【2020年振り返り】9月22日 06BULLS 遊馬ジェシー
※2020年シーズン、印象に残ったことを振り返っていきます。
今回は9月22日の試合について。
誰のために何のために
この試合、ブルズは1点を先制した。しかし堺シュライクス打線の大逆襲にあった。気が付けば5回が終わり13点のビハインド。その時点で登板した投手は全員失点。得点はしたものの、ノーヒットノーラン男・堺の河内山拓樹に対して、ヒットが出ていない。
この日、三塁側のカメラマン席で写真を撮っていたが、その横では、ブルズの投手陣が、苛立ったり、うなだれていたり、呆然とグラウンドを見つめるといった様子だった。
とんでもないムードではあったが、そんな中、ベンチから一人、太くはっきりした声がグラウンドに向かって飛んでいた。この日、9番DHで出場していた遊馬ジェシーだ。
6回、先頭打者として打席に立つと、チーム初安打となるヒットを放ち、そして出口航平の犠牲フライでホームに帰ってきた。
「よっしゃー!!!点取るぞー!!!!」
そう言ってベンチに走ってきた。ナインに向けて、そしてスタンドのブルズファンに向けて、声を高らかに上げた。
(ホームインする遊馬)
遊馬はその打席をもって交代。だが、重いムードの中、ベンチから声を出すのはやめなかった。
「康生、ナイスプレー!」
「野手ー!準備!外野手肩回して作っとけよー!」
「出口!切り替えろ!」
最終的に20点差の敗戦ではあったが、遊馬の声は途切れなかった。
◆
「僕たちって『野球をやりたいからやっている』んじゃないんですよ。スポンサーや見に来てくれているお客さんのおかげで僕らは野球ができているんですよ」
試合後、その試合を振り返って話してくれた。
「今日も最初たくさんの人がいらっしゃってましたけど、明らかにイニングが進むにつれてお客さんが減ってきている。僕らがそういう試合展開にしてしまったせいでもあると思っています」
前年兵庫ブルーサンダーズでは兼任コーチでもあった。そんな中で、思うところはたくさんある。
「去年僕はファンの方やスポンサーの方に支えてもらえないと野球ができない、ということを身をもって知った一人だと思っています。お金も時間もこの試合に割いてきてくれていることをチーム全体が意識しないといけないと思っています。そして感謝の気持ちを持たないといけないと思います。」
ブルズの野手最年長。社会人としての経験もあり、チームの中でも立ち位置は少し違うかもしれない。自分より年下の選手が下を向く中、遊馬は前を見る。
「試合に来たことを後悔させないように、応援してよかったね、と思ってもらえるようにやっていきたいです」
来季、06BULLSは大きく体制が変わる。会社が変わり、監督も変わる。選手も入れ替わりがあるだろう。
一人一人が誰のために、何のためにチームに今いるのかを考えていけば、きっとチームはよくなっていくはずだ。
(文・写真:SAZZY 2020・11.7)
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