見出し画像

浅草芸人列伝 この芸人はスゴイ〜おぼん師匠

【漫才協会所属。誰よりも舞台袖で他の芸人のネタを見てきた男が綴る意外な芸人のスゴイところ】

どうも!漫才協会所属の芸人、金谷ヒデユキです。先週から始めましたこの連載「浅草芸人列伝 この芸人がスゴイ」。漫才協会の芸人の凄さをお伝えしていく企画。

今回ご紹介するのはこの方。今や「世界一仲の悪い漫才師」として有名になってしまった「おぼんこぼん」の大きい方、おぼん師匠です。

おぼん師匠の何が凄いかと言いますと、70才を超えてもなお衰えぬバイタリティとサービス精神。これがスゴイ。

今でも口癖は「もっと売れたい。もっと売れたーい!」。若手芸人のような貪欲さ。舞台に立てば、お客さんがどんな状態であろうと「他の誰より笑い取ったる!」と全力投球。

そして飲みに行けば行ったで、一緒にいる芸人はおろか隣のテーブルで飲んでる見ず知らずのお客さんにまで話しかけて楽しませる。店を出れば今度は街を歩く外人観光客にも「ハーイ!アイアム、ジャパニーズ、コメディアーン!」と大声で呼びかける。あげくの果てには「カァー!カァー!カァアァァァアアアーーーーーーー!」とカラスにまで話しかける。度を越した社交性。

「なんでそんなにサービス精神旺盛なんですか?」一回おぼん師匠に聞いた事があります。その時返って来た答えがこれ。「昔、ラスベガスのショーを見に行ったんや。そん時ステージに立ってた芸人がワシらの顔見て、日本人がおるって気づいたんやろな、ワシらのためだけに三船敏郎のマネしてくれてん。他の客ポカーンとなっても、ワシらだけを笑わそ思たんやろな。それがずーっと忘れられへんねん」。

意外にもラスベガスからもたらされたサービス精神。しかし時にはそのサービス精神が裏目に出る事も。

2019年2月27日。後に「2・27事件」と呼ばれ、語りつがれる事となった「水曜日のダウンタウン」での師匠ドッキリ企画。あの事件以来、漫才協会以外の芸人たちにも、おぼんこぼん師匠の仲の悪さが話題になって行きました。

そしてそこから一月ほどたった2019年4月5日。さらなる事件が起こったのです…。

ここから先は

1,765字

¥ 100

「もっと読みたい」って思ってくれたら嬉しいです。サポートしたいと思ってくれたら、もっと嬉しいです。おひねり感覚で是非!喜ぶよ。