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コストコ転売はなぜ流行るのか

本論ではコストコ再販店の流行について、マーケティング的視点から分析していく。コストコ再販店とは、再販売する業者が本家のコストコ店舗に商品を買い付けにいって、自身の店舗で商品を販売する店舗である。再販する際に買い付け額よりも高い値段で売り、その差額を利益とする商売である。2024年6月地点で、全国に120店舗以上存在しており、現在もその店舗数を伸ばしている。【1】

5C

まずは、コストコ再販店についての5Cを用いた分析を行った。

①Companyについて
コストコ再販店は、上記の方法に依って利益を得る店舗である。商品の量、立地、年会費の有無などの差別化によって、本家コストコとは異なった客層(詳しくは後述)へのアプローチを行っている。

②Competitorについて
商品ジャンルの幅広さ、立地(駅周辺、ロードサイド、市街地)【2】や気軽さという共通点において、スーパーマーケットが競争相手として考えられる。また、同じ商品を扱う本家コストコや同業のコストコ再販店とも競合している。

③Consumerについて
主なターゲット層は、本家コストコを利用してみたい人、あるいは何かしらの不都合で利用できない人。また、本家コストコほど大量の商品を必要としない人。詳しくは後述する。

④Customerについて
中間顧客として、コストコ再販店の仕入れ元となるコストコ本社や、商品の仕入れ販売を行う再販店の従業員(商品の仕入れ、販売)が挙げられる。

⑤Communityについて
コストコ再販店の流行に関わったと思われる社会情勢として、SNSなどの発展による「コストコ」のブランド化による需要の上昇や、一人暮らし世帯の増加、物価のインフレ、SDGsの推進によるフードロス懸念による大量の商品への忌避が挙げられる。【3】

以上が、コストコ再販店に対する5C分析の結果だ。

WHO

次にコストコ再販店におけるWHOについて分析を行った。コストコ再販店のWHOを検討する前に、本家であるコストコのWHOを見ていく。コストコにおける「WHOは年収500万円以上の中流より上」[4]である。

コストコの特徴として、商品自体が他の店よりも大きく、大容量であるにも関わらず、価格が安いことが挙げられる。WHOに対して安く、大量に商品をまとめて購入してもらう狙いがあり、普段忙しい人にとっては時間を節約することに繋がる。また、都市郊外に位置する店舗が多くあり、車がないとアクセスしにくいという特徴もある。

では、これらを踏まえた上でコストコ再販店のWHOを見ていく。コストコ再販店は年会費不要でコストコの商品を購入することができる店で、普通大容量であるところを小分けにして販売している特徴がある。比較的電車の駅からアクセスしやすい位置に展開しているという特徴がある。したがって、コストコ再販店のWHOはひとり暮らしやコストコに興味があり少し試してみたいという人々であると考える。また、車を持たない人でも簡単にアクセスできる。また、コストコにはある年会費がコストコ再販店では必要がない。年会費は払いたくないが、コストコ製品を購入したいという顧客もターゲットになると考える。[5]

WHAT

次にWhatについて分析を行った。Whatとは、競合他社のブランドと自社ブランドを比べたときに、自社ブランドはどのような点で有利かということを表すものである。どのような会社が競争相手となるのかは5C分析のCompetitorで述べた通りだ。コストコに関して、このWhatに該当することは3点あると考えた。

まず、1つ目はコストコの商品をコストコ会員にならずに、つまり会費を払わずに買うことが出来るということだ。これは、会費を払わなくていいという意味ではコストコと比べた時に有利であり、コストコの商品を買えるという意味では他のスーパーと比べて有利であると言える。

次に、2つ目はコストコとは違って小分けになっているため、大量にはいらないという人も買いやすいということだ。これは、1度に大量に買わなくてはならないコストコや業務スーパーと比べた時に有利であると言える。

3つ目は、仕入元のコストコが安いため、再販でもあまり値段が高くならないということだ。これは、他のスーパーと比べて有利な点である。

これらの理由から、この3つの観点から見たときにコストコ再販店は他社ブランドと比べて有利であると言える。【6】

4P

次にマーケティング・ミックス(4P)の分析を行った。初めにProductについて述べる。コストコ再販店における商品戦略の一つとして、まず、コストコ商品が購入できる点だ。通常のコストコ店舗は会員制であるため、年会費が必要だが、再販店では会員登録の必要がないため、より多くの顧客が手軽にコストコの商品を購入できる。利用回数の少ない人にとって、年会費の有無は重要となるだろう。また、再販店は人気商品をそろえているため、コストコの定番商品やベストセラー商品を手に入れることができる。これにより、顧客は品質が保証された商品を安心して購入できる利点があり、再販店で小分け販売していることから、お試しで購入ができる。

初めて購入する商品に対して少量から試せるため、顧客は自分に合った商品を見つけやすくなる。新しい商品の開拓することができる。また、再販店では、小分けで購入することができることも大きな魅力だ。コストコの大容量商品を購入する際に発生する無駄を避け、必要な分だけを購入できるため、家庭の消費量に合わせた買い物が可能となる。一人暮らしや高齢者にとっても、欲しい商品が小分けで販売していることから、大量の同じ商品を手に入れることをせず、少量を手に入れることができる。しかしながら、再販店は実際のコストコ店舗より品揃えが悪い点もある。コストコ再販店が限られたスペースで営業しているためその分、厳選された商品が提供されている。【7】

