見出し画像

バンドのMVを自分で作ってみて思ったこと

「新曲MV見たよ!ヤバいね!」
色んな人からそんなLINEをもらった。今までの作品の中でも一番多くの反応をもらった気がする。

愛はズボーン-ケミカルカルマofficial music video

この作品のようにぼくが中心になって愛はズボーンのMVを作るのは今回で18本目だ(多分)。
バンドをはじめた最初の頃は
「アートワークも映像もぼくが自分で作ってる」
と言うと先輩ミュージシャンやライブハウスのブッキングの人に
「そんなのいつまで続くんだよ?」
とか
「今はいいけど先を考えなきゃね!」
などとよく言われた。
きっと20代前半のぼくがその先10年以上も独学でMVを作り続けることを想像できなかったんだろう。

その人たちは総じてライブハウスや業界の現場にはもういない。きっと先のことを考えすぎて続かなかったんだろう。ワッハッハ!
ぼくはまだまだ現役だ。今日だって発表前の次のイベントフライヤーのデザインを考えている。

全部自分でやらない。でも全部誰かに任せない。

とはいえ、最近のぼくは「全部自分でやる」を辞めている。今回の『ケミカルカルマ』(2022)のMVだって、カメラマンのうつのみやのスキルが無ければ到底完成しなかっただろう。

だけど、彼にオファーをかけたから完成するってものでもない。ぼくとうつのみやの関係性やぼくから見たうつのみや、彼から見た愛はズボーンをお互いに理解しあった上でないとこのMVは完成しないのだ。

全部誰かに任せないし、全部自分でやらない。それが今のぼくの強みなのかな。

お互いが光る土台を作って、あとは相手を信じる

うつのみやと映像作品についてよく話す。映画にしてもMVにしても。彼は前々から「手持ちカメラのMVが撮りたい」と言っていた。三脚を使った固定カメラは一切使わない。カメラマン根性炸裂な映像だ。それに対してぼくが愛はズボーンのMV監督をする上で不満に感じていたのは「自分が映るシーンがカッコよくないこと」と「どうしても固定カメラが多くなること」だった。だってカメラを回しながらギター弾けないもんね。

そこで思いついたのが

・背景を排除
・照明は手持ちカメラに固定して一発だけ
・余計な演出も排除

とにかくカメラマンと演者の動きだけに集中する為の「土台」だけを用意してみた。そして完成したのがこの映像!

とにかく排除することに集中した。そしたらバンドもカメラマンも光ったんだなこれが!

リーダーや監督は能動的な人の声を大きくしてあげるのが役目?

MV監督、楽曲のコンポーザー、バンドリーダー。ぼくはだいたいそういう立ち位置にいることが多い。
どうしてもぼくの声は大きい。時々メンバーを萎縮させる時すらあるように感じる。だけど「全部自分でやらない。でも全部他人に任せない」と言ったように出来るだけ周りから意見やアイデアを引き出そうと努力している。

ただ、「意見を出せ」と言われた後に出てくるアイデアにぼくはほとんど興味がない。だってそんな受け身の姿勢から出たアイデアを実現するのは最終的にぼくだから。めんどくさいし面白くない。そうじゃなく、もっと能動的に出たアイデアを膨らませるのがリーダーの役目なのではないかと最近は感じるようになってきた。

カメラマンのうつのみやが「手持ちカメラだけの映像が撮りたい」と言った時にそのアイデアが優れているかそうでないかは別にどっちでもよくて、本人から感じる熱量で採用不採用を決めるべきなんじゃないかな。

「言い出しっぺなんだから最後までやるっしょ?」みたいな「責任クリエイション」ではなく、熱量の高いアイデアに対して全員で乗っかっていくスタイルの「神輿(みこし)クリエイション」のムーブを作るのが今回のぼくの役目だったのだ!

能動的で熱量の高いアイデアをチーム全体に大きな声で伝える。それに対してメンバーが乗っかってくればくるほどいいものが出来上がっていく。そんな風にして今回のMVは完成したのだ!そしたら色んな人からお褒めの言葉をもらえた。

バンドのMVを自分で作ってみて思ったこと

最近は後輩のミュージシャンから「金城さんがやってることを目指してます!」なんて言われたりして気持ち良くなったりすることもある。つまり、アートワークや映像までもメンバーが担当しているバンドマンが増えてきた証拠だ。スマホひとつでMVも作れる時代だしね!仲間が増えたみたいで嬉しいな。

バンドもMV撮影もチーム戦だ、勝ち負けは無いけどね。その時その時にその場で自分自身が神輿(みこし)を担ぐ側なのか、担がれる側なのかを瞬時に判断してその場を盛り上げていく。正しい意見、間違ったアイデア、そんなものはどっちでも良い。その時その場所で一番熱量の高い声を探すこと。それがぼくの思う最高のクリエイションに繋がるのではないかと今回のMVを通して感じた。

この先ずっとMVを作り続けるかはぼくにもわからないけど、ぼく自身が1番熱量の高いアイデアを提示する努力は辞めないだろう。そしてぼくより熱量の高いアイデアを提示してくる人がいればまた監督をすることになるだろう。
誰かに任せるのでもなく、自分ひとりで抱えるでもない。担いでくれる人と担いであげたい人を探し続けることがグッドなクリエイションに繋がるのだ!今回はそんなことを気付かされた作品が出来上がったわけだ!

サポートいつもありがとうございます!全額スタッフや後輩との飲食代に使います。