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10號級の超強可愛い澳門の歩き方

2023年9月1日、澳門では32年ぶりの10號が出た超強颱風蘇拉。その翌日私は朝からラジオを聞き、3號になって大橋が開通の交通ニュースを聞いてすぐに港珠澳入境に向かった。

香港では山竹から5年ぶり、澳門では32年ぶりの10號

【澳門の基本情報】
・ポルトガル最終理解の地。ポルトガル人が literally返鄉下と呼び咽び泣く街。澳門政府は澳門リスボン便を復活させろ。

・「可愛いが合法」。規格外の可愛いが街中に溢れ、吸いまくれる。吸えばどんなハードな旅程でも何故か全然疲れないのである。

ということで今回の目的はいつもより澳門でポルトガルをより深く理解する事。バスで十月初五日街(Rua de Cinco de Outubro)に向かう。

澳門の黒的士が大好き
さあ行かうポルトガルへ
十月初五日街の金星
奇跡のボロ茶樓……!
一度泊まってみたい東亞酒店
⬆️見てこの建築
このタイルの造形のセンスよ
ポルトガルに招牌があるんじゃん

想定内で路地の全てが可愛くて騒ぎ、入ろうとしてたお店も来たんだけどとりあえず可愛いの見るからと通り過ぎ、それでも夕飯食べなきゃとなりお目当てのポルトガル食堂にTelefone públicoから電話するも繋がらず、でもそんなの全然気にせず可愛いをどばぁぁ浴びる。議事亭前地(Largo do Senado)に行き台風一過で観光客がおらずフィリピン人の方達だらけの広場の美しい建築に歓喜する。
そう、なんかここまでは通常のポルトガルだった気がする。可愛くて無理、えーん。は何度も言った。

初めに言っておくと「可愛い」ばかり言っていて頭が弱いのでは?と思われるかもしれない。でも可愛いは日本語の最上級の表現なのでこれ以上の表現は無い。澳門は最高だった、故に可愛いしか言えない。↓ではここから可愛いの激流来ますので学校は休みになります。

大馬路から公局新市南街を望む
台風一過で観光客は殆どいない…!
ポルトガルじゃん
夜の議事亭前地

大街(Rua Dos Mercadores)に入ると魅惑の夜澳門が待っている。みんな楽しそうだし、どこを見ても可愛くて目玉きょろきょろ👀。ちょっと大人危ない感じとかも含めて。

澳門は順徳でもあるんだって

夜呣街(R. Do Gambo)のスーパーsunscoでオイルサーディンとミスターイトウのチョコチップクッキーと香港Gardenのクラッカーがある風景を見る。ここは400年以上前から澳門なのだから国際都市なのだから、と再確認。しかしこのミックスな風景が可愛すぎて苦しい。何故ミックスされると人は可愛いという認識を持つのだろう。

sunscoにて。ここまでの量のオイルサーディンがなかったら普通に百佳なのであるが……
とんがりコーンの隣に普洱餅があるのきゃわ

この辺りはフィリピンタウンである。フィリピンパン屋でタロのパンを買う。タガログ語でしかメニューが書かれておらず、これの中は何?と思わず癖で広東語で聞くと「cha siu pau 叉燒包(菲式の」と答えてくれた。こういう事は香港でもよくある。しかし澳門は英語の教師などをしながら自分のペースで仕事をし、家族と一緒に生活している人も結構いる。彼らにとって澳門は一時の出稼ぎの土地というよりは生活の場所となっていて、澳門の人口をマジョリティとして形成する澳門菲人なのだろう。ここにまた澳門を国際都市たらしめる理由があると思う。

今夜は台風一過で特に大勢のフィリピン人の方が街に出ているようだ。するとすぐそこに「正宗菲律賓菜」と書かれた可愛いレストランがある。店では誕生日パーティが開かれていて楽しそう。リスボンの路面電車の写真が飾ってある。澳門ポルトガル料理を食べる予定だったけど、当たり前にスッと店に入った。

私はフィリピンに行ったことがない。しかしここで私はフィリピンを完全に理解した。酸味の効いたサーモンのスープ(サーモンのシニガン)、即興で作ってくれた味の濃いスパゲッティ、そして茄子の卵とじ(トルタンタロン)私大好き!全部美味しかった。ここの人お料理が上手だ。ハロハロは紅豆冰をもっとファンシーにした味と見た目で大変美味しい。香港の紅豆冰、小豆が器の半分を占めていてどんだけの量なんだと思うこと多い。

