「キャリアの悩み」「ミドルエイジクライシス」大人だって大変なんだ

先日は「うっせぇわ」や「優等生」などの流行曲を引き合いに、若者の気持ちを考察した。

では、大人たちを取り囲む状況はどうだろうか。

会社社会の中では、(自社でも、他社でも)、30代後半から40代にかけて、「このままでいいのか」と不安や葛藤を抱え、不安定な状態になる「ミドルエイジクライシス」に悩んでいる人たちをよく見かける。
また、キャリアに悩む若者もよく見かける。
(というか、いずれも、私もそうだったのかもしれない。)

彼らが悩んでいる問いは、そもそも答えのない無理ゲーなのだ。
・・・ということが、岡田斗司夫「評価経済社会」を読むとよくわかる。
今ミドルエイジクライシスやキャリアに悩んでいる人たちへの参考になるかもと思い、そのことを紹介したい。

近代的自我とは、「自分たちの生き方は自分で考えるしかないんだ」という、近代になってから主流になった考え方です。

近代的自我は私たちにいつも、こうささやきます。
「自分のやるべきことは、全部自分で判断しなくてはならない。それが自分の利益につながる。
だから君が現状に満足していないとすれば、それは誰にせいでもなく君の責任なのだ。
君が「近代的自我」を確立していないから、自分のやるべきことが判断できないのだ。
だから、もっと考えなくちゃいけない。
もっといろんなことを勉強して、新聞を読んで本を読んで、考えなきゃいけない」

評価経済社会 岡田斗司夫

一昔前は情報量が限られていたので、近代的自我が成立し得たが、
社会が複雑化・細分化された今、それを全部理解して自分で判断しろというのはほぼ不可能だという。

「自分の意見を持て」と言っているオジサンたちにしても、自分なりの一つの価値観で人生をビシッと統一している人など一人もいません。
「自分はこうあるべきだ」という気持ちと、「でも、こうなってしまった」という公開の間を行ったり来たりしている、というのが本当のところでしょう。

評価経済社会 岡田斗司夫

さらに、今のような情報があふれる時代に近代的自我を確立しようとしたら大変なことになる、と岡田氏は言う。

「自分がどうあるべきか決めなくちゃいけない。よくわからないけれど、とりあえず決めてみる。
決めても、そうはなれない。
そうなるように頑張らなくちゃいけないのか、こうあるべき自分を決めなおさなきゃいけないのか、分からない。
わからないけど、こうえるべき自分だけは決めなくちゃ。自分の意見は持たなくちゃ」
これでは、自分はダメ人間と思う以外、道はありません。

評価経済社会 岡田斗司夫

まさに、この無限ループにとらわれているのではなかろうか。

自分自身を客観視する力「メタ認知能力」をつけ、
このような円環が存在しているということを外から眺めることができたなら、ミドルエイジクライシスも、キャリアの悩みも消える。

これは、映画「マトリックス」のような言い方になるが、
システムの中にいると、そのシステムにはなかなか気づけないが、
一度システムを認知できると、そのシステムに影響力を行使できる可能性が生まれる、ということに他ならない。
私は、そう思う。

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