メリタ式ドリップを解説!コーヒーが好き。メリタが好き|金澤屋流ペーパードリップ教本
ペーパードリップの歴史はメリタの歴史!melitta と書き「メリタ」通称「メリタ式」で愛されるコーヒー機器メーカーメリタ社の「メリタ式ペーパードリップ」を金澤屋流に解説します。
メリタ式の特徴や美味しい淹れ方の図解や動画を交えて美味しさ抽出の秘密とは?コーヒーの抽出に1歩2歩進んだ解説となっております。初めての方向けというより普段からドリップをされている方、どうしたら美味しく淹れられると考えている方にお勧めします。
初めまして「メリタ」
創業1908年のメリタ
(メリタジャパン創業1974年)
ネルドリップの良さを残しながらお手入れやメンテナンスの面倒を省いたものから生まれたのが「ぺーパードリップ」です。1908年ドイツのメリタベンツ氏が考案したのがメリタのそして世界のドリップの歴史の原点とされています。
ペーパードリップの歴史の原点とも言われる背景には、珈琲に対する愛情から生まれた始まりがあります。
世界的に初めて考案されたコーヒーフィルターは、1908年真鍮の容器の底に穴をあけ、円形の紙を敷いてまんべんなくお湯をかけるよう穴の開いた蓋をしたものでした。
考案したのはメリタベンツ夫人。メーカーの名の通り(^^)
当時は珈琲を淹れるのに手間がかかり(ペーパードリップ器具はない時代)夫にもっと美味しい珈琲を簡単に淹れられないかという疑問から日々工夫を凝らし生まれたようです。
真鍮を使用するなど現在の形とは全然違いますが、第1次大戦、第2次大戦などの勃発により資源、製造が安定せず、いろいろな過程を超えて試行、製造、販売へと現在の形になりました。
今では当たり前の一つ穴代表メリタ。
この形になったのは、1963年頃とされています。
メリタジャパン創業は、1974年です。日本ではメリタ、カリタが並んで売られメリタ派、カリタ派など愛着を持って長年親しまれています。メリタは、ドリッパーではなくフィルターと呼びます。
→扇形で底に穴が1つの「アロマフィルター」
(穴は底よりもやや高い位置についている)
→扇形で底に1つ穴「コーヒーフィルター」
専用の紙フィルターをセットしコーヒーを淹れます。
ドリッパーの材質は、樹脂、陶器。
メーカー規定のメジャースプーンは1杯=8g
比較的安価、手に入りやすくスターターにお勧めしやすい商品です。
<特徴>
簡単
誰でも淹れやすい
手に入りやすい
穴が1つでろ過速度が安定。誰が淹れても同じ味わいになりやすい。
クリアな味わいから深みのある味わいも出せる。
2つのメリタ「コーヒーフィルター」と「アロマフィルター」
「コーヒーフィルター」SF-M 1×1、1×2、1×4
内側に刻まれたミゾがお湯の流れをコントロール。コーヒーを蒸らした後、必要な杯数分のお湯を注ぐだけでベストな味と香りを抽出できる。
価格450円~
「アロマフィルター」AF-M 1×1、1×2、1×4
価格 470円~
メーカー推奨の淹れ方
最初に粉を蒸らす。
炭酸ガスが抜けたころ30秒ほど待ってからは一気に湯だまりができるようにお湯を注ぐ。
推奨抽出時間 3分~4分
紙フィルター/扇形
杯数と粉の量の目安
1杯分 120㏄ 8~10g 中挽き
2杯分 240㏄ 16~18g 中挽き
濃度感を出す際は、細かめに挽くと良い。
金澤屋流メリタコーヒーフィルター|解説
扇形。上部まで伸びた複数のリブ。
内側につけられたリブは、側面と正面で数や刻み方も違いがみられる。お湯の流れをコントロールする考えのもと造られている。
