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10年10万kmストーリー 第50回 トヨタ・プリウス(2011年型) 10年5万5000km

 以前から、トヨタ・プリウスに乗り続けている人に話を聞いてみたいと思っていた。
 なぜならば、プリウスが世界初のハイブリッド市販車として世界中でたくさん販売され続け、現代を最も代表しているクルマの一台だからだ。また、いま世界中の自動車メーカーが躍起になって取り組んでいるパワートレインの電動化をいち早く実現した記念碑的なクルマでもあるという点でも見逃せない。
 電動化されたクルマを長く乗り続けた人からリアルな感想を聞いてみたい。
 そう願い続けていたら、取材に応じてくれるオーナーさんがいたのである。そのオーナーさんは以前に取材させてもらったことがある人だ。12年前に、20年10万km乗り続けていたメルセデスベンツ190Eについて話を伺い、NAVI誌の「10年10万kmストーリー」で記事にさせてもらった。
 つい最近、Facebookで僕が以前に取材させていただいた現在92歳の女性の誕生日をお祝いに出掛けたという投稿を見てくれて、オーナーさんが同じように懐かしがってダイレクトメッセージをくれたのだ。
 聞けば、190Eの次に3代目のプリウスに10年5万5000km乗り続けているという。自動車100年の歴史の末に世に送り出された190Eと、その歴史を超越しようとしているプリウス。
 あまりにも鮮やかな対比ではないか!
 オーナーさんだって、あの時は190Eの走りっぷりとメルセデスベンツの思想に心酔し切っていたではないか!?
 190Eが寿命を迎えたならば、その後継のCクラスに乗り換えなかったのはなぜなのだろうか?
 Cクラスが立派になり過ぎたというのなら、コンパクトなAクラスやBクラス、それ以外のSUV群などメルセデスはたくさんに増えた。その中に選択肢はなかったのだろうか?
 メルセデスでなかったとしても、ドイツのクルマへの心酔ぶりを他に振り替えたチョイスはなかったのだろうか?
 別にプリウスが悪いというわけではもちろんないのだけれども、極端から極端に振れているように思えて、僕にはものすごく意外に思えたのだ。これはぜひともその理由と経緯を聞かなければならない。
 さっそく、お宅を再訪した。


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