Crimp, crimp, crimp!
5月から6月にかけて、いくつかの場所でライ麦を押し倒した。
ライ麦をカバークロップとして使い、押し倒して利用する方法は有機で保全農法を実践するのに基本的な方法だ。
畑の場合、ライ麦は乳熟期(milky stage)といって、実を指で潰すとまだ柔らかく白い汁が出る時期が最適である。これより早く倒すと茎が立ち上がってくるし、遅くなるとライ麦が雑草の発芽を抑制するアレロパシー効果が弱まるし、作付けがどんどん遅くなる。
福島市で極早生品種のライ麦(カネコ種苗「クリーン」)を前年の秋に蒔いて栽培すると、押し倒しの最適な時期は5月の終わりごろである。
一方、ライ麦を押し倒しつつ、除草剤を使う場合は作付けに合わせて時期を選択できる。今年の実験では、5月27日に倒して、除草剤を散布した。除草剤を使わない調査区では、6月6日に倒したが、今年の場合は5月末の方が良かった。6月にずれ込んだのは、単に作業の都合で遅くなっただけである。
対照区として耕うんする区画があるが、こちらは4月30日にすき込んでいる。それから1ヶ月、植物が生えず、地面が裸な状態が続くことになる。不耕起区ではその1ヶ月は、春の光を浴びてライ麦がどんどん伸びる。
Crimper(クリンパー)はブレードに重さをかけてライ麦のようなカバークロップを押し倒しながら「折る」道具だ。昨年、会津美里で、今年は南相馬でそれぞれ3mの幅の、トラクターでひっぱるクリンパーが稼働を始めた。当方は、80cm幅のかわいいクリンパーを使っている。こちらは、いまのところ人力で引っ張ることにしている。
クリンパーの重さは、ブレードの長さが1mならば、115kgの荷重をかけるのが、目安だ。そのため、本体内部に水を入れて重さを調整する。80cmのクリンパーに80Lの水を入れると、引っ張るのは結構辛い。
今年は、二本松実業高校の生徒たちが、クリンパーを自作した。
ちっちゃいので、かわいいなんて思っていたら、実際に使ってみると、このサイズはとても使いやすいことがわかった。
もっとお手軽にクリンプするには、フットクリンパーがある。こちらは、2x6の角材(90cm)にアングル金具を取り付け、3mの布テープを取り付けたもの。人の足で踏むので、折る効果はどうしても小さくなってしまうが、家庭菜園や、圃場の端っこなどでは重宝する。
ライ麦クリンプは世界では広く行われているし、我々も経験がある。畑でも水田でも有効だ。ただし、秋のうちに播種しないといけない。今年初めて4月にエン麦を蒔いて本格的にカバークロップとして試してみた。その結果は、また後ほど。
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