茶餐廳愛好家はこの夜の可愛さを吸いすぎて明らかにガンギマリ。茶しばき先生は突然歌出だし動画を撮りはじめた。澳門でポルトガル料理ではなくフィリピン料理を食べ、ハロハロの動画を埼玉の県歌で説明するという難解な文脈をたのしむ姿を尊敬した。可愛くてやばい澳門だった。やばかわなNoite de Macauだ。帰り道の海沿いのRua das Lorchas(火船頭街)は私が大好きな通りで、昔の油麻地ってこんな感じ?って妄想しながら歩いた。

火船頭街(Rua das Lorchas)

翌朝はポルトガル最終の地である南屏雅敘に行く。海沿いのホテルと旧市街を結ぶ16系統のミニバスは狭い路地を行き、急カーブを曲がり、それはそれはポルトガルだった。黄色の車体、新福利のサークルのマーク、全部ポルトガルのバスと同じ。タクシーもリスボンと同じ黒の車体。これ一体どういうことなんだろう?

バスを降りて果欄街を歩く。まだお店は開いていないし観光客もいない。台風一過の翌朝の澳門、いいですよ。

うっ!
ゲロ可愛
南屏雅敘の店頭では新聞を売っていてそこが最大に良い

南屏雅敘では速攻で「『これになりたい』じじ」がいて笑う。珈琲のおかわりは自分で取りにいっている。pastelariaコーナーのおばさまにしきりに話しかけている。
一方で隣に澳門日報を読み込むお連れ合いがいる。渋い、渋すぎる。2人で日刊と副刊と交互に読むんだよな。

選んだお菓子は沙翁、蛋撻、分厚い蝴蝶酥(これポルトガルだとなんと呼ばれているんですか?)。お飲み物は奶茶ではなく地捫咖啡(cafe com leite)。甘いお菓子と合ってスルスル飲んでしまう。香港にずっといると当たり前に澳門でも奶茶だろうと思ってしまっていたけれど、澳門と香港の徹底的な違いは「イギリスではない」事と咖啡文化と圧倒的な歴史の長さ。ここは南ヨーロッパに属しています。(ところで地捫=ラテなのはどうして?)

地捫咖啡(cafe com leite)
私は赤のメラミン皿がぶっちぎりで好きです

牛奶紅茶(cha com leite)と西檸紅茶(cha de limao)も飲んだ。牛奶紅茶は名前の通り練奶ではなく牛乳を使っている。西檸紅茶は茶の色が濃いのにすっきりしており檸檬一枚。

南屏を出て途中で時香花生瓜子で買花生する。今香港では一部の農家が花生(ピーナッツ)の収穫期を迎えていてとても美味しい。私は生の花生を茹でて味噌と蜂蜜で味付けをして食べている。これを食べた友人が、ほんの少しだけ南乳花生に似ていると言っていたことを思い出し、私は南乳花生を買う。お店も袋も可愛い。

最高のオフィスである

洪馨記で椰子雪糕を食べてから高士德街(Av. de Horta e Costa)にバスで向かう。途中地下を潜るポイントにワクワク。

昼のリスボア可愛い
ここワクワクポイント

この辺りは三盞燈と呼ばれている(Rotunda de Carlos da Maia)。燈柱広場を中心にビルマ華僑や他の東南アジアの方が暮らすエリアだ。四周圍ミャンマー料理屋さんがある……!

緬甸黑貓體育會のhak maoがえらい筋肉猫でここだけ広東語発音なのが拘りを感じる。可愛いのはいうまでもないじょ。

君は今日のベスト3だ
萌え角
この辺り仕立て屋さんも多い。
君は今回のトップ3だ

東京小食館も澳式緬甸菜のお店。長沙灣の東京街と同じくTokyoじゃなくて中文発音だからここもきっと日本の東京の意味じゃないわよっっ、と思ってお店の方に聞いてみたら家族が70年代に日本の東京に旅行しただから……とのことだった。

