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試乗ノート #7 日産セレナe-POWER 新しいのはe-POWERとプロパイロット2.0だけ?

・2022年に6代目にフルモデルチェンジしたセレナに追加されたe-POWER版。

・現時点(6月1日)での受注は、7割がe-POWER

・日産自慢の先進運転支援機能の「プロパイロット2」をe-POWER版では標準装備。ミニバンでは初めてのこと。

・e-POWERとプロパイロット2.0の採用によって、価格帯としてもエンジン車とくっきりと二極分化してしまった。e-POWERが319万8800~479万8200円であるのに対して、エンジン車は276万8700~326万9200円。もはや、別のクルマだ。

・試乗した「LUXION」の車両本体価格(消費税込み)479万8200円、「ハイウェイスターV」は368万6100円。

○ インテリアデザインは、シンプルかつモダンで癖のないもの。

○ メーターパネル、センターマルチモニターパネルなども最近の日産流儀のもので、クリアで見やすい。

・エアコンの温度設定などには円形の物理ダイヤルが残されていて、安心する人も少なくないのかもしれない。

・シフトレバーがなくなり、センターコンソールに設けられたパネルに横並びのプッシュボタンで選択する。タッチパネルではなく、ストロークのある“物理ボタン”。

○ レバーが無くなったことによって、運転席と助手席の間には広いスペースが生まれた。ミニバンという、スペースが第一に求められる来るクルマにとって、これは大きい。

X しかし、シフトレバーがなくなったことによって獲得できた、せっかくの空間を活かせていない。

・パワートレインは、新開発のe-POWER専用1.4リッター3気筒エンジンを“発電機”として用いて、駆動はモーターによってのみ行われる。前輪駆動。エンジン車には4輪駆動版もあり。

X 昨年登場したエクストレイルで感じたe-POWER由来の走行中の格別な静粛性の高さは感じられなかった。モーターで走行中に、せっかくエンジンが停止中であっても、タイヤと路面が擦れるノイズや風切り音などが広い車内に反響している。エクストレイルは徹底してボディとシャシー側からも遮音対策を行なっていたのに対し、セレナはミニバンという“箱”なので、あちこちの開口部も大きく、スライドドアという難物も備わっている。セレナはエクストレイルよりも車内空間の容積が大きなことも、さまざまなノイズを反響させてしまっている原因になっているのではないだろうか?ミニバンの宿痾なのだろう。

X プロパイロット2.0が作動可能状態に入ったことがわかりにくい。また、作動可能状態にないことを伝えるために、メーターパネル内部に2行にわたる文章でそれを伝えているのもわずらわしい。OKな時、ダメな時、いずれもオーナーとなって使い慣れてくると、余計にわずらわしく感じるはず。色やシンプルなアイコンなどで済ませられないか。

X テールゲートが大き過ぎて、クルマの後ろをかなり空けないと荷物を積み下ろしできない。

X そのためにリアガラスだけを開閉できるようになっているのだが、手が届かない荷物も出てくる。

X このサイズで、7人&8人乗り仕様を無理して設定しなくても良い。2列目や3列目に3人で座らさせられたくない。


X 2列目中央シートが前方にスライドして運転席と助手席の間に収まる「スマートセンターマルチシート」なるものは中途半端。

・グレードや仕様、オプションなどが夥しく、複雑に入り組んでいる。デジタルで“自分仕様”を発注できるようにするべきでは。難しくないはず。

・少子化時代もあって、3列は不要。3列はもっと大きなラージサイズだけに設ければよい。邪魔なだけ。資料の一番最後に「マルチベッド」という2列仕様を発見。防水シートが標準装備と好都合。ただし、407万~469万9200円(エンジン車365万9700~428万2300円)と高価。

X“新しい”のはe-POWERとプロパイロット2.0だけで、世の中のミニバン像を新しくするほどの新しさは見当たらなかったのが残念。

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