次にPriceについて。コストコ再販店における価格戦略は、原価の把握が重要になってくる。コストコから仕入れる商品の購入価格だけでなく、輸送費、人件費、保管費など再販にかかるコストを正確に把握することが必要となる。そのため、コストコの販売価格より2~4割割高な価格になっている。【8】これにより、適切な価格の設定が可能となり、利益を生み出すことができる。

次に、価格の設定する際、競合分析が必要となる。同じような再販店が多数存在することから、競合他社の価格設定やプロモーション活動の理解が必要だ。市場調査を通じて、競合他社の価格や販売戦略を分析し、自店の強みや差別化ポイントを明確にすることで、競争力を維持が可能となる。例えば、競合他社よりも若干低い価格を設定することで、顧客の購買意欲を引きつけることができる。さらに、独自の付加価値を提供することで、差別化することが可能となる。他店にはないサービスの提供により、自店ならではの魅力を高めることができる。コストコ再販店の大きな魅力の一つにコストコの年会費がかからず、利用回数が少ない人にはお得ということだ。コストコの年会費は4840円かかり、年に1、2回の利用しかしない人にとって、年会費のことを考えると高いように感じる。【9】

また、一人暮らしや高齢者世帯の人にとって、コストコ再販店では、少しずつ購入することができるため、必要なものを必要な分のみ購入することができ、節約することができる。

次にPlaceについて。コストコが卸売、コストコ再販店が小売りの役割を果たしていると考える。再販店にとって、在庫のリスクを回避することは難しいが、流通コストの観点から見るとコストコ再販店自ら仕入れ、配送をするため、低く抑えることが可能である。コストコ再販店は電車の駅の近くにあることが多い。比較的コストコから近い地域に点在し、消費期限のある食品なども新鮮なまま安心して買えるようになっている。しかし、地域によってはコストコから離れている再販店もある。[10]普通のスーパーとして利用する顧客もいるため、在庫リスクに関しては他のスーパーとあまり変わらない。コストコ再販店のターゲットはひとり暮らしや車を持たない人であり、彼らにとってはまさにコストコ再販店がコストコの役割を果たしているとも言える 。

最後にPromotionについて。5C分析におけるconsumerのところで挙げたターゲットにおいて、このような人に販促を行うには、SNSを用いてより多くの人にコストコ再販店の情報を発信していくことが効果的、効率的であると考える。具体例としてはテレビなどの取材を積極的に受けることや各店舗ごとに作られたInstagramのアカウントを用いた宣伝などがある。例えば、テレビ取材に関しては、YouTube上で多いものだと再生回数が31万回を超えているものもあり、Instagramアカウントだとフォロワーの人数が4桁や5桁に達しているものもある。ターゲット層にあったpromotion戦略こそSNSの活用であると考えた。【11】

まとめ

まとめとして、手軽な「転売」方法によりコストコの特徴をそのままに、また、駅の近辺に店舗を構え、商品を小分けにする。これにより、従来のコストコと関わることの少なかった人たちのニーズに応えることが可能になった。本家コストコのSNSでのブランド化にも成功し、幅広い層の人が「利用したい」と思える店舗となったことがコストコ再販店の流行の理由である考える。
 

参照(最終参照日2024年7月16日)


【1】今話題のコストコ再販店【全国92店舗】会費不要で小分け商品も買える!
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/syougyo/dms/2009/pdf/ws3-3.pdf
【2】立地別にみる商店(立地環境特性別)
https://hubmedia.co.jp/costco/costco-resale-store/costco-resale-store-all/
【3】コストコ再販店に勝機あり ブームの裏にある強気の戦略
https://mainichi.jp/articles/20240606/k00/00m/020/205000c
【4】コストコの客層の年収とターゲット|あなたはコストコに見合う人物か
https://takeshi58.com/costco-annual-income-customer-base#google_vignette
【5】【2024】コストコ再販店とは?仕組みや魅力と全国の店舗も紹介
https://aumo.jp/articles/4316460
【6】【「小分け」「会員費なし」で人気】 「コストコ」から商品を仕入れて再販する店が増加 【newsおかえり】
https://youtu.be/f_7-it-bd1Y?feature=shared
【7】2年で10倍増のコストコ再販店!多少割高でも「得する」のはどういう人? | 女性自身
jisin.jp
【8】 コストコ再販店って何?仕組みやどれくらい高いかを調査!ディナーロールの値段は? | R30ブログ
gohantublog.com
【9】 会員登録 | Costco Japan
https://www.costco.co.jp/membership
【10】コストコ再販店とは?仕組みの開設と利用するメリット6つとデメリット3つ
https://2tsumuji.com/costco_resale_store_features/
【11】話題の「コストコ再販店」って一体なに!? 年会費無料で少量買いOKなど魅力がたくさん - macaroni
https://macaro-ni.jp/154506

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