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身近に生き物を観察できる、都市型水族館

はじめに

水族館といえば、地方の海沿いにあるのが一般的だが、近年都市部での開業が増えている。例えば2012年3月には京都駅近くに「京都水族館」が、5月には東京スカイツリーの商業施設内に「すみだ水族館」などがオープンしている。さらに、今では単なる水族館だけでなく、アートと融合した水族館などもオープンしている。2021年10月、神戸にオープンした「atoa」がその例だ。

ではなぜ、都市型水族館が増えているのか分析していく。

一般的な水族館と都市型水族館の違い

そもそも一般的な水族館と都市型水族館では何が違うのか。
ここでは、都市型水族館というのは、都会に近くまた、アクセスしやすい水族館を都市型水族館とする。

一般的な水族館:規模が大きく、その上天然の海水を大量に運ばなければならず、多大なコストかかる
都市型水族館 :「完全人工海水」と呼ばれる新技術が確立され、安価に人工的な海水を大量製造し水槽内で浄化して、水質を一定に保てるようにしている
※人工海水

では、なぜ都市型水族館が増えているのか、そのワケは徹底された戦略やマーケティング分析が関わっている。

①戦略

戦略を考える際に、4つの順番が大切となってくる。その4つと言うのは「目的→目標→戦略→戦術」だ。これらを徹底すると、「進むべき正しい方向を見定めること」と「人を動かすこと」が身に付く。
それでは、4つの順番について詳細に説明する。

目的:達成すべき使命のことであり、戦略的思考の中では、最上位の概念のこと。
目標: その目的を達成させるために経営資源を投入する具体的な的のこと。
戦略:目的を達成させるための資源配分の選択のこと。
戦術:戦略を実行するためのよりよい具体的なプランのこと。

都市型水族館の場合の戦略
目的: お客様の心に残るようにすること
目標:お客様の全員
戦略:インスタ映えなどを狙う
戦術:最先端の技術やお客様が楽しめるようなイベントを開催する

②AISAS

アイサス(AISAS)とは、消費者の購買行動プロセスを説明する代表的モデルの1つである。インターネット上で消費者がある商品を認知してから購買に至るプロセスで、Attention(注意)→ Interest(関心)→ Search(検索)→ Action(購買)→ Share(情報共有) の頭文字を取ったものである。

従来主流であったアイドマ(AIDMA)に代わる考え方で、「欲求」「記憶」に代わりeコマースにおいて特徴的なプロセスである「検索」「情報共有」が含まれる。

都市型水族館のAISAS

Attention
駅やCMなどに広告を配信している。

京都水族館 CM

Interest & Search

それぞれの都市型水族館TwitterやInstagramなどに投稿する人が多いため「#○○」で検索し、評判や口コミを調べるのが主流となっている。

Action
各水族館を検索すると、充実したHPやポジティブな口コミが多いこともあり、消費者は水族館を訪れようする。

Share
水族館を訪れた消費者は写真をInstagramやTwitterなどのSNSを通じて共有している。

全国各地にある都市型水族館

・アクアパーク品川
2015年にリニューアルオープン。水と生き物たちが、音と光と映像と共に織りなす世界を楽しめる、新感覚の水族館。

・サンシャイン水族館
2011年にリニューアルオープン。「天空のオアシス」がコンセプト。全く新しい非日常空間として「癒し」「安らぎ」「くつろぎ」、そして「ココロ動かす、発見」を提供してくれる水族館。

・すみだ水族館
小規模ながら展示に工夫を凝らした都市型の水族館。大人も子供も楽しめて勉強になり、体験プログラムも多彩な「体験する水族館」となっている。

・東京タワー水族館
東京タワーの1Fにある小さな水族館。世界中の美しい魚・珍しい魚を約900種類、5万匹集め、分類・展示している。

・京都水族館
梅小路公園の中にあり、生き物や自然とのつながりを深く感じられる水族館。「近づくと、もっと好きになる。」をコンセプトとして掲げている。なお京都水族館とすみだ水族館は同じ会社が運営している。

・atoa (アトア)
アクアリウムとアートが融合した新感覚の都市型水族館。それぞれのゾーンには、そのテーマを形象するシンボリックな水槽を配し、訪れた人々に癒しと感動を提供し、新たな文化施設としての体験価値を創造する。

・スマートアクアリウム静岡
松坂屋静岡店本館7階にある水族館。誰もが、いつでも身近にアクセスできる非日常の世界で、スタイリッシュな空間のなかで、生きもの美しさや不思議を発見し、未来の暮らしのヒントを手に入れる場所となっている。なおatoaとスマートアクアリウム静岡は同じ会社が運営している。

また日本だけでなく世界にも都市型水族館がある
・X park (台湾)
日本の横浜八景島が2020年8月に台湾桃園市にオープンした新都市型水族館。現実と非現実が交錯する、不思議な「もう1つの地球」。まるで本当にその場所に行ったかのような感覚を五感を使って体感できる。

おわりに

今回、都市型水族館について分析したが時代が進むにつれ、新しいタイプの水族館が全国各地で広がり、現在でも増えている。都市型水族館の多くは、人工海水という高度な技術を利用して、小規模でも水族館を作ることができるようになった。新たな水族館としてぜひ多くの方に利用してほしい。

参考文献

街中の水族館が増えているのはなぜ?
https://www.nikkei4946.com/knowledgebank/visual/detail.aspx?value=101&page=4#list
戦略について
森岡毅 「USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門」 p93〜p133
X park
https://tabilover.jcb.jp/twn/blog/leisure/20210709
AISAS
https://jp.marketo.com/content/marketing-framework.html
都市型水族館と地方型水族館の推移
https://senshu-u.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=12398&item_no=1&attribute_id=32&file_no=1

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