キャピタルゲイン目的の株主優待銘柄投資

株主優待銘柄にキャピタルゲイン目的で投資するということ

株式投資の楽しみや手法の一つとして、株主優待があり、雑誌やネット記事などでもよく話題が取り上げられます。
この記事でも、優待をもらうような楽しみについて否定するものではありません。

ただ、たとえば1000円の株を最低単元の100株、10万円分投資したとしても、権利落ち日には10%前後もの株価下落になってしまう例がしょっちゅう見られます。
権利落ちで10万円の株が9万円になったとして、損得勘定でいえば、優待や配当をもらっても大した得にはならないどころか、逆に損してしまったということもあるでしょう。

一方で、株主優待があるために、毎年決まった時期に株価が上昇し、うまい時期に買って、うまい時期に売れば、優待を獲得するよりもはるかに確実に大きな利益を得られるケースがままあります。
このように規則的な動きをする銘柄は、中小型株に多く、また非貸借銘柄に多くあります。また、優待がなくても高配当株の場合にも、同じような例が見られます。

大型株や、中小型株でも業績や話題性など優待以外の他の要因によって、買われたり売られたりすることも多くあるのです。
貸借銘柄の場合には、優待の権利を獲得する前の時期に、優待株を持ち越すリスクヘッジとして空売りが入ることもあり、権利獲得前に株価が頭打ちになってしまうことも多くあります。

こうした銘柄ごとの習性をうまく利用すれば、事前に安いところで優待銘柄を仕込んでおき、時期をみて株価が上昇したところで利益確定をするという、比較的リスクが低い方法でキャピタルゲインを得るという方法をとることができます。
優待株の権利月ごとに、時期ごとに銘柄を入れ替えて、同様の投資手法を繰り返すこともできます。

キャピタルゲイン目的の優待銘柄の選び方

上場企業は、東証ほかすべての市場で、2020年末時点では3800以上の銘柄があり、そのうちの1500銘柄以上の企業が株主優待を実施しています。
株主優待があるために、毎年決まった時期に株価が上昇しやすい銘柄は、中小型株に多く、また非貸借銘柄に多いとはいっても、過去数年の株価の値動きの動向を見てみないと、今年も上がりそうだという判断はできません。

株価の規則的なアノマリーを見つけるためには、くまなくチャートを見る

結局、毎年決まった時期に株価が上昇する修正のある株価チャートは、会社四季報などでくまなくチャートを見る必要があります。

毎年決まった時期の上昇は、25~20%以上の上昇がみられる銘柄が望ましい

毎年決まった時期に株価が上昇する銘柄であっても、一回で5%前後しか上昇しないといった規則性のある銘柄も多数あります。
しかし、わざわざ仕込んでから数か月でその程度の利益では、満足のいく投資とはならないでしょう。最低でも10%程度は利益を獲得したいものですが、必ずしも底値で仕込んで天井で売れるとは限りません。

したがって、2割前後は上昇する傾向のある銘柄かどうか、チャートを過去に遡って確認することが大切です。

また、一年に一回の優待の場合には、優待人気の買いはその一回限りの機会に向けて集まります。
したがって、年に二回の優待がある銘柄では、一回当たりの上昇率は小さくなりがちです。

ただし、下記の銚子丸(3075)のチャートのように、半年ごとにそれなりの値幅で上下動を繰り返す銘柄もあります。

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条件を満たす銘柄であっても、業績が悪くなると上昇しにくくなることがあり、候補から除外する

株主優待銘柄の場合には、優待人気のためか、株価が下がりにくいということが言われることもありますが、必ずしもそうではありません。
よほどの優待人気銘柄でもない限り、業績が悪くなったり悪材料が出たりすれば、容赦なく下がります。
多少の業績悪化であれば影響されにくいということはありますが。

下図は、毎年2月の優待時期に向けて上昇する傾向のあった、きょくとう(2300)のチャートですが、2018年以降は株価が右肩下がりになって、期待した成果が得られにくくなっていることがわかります。

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業績や材料などによる需給変化により、株価動向の規則性が薄れる場合があり、候補から除外する

下図は、毎年4月の優待時期にかけて株価上昇傾向が顕著であった、ヤーマン(6630)の2015年までの月足チャートです。

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同じヤーマン(6630)のこの数年の月足チャートを見ると、上記のような傾向はなくなってきています。
業績の絶好調による買いの優勢、貸借銘柄と東証一部への指定などが関係し、株価の季節的な規則性が薄れた例であるといえます。

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優待の条件変化などにより、株価動向の規則性が薄れる場合があり、候補から除外する

下図は、毎年5月の優待時期にかけて株価上昇傾向が顕著であった、アイケイ(2722)の2015年までの月足チャートです。

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しかし、株主優待に長期保有を優遇する変更がされてからは、毎年決まった時期に売るという動きがなくなったためか、上記のような傾向はなくなってきています。

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キャピタルゲイン目的の優待株投資は、時期で買って、時期で売る

筆者は、様々なチャートを見た結果、キャピタルゲイン目的の優待株投資は、銘柄によるクセはあるものの、一般的には、権利月の5~6か月前に買い、1~2か月前までに売るという方法が有効であると判断しています。

ただし銘柄によっては、権利獲得の直前まで上昇する銘柄もあり、あるいは権利獲得前に急騰する銘柄もあります。
貸借銘柄は一般論としては2か月前には上昇が頭打ちになることが多い傾向にあります。

相場全体の環境が悪化すると、キャピタルゲイン目的の優待株投資が通用しなくなる場合がある

個別株の業績悪化と同様に、相場全体の環境によっては、キャピタルゲイン目的の優待株投資全体が通用しなくなる場合があります。
たとえば、2007年~2008年のリーマンショック前の時期などはそうでした。

下図はこの時期を含むアヲハタ(2830)の月足チャートです。優待に絶大な人気のあるアヲハタ(2830)は、これでも他の銘柄よりは株価下落が少なく済んでいます。しかし他の多くの銘柄ではこうはいきませんでした。

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相場環境のいい時は買いは早めに、悪い時は買いは遅めに

リーマンショックのような事態が想定されるときには、キャピタルゲイン目的の優待株投資そのものから、一時撤退したほうが良いと思います。

それほどの下落ではないが、相場全体の調子があまりよくない時には、買う時期は遅めにした方が、下落リスクを少なくできるでしょう。
逆に相場全体の調子が良い時には、早くから上昇し始めるケースが多く、早めに買ってもよいと思います。

キャピタルゲイン目的の株主優待銘柄リスト

以上述べましたことを踏まえたうえで、筆者は、「キャピタルゲイン狙いの優待株銘柄リスト」を編集いたしました。

これは、3800以上の銘柄がある優待銘柄の内、1500銘柄以上の株主優待銘柄と、高配当銘柄の中から、全チャートをくまなくチェックして、毎年決まった時期に株価が上昇しやすい銘柄を、およそ200銘柄ほどピックアップした後に、さらに業績や、その他の要素を勘案した上で100以下のリストに絞り込んだものです。

業績動向、その他の変化をみて、半期ごとに更新していく予定です。

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キャピタルゲイン狙いの株式優待投資。全上場銘柄の中から、1月から12月までの各月ごとに、優待時期に応じて規則的な値動きをする銘柄を100社…

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