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アキヨシカズタカは仁聞菩薩である

アキヨシカズタカさんとのこと

商業漫画家アキヨシカズタカさんとは、出会ってから2年くらいの友達なのですが、なんか、昔から知っているような錯覚を感じる人です。でも、私より一回り下の卯(ウサギ)年なんですね。寂しいと死んじゃうタイプです。
当店には、大分空港の近くのアトリエからヤマハメイトでやってきて、裏の十割蕎麦「ゑつ」に寄ってから来てくれます。一緒に蕎麦を食べることもあります。
そうして、うちの店でだいたい2時間ぐらい話すのですが、これが大変楽しい。まぁ、おじさん二人が向かい合って話すことなんてのは、お姉ちゃんの話やパチンコの話、または、嫁さんの悪口なんて、くだらないことが多いんですが、私たちの話は、国東半島の豊かな自然と深い歴史の話なのです。

国東半島の重層性について

アキヨシさんは、フィールドワークで発見した道端の石像や廃寺の写真を嬉々として私に見せてくれます。私、移住してから、国東半島の六郷満山文化について調べました。当時の文化の中心であった近畿地方に負けない仏像や建物も拝見しましたが、アキヨシさんが見せてくれるのは、素朴な造形の磨崖仏や石塔だったり、小さな花だったりします。
その土地に住んでいた人々が願いを込め、今では忘れられた、いや、願いは忘れられてもそれを受け継いだ人々の想いとか、気づかなければそのまま消えてしまう命とか、そんな片隅の輝きをすくいとって、おじさんが酒も飲まずにしみじみしている様子を想像していただくと・・・・ちょっと・・・
二人でいつも話しているのは国東半島という場所は、タイムカプセルみたいな場所だということ。古代から奈良、平安、昭和から現代までの歴史が、層に折り重なってそのまま眼前に広がっているのです。
それを丁寧に拾い歩き、並べ、眺め、吟味し、分解し、物語に再構成し、命を与え、メッセージを込めて紡ぎ出すのが商業漫画界アキヨシカズタカさんなのです。

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石に刻む人

アキヨシさんに話した私の想像ものがたりです。
国東半島には至る所に磨崖仏が見られます。僧が修行として制作したのだと思われます。しかし、熊野磨崖仏などの規模になると、多くの僧が代替わりして制作したのでしょう。それら磨崖仏を掘るためには、その僧の命をつなぐための食糧や水などが必要です。それを用意したのは安寧と豊穣を願うその土地に生きる人々であったのでしょう。その想いを受けて修行僧たちは願いを石に刻んだのです。それこそが、仏教の菩提心なのです。

仁聞菩薩として生きる

菩薩とは、本来、仏になる悟りを開きながらも、人々を導き、仏道を成就させようと現世にとどまった行者と言われます。
仁聞菩薩は、宇佐八幡神の化身として宇佐・国東の地に、今をさかのぼること約1300年前に生まれ、六郷に28の寺院を開創し、6万9千体の仏像を造ったといわれます。
私は思うのですが、重層的な国東半島の歴史の中で、生まれて生きて死んでいった人々の全てが仁聞菩薩であったのではないかと。
繰り返す日々の中で、人々の想いを石や土地に刻み、祈り、生きて、死んでいくことの繰り返しの記憶を、国東半島はタイムカプセルのように閉じ込めているのです。

蘇る仁聞菩薩

私は、商業漫画家アキヨシカズタカさんは、仁聞菩薩の正統な後継者であると思っています。「かたるし〜ののかの国東不思議探訪〜」の妥協のない描き込みなどは、まさにアキヨシさんの真骨頂です。芸術的とも言えます。
昨年の12月頃にアキヨシさんから衝撃的な告知がありました。目の病気に罹患したとのことなのです。
友人としては、なんとか力付けてあげたいと思うのですが、ご本人はそういったことに頓着していないようです。
SNSを見ると、創作再開に向けての体力作りを積極的に行っているようで、日々の生活の状況を写真も添えて伝えてくれています。
現代の仁聞菩薩さまは、ファンの想いや六郷満山に宿る神や仏、鬼たちの力を味方につけて、大復活を遂げてくれると信じています。

商業漫画界アキヨシカズタカの公式ホームページ アトリエモンキー

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