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出張

もう忘れることはできない。

今日から月1の出張。今回は沖縄だ。
沖縄に来るのは、3年ぶり。
前回は夏だったから、とても暑くて汗だくになりながら得意先を訪問したのを覚えている。今回は、汗だくにならずに済みそうだ。
しかし、2月だというのにこの暖かさ。さすが沖縄だ。

とりあえず、今日はホテルにチェックインして、前回美味しかったあの沖縄料理店にでも行こう、あれっ?なんて名前だったかな?

(陽も沈み…)

さて、飯行くか!
名前は思い出さないが、場所は覚えてるし、とりあえず行ってみよう。

あれ?ここだったはず。店変わってるわ。潰れたのか?うーん、残念だ。とりあえずこの辺で美味しそうなところを探すか!

おっ、ここは美味そうだな!沖縄料理ではないが、今夜はここでいっか。

“いらっしゃいませぇー”

“1人ですが、よろしいですか?”

“はい、こちらのカウンター席へどうぞ”

素敵な笑顔のスタッフさんだな。

“とりあえず生ください”

なんとなく入った店だったが、いいな、ここ。何を食おうかなぁ〜

“はい、お待たせしましたぁ〜生ビールとお通しの海ぶどうです。紺色のスーツがとってもお似合いですね。今夜はゆっくりしていってくださいね”

えっ、なんだこの娘。めちゃくちゃ愛嬌ある娘だな。今夜は、楽しく飲めそうだな。

(ひとしきり酒と料理を堪能して…)

“ご馳走さまでした!お会計を”

“はい、ただいま”

素敵な笑顔とお別れするのは、少し寂しいが、明日、また来よう。

(次の日)

“いらっしゃいませ〜あっ!”

おっ、覚えてくれてた。嬉しい。

“今夜も1人ですが…”

“はい、今夜もありがとうございます。こちらへどうぞ”

すっかり気に入ってしまったな、ここ。飯も美味いし、スタッフさんも元気があって店にも活気がある。特にあの娘は一際目立つな。可愛らしいコだ。

“みなさん、元気があっていいですね!こちらとしても、美味しく飲めます”

“ありがとうございます^ ^喜んでもらえて嬉しいです”

今夜もいい夜だ。楽しく飲めた。さて、帰ろう。

“今夜もご馳走さまでした”

“あの、もしよかったら、もうすぐ仕事終わるので、この後少しだけ飲みに行きませんか?”

“えっ、俺と?”

“はいっ”

“あ、うん、いいですよ”

“ほんとですか?ありがとうございます。では、これあたしのLINEです。終わり次第、連絡しますね”

ちょっと待ってくれ。なんだこのドラマみたいな展開。まっ、でもここで期待し過ぎもよくないな。楽しい時間が過ごせたらいいな。

“お待たせしましたぁ〜あたしの好きなBARがあるので、そちらをご紹介させてください”

“お、いいね!是非お願いします”

トロピカルな雰囲気がいかにも沖縄って感じのBARだな。

“せっかくなんで、オススメのカクテルをもらおっかな”

“はい!あたしのオススメはブルーラグーンです”

またまた女の子らしいカクテルだね。

“乾杯”

“誘ってくれて、ありがとね。沖縄でのいい思い出が出来たよ”

“いえ、こちらこそ急にお誘いしたのに、ありがとうございます。なんだか、今日お誘いしなきゃ、もう会えない気がして”

なんだ!このかわいさ!騙されてんのか?
期待し過ぎは禁物だから、しっかりしよっ

“俺も、こんなに可愛いコとお酒が飲めて嬉しいよ、ありがと”

結婚してて、奥さんも子供もいるってこと伝えた方がいいかな?でもな…

楽しい時間はあっという間に終わるもんだな。さて帰るか。嫁に連絡もしなきゃだしな。

“俺はこのまま歩いてホテルに帰るから、君のタクシー捕まえよう”

“はい、ありがとうございます”

(タクシーを停め、タクシー乗せるや否や、俺の右腕を強く握りしめてきて)

“一緒に”

マジか!!

こんな目で見られたら、断れるわけない。でも俺には…。

…なんとかなるか。。。

(タクシーに乗り、程なくして彼女のマンションへ)

“今夜だけでいいから、側に”

何かあったんだろうと思わせるほどに、声が震えてる。さっきまで少しでも期待していた自分が恥ずかしくなるほど、愛おしさを感じる。と同時になんとも言えない罪悪感に苛まれる。


“いいよ、おいで”

抱きしめたその身体は

熱いほど、火照っているのに

どこか震えていて

僕はいつの間にか冷静さを失っていた

狭いベッドの中で蠢く君は

まるで何かを忘れるために

濡れた眼で僕を求めた

罪を背負う自分を必死に掻き消して

君に陶酔していく

君の肢体に唇を這わすたびに

まるでさっき飲んだカクテルのように

甘い声が僕の鼓膜を震わせる

鼓動が重なり吐息が混ざる

君のとろける蜜に誘(いざな)われ

二人だけの時間(とき)に堕ちていく

(終)

抱きしめたその身体は

熱いほど、火照っていて

いつの間にか冷静さを失っていた

狭いベッドの中で蠢く君は

濡れた眼で僕を求めた

罪を背負う自分を必死に掻き消して

君に陶酔していく

鼓動が重なり吐息が混ざる

君のとろける蜜に誘(いざな)われ

二人は堕ちていく

#ふしだらな夜


あとがき

最後まで読んでいただきありがとうございます。この小説はTwitterの仲間であるミクタギさん、ちゆきさん、よるくま。さんのペリスコープ番組「ミクちゆくま。のふしだらな夜」の企画、140文字の小説「40代既婚者が出張先で若い女性と恋に落ちる」という設定で書かせていただきました。ペリスコープ内で今回の小説についての考察を仲間とともにわいわいやっておりますので、ぜひそちらも聴いてみてくださいね。短編とはいえ、初めての小説を書かせていただく機会を与えていただけたことに感謝しております。またこの小説の続きはみなさまのご想像におまかせしたいところです。感想などございましたら、是非コメントお願いいたします。

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