こちらは、お湯を注ぐ目安のラインです。1杯分は1、2杯分は2まで注ぎます。形状は扇形。(杯数の目盛りの数字は、人によって注ぐ湯量が異なる為、出来上がりの量は前後するが大体の中速の速度で淹れた場合と言える。
1×1 1度の給湯で 1杯 125㏄
1×2 1度の給湯で 2杯 250㏄
1×4 1度の給湯で 4杯 500㏄
のコーヒーが出来ます。
最大の特徴は、底ではなく底よりも少し上につけられた小さな1つ穴。注がれたお湯は、底にたまりながら落ちていく仕組み。
メリタアロマフィルターAF-Mの本体の構造
アロマフィルターは、現在メリタの定番とも言える存在ですが、もともとはコーヒーメーカー用として日本で開発されたフィルターです。底よりも上部についた抽出口である穴はサイフォン効果でしずく漏れを防止する働きがあります。
金澤屋流メリタ「アロマフィルターAF-M 1×2」で淹れる|動画解説
<抽出のコツ>
1. 紙側にお湯をかけない。
2. 細長い底に合わせて楕円状にたっぷりと乾いた粉が閉める十分なお湯を回しかけます。炭酸ガスが放出され、コーヒーの粉は膨らみます。膨らみ切るまで30秒ほど待ちましょう。
3. 蒸らしの後は、一度にお湯を注ぎきるのですがここでは、突然たっぷりと注がず少しだけさし、きめ細かな泡が出るかの確認をし、クリーミーに泡が溢れ出てきたら注ぎの開始です。
4. 抽出速度が安定してきたらお湯を太めに、そして大きな円状い注ぐ。抽出量まで続けて注ぐ。
5. アロマフィルターは、穴が底よりも上部についているのでドリッパー内のお湯は、そのまま放置しても、落とし切らない仕組みとなっています。ゆえに、ドリッパー内に浮いたコーヒーの雑味がろ過されずクリアな仕上がりになります。
メリタアロマフィルターAF-Mを考える雑味をセーブする構造
蒸らし:上部まで伸びたリブによって、コーヒーの炭酸ガスがしっかりと抜け、コーヒーのポテンシャルを引き出す準備作業が短時間でしっかりと出来ます。ここは躊躇せずたっぷりとお湯を注ぎます。
ガスが抜けた後:ここでは、穴が1つしかない為ろ過速度が一定に保たれます。抽出量になるまで注ぎ切って完了です。
味がしっかりとでる工夫は、底ではなく底よりも上につけられた穴。コーヒーは、一旦底にたまってろ過されます。また、抽出の最後には、雑味をドリッパーに残してろ過ができるので効率が良い穴の造りとなっています。
メリタアロマフィルター抽出のイメージ
蒸らしで、コーヒーから出る炭酸ガスを抜いた後は、抽出を一度に勧めます。小分けに注ぐ必要はなくフィルターの中のコーヒーをお湯に漬け込み同じ時間で抽出を完了させるというイメージで注ぎます。
底よりも上部についた穴のお陰で粉とお湯がしっかりと浸透しろ過される。落とし切ってもフィルターの内部には、底に少しだけお湯がたまる仕組みとなっている。ドリッパーには、灰汁が残る。
ドリップで難しいとされる蒸らしのガス抜きが効率よくしやすく
薄くなりやすい味のコントロールは、一つ穴で安定速度でカバー。
更に雑味は、落ち切らない。
3点セットで嬉しいアロマフィルターは、初心者の方でもうまく淹れやすいと言えます。
金澤屋流メリタコーヒーフィルター|解説
扇形。リブがフィルターの半分ほど伸びています。
上部にはリブはありません。
底に小さな穴が1つ。底は細長く、リブの形状高さも特徴的。
赤いラインで1と2の数字がつけられている。
こちらは、お湯を注ぐ目安のラインです。1杯分は1、2杯分は2まで注ぎます。(杯数の目盛りの数字は、人によって注ぐ湯量が異なる為、出来上がりの量は前後するが大体の中速の速度で淹れた場合と言える。
1×1 1度の給湯で 1杯 125㏄
1×2 1度の給湯で 2杯 250㏄
