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メンタリスト炎上で思い出す光景
メンタリストDaigo氏がYouTube上で発した差別発言。
「ホームレスの人たちの命は自分にとって軽い。必要のない存在」。
このニュースを聞いて真っ先に思ったのは「メンタリストは自分にとって必要のない存在だけど、エロテロリストは絶対に必要」という事です!
カムバック!インリン・オブ・ジョイトイ!
それを踏まえた上でお話します。聞いてください。
このニュースを聞いて、ふと、とある光景を思い出しました。
それは裁判所の法廷シーン。
今から8年ほど前になりますが、裁判の傍聴にハマっていた時期があります。初めは軽いネタ探しのつもりだったのですが、次第に人生の縮図のようなものが垣間見られる瞬間があり、足しげく通うようになりました。
朝10時の開廷から、様々な法廷室を行ったり来たり。裁判所の地下の食堂で昼食を取り、午後の法廷へ。
そんな日々の中で目にした裁判風景が思い起こされます。
例えば窃盗罪で捕まった被告の裁判。
まずは弁護人から被告への尋問が行われます。
「被告人に質問します。あなたは〇月〇日、○○さん宅に侵入し、窃盗を働いた事を認めますか?」
「はい。認めます」
「盗んだ現金はどうしましたか?」
「被害者の方に全額返済しました」
「なるほど。全額返したわけですね。今どんな気持ちですか」
「はい。二度と同じ過ちを繰り返さないよう、深く深く反省しています」
「深く反省していると。分かりました。同じことを繰り返さないために、どういう生き方をしようと思っていますか?」
「はい。弁護士の先生に作って頂いた『再犯防止プログラム』を毎日実行し、正しい人間になるよう努力していきたいと思います」
「分かりました。裁判長、こちらからは以上です」
こんなやりとりを傍聴席で聞いていると「被告人も十分反省してるみたいだから刑期を軽くしてもらえるといいなあ」なんて思い始めます。
続いて検察側からの反対尋問。
「被告人に質問します。今あなたは、『二度と同じ過ちを繰り返さないよう、深く反省している』と言いましたね」
「はい。言いました」
「それは本当の気持ちですか?」
「はい」
「そうですか。ところであなたは、二年前にも同じ罪で捕まっていますね」
え?そうなの?新事実発覚!
「はい」
「その時行われた裁判の時に、何と言ったか覚えていますか?」
「…」
「ここに裁判の記録があります。その時あなたは『二度と同じ過ちを繰り返さないよう、深く反省している』と言っていますね」
「…はい」
「『二度と同じ過ちを繰り返さない』と誓ったあなたが、今、また同じ罪でここにいる、という事ですね」
「…はい」
「そして、あなたは四年前にも同じ罪で捕まっていますね」
えーーーーーっ?
「その時も『二度と同じ過ちは繰り返さない』そしてその前も『二度と同じ過ちは繰り返さない』同じことを言っている。あなた合計5回捕まってるんですよ。そして今また、この場で『二度と同じ過ちを繰り返さない』と言う。この言葉を信じる人がいると思いますか?
「…」
「何も答えられないんですね。分かりました。裁判長、以上です!」
バッサリ!ダメだこいつ常習犯だ。同情の余地なし。
そんな傍聴の日々の中でたどりついた、とある気付き。
「あ!ここにいる人たち全員、ありえたかも知れない自分自身の姿だ!」
今は傍聴席に座って他人事みたいに裁判を眺めてるけど、それは偶然にすぎないんじゃないか?もしかしたら傍聴席じゃなく被告席に座ってる可能性もあるし、今後絶対座らないとも言い切れない。
理不尽な体験をして正義感に目覚め「絶対に悪人を許さない」と猛勉強に励んでいたら、検事となって検察官の席に座っていたかもしれない。
「つらい境遇から犯罪に走ってしまう弱い人間を助けたい」と弁護士資格を取り、弁護人席に座っていたかもしれない。
単純に「法律って面白いなー」と六法全書にハマって読み漁っていたら勝手に全部覚えちゃって裁判官の席に座っていたかもしれない。
そう考えると、どこの席に座っているかは、めぐり合わせ。
今は傍聴席で呑気に「メンタリストは僕の人生に必要ない存在」なんて言ってるけど、もしかしたらメンタリストにしか救いを求められない側に回っていたかも知れない。
身体や心を病み、働きたくても働くことが出来ずにホームレスになっていたかも知れない。もちろんこの先、ホームレスになる可能性だってある。
教育熱心な家庭に育ち、優秀な弟と比較され、劣等感を克服するためにメンタリストそのものになっていたかも知れない。
M字開脚を編み出し、優秀なエロテロリストになっていた可能性だってある。
すべての人が「ありえたかも知れない自分自身」の姿って考えると、ちょっとだけ世界がおだやかになるんじゃないかな?って思います。
ちなみに裁判傍聴体験史上、いちばん驚いた出来事。
それは横浜地方裁判所で傍聴した「覚せい剤取締法違反」の裁判。弁護側、検察側、両方の質問が終わり、裁判官が被告に質問しました。
「おそらくあなたは今回、刑務所に行くことになると思います。刑期を終えて出所した後、覚せい剤を辞める事が出来ると思いますか?」
被告の覚悟を問う質問です。それに対する被告の発言は耳を疑うものでした。
「あー、大丈夫です大丈夫です。わたしね、普段マリファナ吸っとるもんで。今回はたまたまマリファナが手元になくて覚醒剤に手ぇ出したんで。マリファナさえ手に入れば覚醒剤は絶対やりません。大丈夫です!」
質問した裁判官は絶句。「…。…。…。」
その場にいた全員が、どの席に座っている人も、初めて皆んなが同じ気持ちになった瞬間でした。
マリファナは違法です。
金谷ヒデユキ
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