撮影中に、次も何か一緒にやりたいね、と岡田君と話していたので、それにぴったりじゃないかと思いました。ただ、『フライ、ダディ、フライ』が興行的に成功しないと次はないはずだったので、『SP』企画に関しては誰にも話していませんでした。

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