1×4 1度の給湯で 4杯 500㏄
のコーヒーが出来ます。
メリタコーヒーフィルター本体の構造SF-M
流体力学に基づいて「おいしさ」を追求し理想的な抽出ができる合理的な形として現在のメリタの定番のフィルターです。
フィルターの角度や溝の長さは理想的な抽出ができるように設計。フィルターの底の溝でコーヒーの流れを蛇行させ最後の一滴まで残らず抽出できるように造られています。
コーヒーの厚みを出すために敢えて、リブを中間よりも下にしか入れないようにし、注ぎ手の工夫次第で濃厚な1杯を淹れる事ができます。
金澤屋流メリタ「コーヒーフィルターSF-M1×2」で淹れる|動画解説
従来のメリタ式のメーカー推奨の淹れ方では、蒸らしでコーヒーのガス抜きをし、必要な杯数文のお湯を一度に注ぐだけというシンプルな淹れ方ですが、金澤屋流のおすすめの淹れ方は、蒸らしに時間をかけ、その後徐々に抽出を進める淹れ方です。
<抽出のコツ>
1. 紙側にお湯をかけない。
2. 扇形と言う形状を頭にいれ、上から注いだお湯の通る粉の層の深さをイメージしながら注ぐ。底の部分から真上の粉の層が一番深く、ドリッパー側が一番浅い。粉の層が深い部分には、しっかりと浅い部分には最初からたっぷりとお湯を注がない事で抽出ムラ(味が沢山出ている個所と不足している部分)が防げる。
3. 蒸らしは、少量ずつ。底が細く長い形状に合わせて細長い楕円状にお湯を注ぐ。真ん丸でなくてよい。
4.蒸らしの後は、突然たっぷりと注がず少しだけお湯を指し、きめ細かな泡が出るかの確認をし、クリーミーに泡が溢れ出てきたら注ぎの開始です。
5.抽出速度が安定してきたらお湯を太めにそして楕円状にお湯を注ぎます。一度に注がず、粉の層の深い部分にお湯をしみ込ませた後は、その周りのコーヒーにお湯を広げていきます。
6.中心から出たクリーミーな泡は、フィルター側に広がり抽出が広がっていきます。
7.抽出量までろ過が出来たら完了です。
8. 泡には、コーヒーの灰汁が付着して浮いた状態になっているため、最後はドリッパー内のお湯を落とし切らずに完了させたほうが良いがきちんと抽出が出来ていれば落とし切っても雑味は出ない。
メリタコーヒーフィルターSF-Mを考える安定のろ過速度と雑味をセーブする構造
1つ穴とフィルターの中間までしか伸びていないリブの構造上、お湯の流れはフィルターに刻まれたリブから下で作られます。リブよりも上の上部では、紙とフィルターが密着し抽出過程でしっかりとお湯を浸透させて深みのある味を引き出せます。
ただし、蒸らしの際には、紙とフィルターが密着している為、炭酸ガスはリブよりも下からしか抜けない構造となり、ゆっくりとお湯を中心下部の粉の深い部分から浸透させないと、ガスは抜けきらず、抽出不足となりやすいという事が挙げられます。
抽出後半では、先にお湯が浸透し味が出きった粉からフィルターの中に沈殿。最終的には、沈殿した粉がフィルター中心部に溜まりコーヒーの粉で濾過槽ができる。この濾過槽は、泡に付着して浮いた雑味を落とし切らない役目を持っている大切な層です。
メリタコーヒーフィルター抽出のイメージ
抽出の構造をまとめるとこうなります。↓
抽出の始めに美味しい成分が沢山後半は、どんどん味が薄れ余分な味も出やすくなります。
お湯の注ぎは、抽出前半でほどくゆっくりとフィルターの底のラインに合わせて楕円状に注ぐ。
中盤では、中心ではなくややフィルター側のコーヒーを中心にお湯を注ぐ。湯は太めに注ぐ。(中心ばかりに注ぐとその部分だけが過抽出になります)
蒸らしの後の抽出では、数回に分けて注ぐ事でコーヒーの濾過槽を作る事ができる。
