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スクラッチって子どもがゲームをつくるだけの、オモチャでしょ?という声に対して・・・

 スクラッチは世界中の子どもたちに受け入れられ、そのよさが認められているはずですが、とりわけ日本では(特に教育現場やプログラミングを職業とする方々からは)、けっこう低く見られたり、偏見の目で見られたりしています。ボクはすっかり慣れっこ・・・開き直ればいいのですが、時々とても残念に思えることがあります。

 さすがに直接言われることはないのですが、そんな空気を感じてしまいます。ネット上には、次のような声がけっこうあがっています。

「スクラッチって、子どもが幼稚なゲームを作るやつでしょ?」

「ブロックを並べるだけで動くって、それでプログラミングっていえるの?」

「ゲームぐらいしかできないんじゃないの?」

「スクラッチじゃ、プログラミング業界では通用しないよ・・・pythonとJavaSclipt ぐらいやっておきたいね・・・」

「アップルストアとかで提供されるアプリには、スクラッチでつくったものはないよ。売れるレベルのものは、できないんだよ・・・」

 こんな感じです。

 ボクがスクラッチで教材を作っているのは、子どもたちの学習に直接役立つものを作りたいという気持ちはもちろんあります。でも、それと同じ、いやそれ以上に、スクラッチというプログラミングツールを使うと、こんなこともできるんだよ!プログラミングはおもしろいよ!と心から思っているからです。

 文科省がICTとかGIGAとかプログラミング教育がどうのこうの、プログラミング的思考がどうのこうのと言っていますが、それはボク自身のモチベーションアップにはまったく関わりはありません。

 「創り上げること」自体が楽しく、それを「使ってもらえること」がうれしい・・・そのことを共感してもらえる人たちとつながりたい・・・そういうことです。

 スクラッチは、子どもにとっても使いやすいし、なんと言ってもインストールなしで無料で使える、作った作品(アプリ)は、ワンクリックで、全世界で共有できる・・・教材開発ツールとしてもすごしし、スクラッチという思想・文化もすごいなあと、何百もスクラッチで教材アプリを作ってきて心からそう思えるのです。

 スクラッチは、見かけ上、子どもが直感的に使いやすいように、コマンドはブロックになっているし、各国の言語になっています。このことはとてもいいことに思えるのですが、その簡単さが許せない方々も少なからずいます。日本でもその昔、文章を書くときは、漢文、ひらがなは、学のない者が使うもの・・・という偏見がありましたが、それと似ています。

 もちろん、pythonとかJavaSclipとか、いわゆるプロ御用達のプログラミング言語・ツールの良さはありますが、スクラッチがそれに劣るものとはボクは思っていません。

 水墨画と、油彩の絵とどっちがレベルが高いとか、クレヨン画がだめで、水彩画がいいとか、そんなのないと思います。自分の表現したい内容・目的に応じて画材を選べばいいですよね。

 プログラム言語を日本語にたとえると、 難しい語句を盛り込んだ研究論文と、その研究論文の内容を易しい語句やイラストを使って伝える子ども向けの本というイメージかな?伝えたいことを、分かりやすくかみ砕いて書いてある本をボクなら選びます。

 大人たちが、スクラッチのことをあれこれ言っている間に、子どもたちは、その良さにとっくに気づいています。そしてプログラミングを自ら高めて、それをスクラッチ文化というレベルまで高めています。

 スクラッチで、ゲームを作る・・・どうせ大したものはできっこないよね・・・という方、そんなことないですよ。ゲームを作るって実はすごくレベルが高いんです。ボクはたくさん教材アプリを作ってきましたが、プログラミングスキルは子どもたちに追いつけません。もちろん、プロがチームワークを組んで、商品として開発するゲームもありますが、子どもたちが自分自身でつくるゲームも、驚くくらい高レベルです。商品レベルのゲームに生まれた時から慣れ親しんでいるゲームユーザーの子どもたちが、スクラッチでゲーム作りに夢中になるのです。それだけ魅力があるということです。

 プログラミングに夢中になると、他の勉強がおろそかになる・・・そう心配される方もいるかも知れません。・・・ボクが実際に子どもたちを見ているかぎり、むしろ逆です。プログラミングに夢中になる子は、自分で考える習慣が確実に向上します。(それをきちんと認めてくれる大人がまわりにいないことは多々ありますが・・・)

 むかし、LOGO(スクラッチの前身)でプログラミングを子どもたちに教えていたとき、ふだん、勉強嫌いを貫いていた5年生の男の子が、

 めっちゃむずい(難しい)から、めちゃおもろい(面白い)と、笑顔で言ってくれたことを思い出します。

 将来役に立つから・・・とか、テストでいい点を取れるから・・・とかではなく、考えること・創ること自体が純粋に面白いという思える経験が子どもたちには必要です。

 別にスクラッチでなくても構いません。pythonでも、JavaScliptでもいいのです。プログラミングという創作活動を心から楽しめる子がもっともっと増えるといいなあ・・・と思います。

・・・あっ、実はもうかなりたくさん増えています。でも、いかんせん、プログラミング教育は教育現場で今ひとつ盛り上がっていません。

 結局のところ、教科書がないから?テストがないから?・・・でも、それを言い訳にするのは大人げないと思います。その価値を教師自身が実感できていないからです。それは、教える側の問題です。

プログラミングの価値を実感できない・・・だから、スクラッチに夢中になっている子たちのことも認められないのです。

 ボクは、ボクなりに、「プログラミングって面白いよ。趣味としてもいいけど、ちゃんと、仕事(教材づくりって仕事でしょ?)でもちゃんと役にたっているよ・・・1年間で200ぐらい作れるだから、開発ツールとしてもすぐれものだよ!」とアピールしてきました。

でも、「自分も(プログラミングを)やってみます!」という声とは出会えていません。ICT活用(タブレット活用)には、みんなかなり熱心になってきましたが、プログラミングにはなかなか向き合えないようです。

 ボクの人望に、問題があるのかな? なんて、いじけていてもしかたないですよね。

 noteの皆様、ボクがこんなに言うから、話の種にスクラッチをちょっとかじってみようかな?と思ったら・・・ボクが、以前紹介した「レッツ!スクラッチプログラミング」をご覧ください。動画つきアプリを紹介する過去記事をご覧ください。今のところ、閲覧数はウルトラ低空飛行です。・・・でもあきらめないで、もう1回(今の職場ではたぶんラストチャンス)職場の皆さんに、「スクラッチ(プログラミング)っていいものだよ」を投げかけてみようかしら・・・

 レッツ!スクラッチプログラミング(カネッチの学舎オリジナルコンテンツ) → ここからお入りください!

2022/02/10 カネッチ




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