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浅草芸人列伝 この芸人はスゴイ~青空好児師匠

【漫才協会所属。誰よりも舞台袖で他の芸人のネタを見てきた男が綴る意外な芸人のスゴイところ】

どうも!漫才協会所属の芸人、金谷ヒデユキです。

新型コロナウィルス感染防止のための緊急事態宣言。漫才協会メンバーが出演している浅草東洋館の舞台も自粛中。

という事で、今回より漫才協会芸人のスゴイところをご紹介する連載を始めてみました。題して「浅草芸人列伝 この芸人はスゴイ」。

第一回目にご紹介するのは「青空球児・好児」の「じゃない方芸人」青空好児師匠。

青空球児・好児といえば「ゲロゲーロ」。「カエルは一匹しかいないの?」「いるよ!」「オスのカエルしかいないの?」「いるよ!バカヤロ、コノヤロ」と、どんどん球児師匠の方が追いつめられていくネタをご存知の方も多いでしょう。

いわば好児師匠は球児・好児の「ゲロゲーロじゃない方」。
一般的には地味に見える好児師匠のスゴイところ。それは「リアクションの新鮮さ」です。

若手の漫才を見てると、ただセリフを言ってるだけ、決まった言葉を舞台上で発しているだけ。っていうコンビが多い。逆にベテランでも、何回も同じネタやりすぎて口先だけで喋ってる人も多い。

それに比べると好児師匠のリアクションの新鮮さは度肝抜くレベル。

「え?なんでなんで?」「あっ、そうか」「どしてどして?」

何百回、ひょっとしたら何千回やったはずのネタなのに毎回初めて聞いたかのようなリアクション。

そのリアクションにホントにあきれたように球児師匠がつっこむ。「バカだなコノヤロ」「ちーがうよ」「オレがやるんだよ」「いーるよ」「メスもいーるよ」元祖キレ芸。

このキレ芸を引き出しているのが好児師匠の新鮮なリアクション。

芸人が初めて聞いたかのようなリアクションを取る事によって、見ているお客さんも初めて見たような気持になって新鮮に笑う。好児師匠のスゴイところです。

そんな好児師匠、プライベートではゴシップ話が大好き。「アイツはカツラだ」とか「アイツとアイツは出来てる」とか「あの人はヤクザとベッタリ」とか、とても公の場では発表できないようなゴシップが数珠つなぎで口から飛び出して来ます。どんだけの情報網持ってんだ!

そして時折「あれ?この話前にも聞いたな?」っていう情報も入ってきます。それでも嬉々としてゴシップ話を続ける好児師匠。前に聞いた時と同じように新鮮な口調で話し続けてます。なんて新鮮…、新鮮…、…。

ふっと頭の中にこんな声が響きました。

好児師匠が新鮮なリアクションをするのって、自分が話した事も、相方の球児師匠が話した事も、瞬時に忘れていってるのかも知れない…。

新鮮に見えるリアクションも芸じゃなくって素なのかも知れない…。

好児師匠はホントにネタを忘れてるのかも知れない…。

好児師匠は…、スゴイ。




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