メリタ式コーヒーフィルタ―扇形①粉をセットした際の基本構図
上から見ると丸く、斜め横から見ると楕円状に見えます。更にフィルターを真横から見ると粉の層は、細長い底から垂直の上部が一番深く、フィルター側に近づくとどんどん浅くなる傾向です。
という事は、お湯を真上から真ん丸に注ぎ続けると浅い部分ではお湯が行き過ぎる、そして深い部分ではお湯が足りないという事も起こる可能性が高くなります。
そういったムラは、お湯と粉が浸かりすぎて沢山味の出すぎた部分と逆に少ない部分で味が出きっていないという抽出ムラに繋がります。
フィルターの中身は、透明でないのでわかりにくいですが乾いた紙フィルターの湿る具合を見てお湯の偏りがよくわかります。
メリタ式コーヒーフィルター扇形②形状と穴を考える
扇形のカリタ同様メリタも円錐1つ穴と比較すると同じ事が起こります。ただしメリタの場合は、小さな1つ穴。ゆえに3つ穴のカリタよりもゆっくりとお湯がフィルター内に溜まりながらろ過されます。カリタよりはしっかりとした味を引き出しやすいと言えます。(濾過槽が一番深くなる円錐形コーノは一番味を引き出しやすい)
メリタ式コーヒーフィルター扇形③2つのメリタ比較
2つのメリタでは、違いが出る。
穴の構造上、アロマフィルターでは、お湯が長く留まってろ過される傾向である。何も考えずに淹れるとするとアロマフィルターの方が味を引き出しやすい。
メリタ式コーヒーフィルター扇形④リブを考える
また、リブが上部までついているのでガスの抜けの効率がよく味を引き出しやすい。通常のコーヒーフィルターSFシリーズでは、蒸らしをしっかりと行う事でより味が安定する。
メリタ式抽出中のお湯の流れをイメージする
メリタ式の抽出中のお湯の流れをイメージして見ました。
円錐形コーノ式名門Kとメリタアロマフィルターそしてメリタコーヒーフィルターです。↓
お湯は、リブのない部分でフィルターにぶつかり中心へと流れ、粉とお湯の浸透時間が長くなります。リブのある部分では外へそして下へ流れます。リブが上部までついたフィルターほどお湯の流れは早く色々な方向へ向いて流れます。
上記構造上から、メリタのアロマフィルターはお湯の流れが速くなると同時にガスの放出も早くなります。それでも底よりも上部に空いた抽出口の1つの穴がろ過速度をゆっくりとコントロールしバランスを保っています。
2つのメリタ「コーヒーフィルター」と「アロマフィルター」まとめ
メリタのフィルターは、1つ穴で安定のろ過速度。
フィルターの構造で美味しさを短時間に抽出。
フィルターが抽出をコントロールしてくれるので誰でも簡単に美味しく淹れることが出来ると言えます。
アロマフィルターAF-Mシリーズは、より簡単。
内側に刻まれたミゾがお湯をコントロール
コーヒーを蒸らした後に必要な杯数分のお湯を注ぐだけれベストな味と香りを抽出できるアロマフィルター。
お湯を注いで落とし切っても最後までは落とし切らないフィルターの構造により何も考えずに淹れることが出来る浸漬法タイプ。
粒度と粉のバランスを調整する事で誰が淹れても同じような味を再現しやすいと言えます。
コーヒーフィルターSF-Mシリーズは
注ぎのコントロールでよりコーヒーの味わいをよりバランスよく出したり、深みのある味が引き出せます。お湯のコントロール加減で味の濃淡が出やすいのである程度の技量が必要になると言える透過と浸漬を合わせたタイプ。
アロマフィルターが初心者でも使いやすくコーヒーフィルターはより上級者向けと言えます。
メリタ式ドリップの解説でした。
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