緬甸辣沙椰香鷄麵。お汁が美味しい。これがミャンマーか。でもやはり具が澳式で、流れゆく麺文化を感じる。奶茶を頼んでみたら茶包2個出しが基本らしいのよね澳門。

こちらは澳門で三店舗展開する澳式緬甸菜、甜蜜蜜。このセンスよ。なかなかできないよ?チェーン店なのもすごくいい。

緬式ファルーダとチェンドル。ゴリゴリにゲロ可愛すぎてお漏らしした。ここでも澳門のマジョリティグループであるフィリピン人の方々がおられる。彼らとお店の方に美味しいでしょ?と言われながら、ハイ!美味しいです!泣いてます!と叫びながら可愛いを吸した。皆さん、これが澳門です。

道すがら可愛いの過剰摂取でお腹を抱えウーっとなってしまい茶しばき先生に「生理??」と聞かれても「咪呀…」と答えるのに精一杯だったところにやば気な涼茶鋪があったので可愛いとかじゃなくて健康の為に寄る。

廟風の厨房、毛沢東の切り絵、卡位までにも効用の説明。現世利益を追求し尽くした結果行き着いたのは健康である事を体現している涼茶鋪。求めていたのはこれ、これだよ。健康という究極の思想(迷信ともいう)の味がするのが涼茶だから。グビッ…ウッ

改修中の紅街市が心配。澳門政府、ずっと意識低いままでいいからね(余計な事すんなよ)と呟いてお目当ての龍華茶樓に行く。

……ボクたち、そもそも今日はこの茶樓  casa de cha〜茶の家〜で茶をしばくはずだったんだ。ミャンマー街で発狂してたらすでに閉店時間を過ぎている。全く後悔も反省もしていない。次々〜(ギャルになってしまった)!

おっ、付近にめちゃくちゃ渋い咖啡美食があるぞ。中に入ろう……。

名人戦。ご高齢者しかいない

……切実に感じた。独身中年の老後に必要なのはハッピーショップではなくMリーグ名人戦が開かれている茶餐廳なのだと。しかしここは澳門、茶餐廳にあらず、ここは咖啡美食なのだ。澳門の豬扒包を甘くみてはいけない。食べて即ハッピーになった。

め っ ち ゃ う ま い

お布施した後は雅廉訪大馬路(Av. do Ouvidor Arriaga)にある激ヤバスポット・COOKIEにイン。店内は当たり前にクロミが推しの誕生日みたいに陳列されていてポルトガル、もとい、世界中がメンヘラってるんだなと感じた。私は兩岸では存在感の強いポチャッコのぬいぐるみを買う🫶。

推しの誕生日なのかよ
推しの誕生日なのかよ
これは……
兩岸の強キャラ・突然のポチャッコの登場である
ポ齋(jaai)ッコ

ポチャッコと可愛い齋の店の前で打卡してたら、可愛いの連鎖反応起きた。何故かお店の人に呼ばれて涼茶とお芋と齋の肉饅を頂く。(これすごく美味しかった!)「ありがとう。でも何故……?」と聞いたら、可愛いから。次来てねと言われる。次来ますっっっっ!!

ポ齋(jaai)ッコ
いきなりくれた
可愛すぎる看板
厨二病なのでいまだにバンコ・デルタ・アジアで騒ぐ
Michéleの中文は美式

人類の叡智が結晶化している場所に向かう途中、雨後の筍の如く「咖啡美食」が軒を連ねていることに気がついた。しかも意式咖啡美食なんかもあってバリエーションとセンスが凄い。香港の茶餐廳をみてみると、奶茶と出前一丁や波蘿油があることに期待し過ぎてどこも同じ感じになっている感は否めない。澳門の咖啡美食は多種多様。蠔粥がある雄興泰咖啡美食にて咖啡雞蛋とか飲んじゃったもんね。この無数の咖啡美食群は次来た時に処理していく事にしよう。

咖啡雞蛋。牛を食したくない人には有効。牛乳より濃い蛋白感。

はいここ、人類の叡智が結晶化している場所、それが禮記。虹彩芭菲と三文治雪糕。我冇嘢講我要食雪糕。

雀仔園街市は工事中。

アイスを食べて香港に帰ろうとしてたのに暮れ行く澳門を歩いていたらお腹空いてきた。ここで初日の夜行こうとしていた澳門ポルトガル食堂に行ってから香港に帰ることにした。なんという長い序章だったんでしょう。

坤記餐室 A Vencedora。無花果茶とパンと薯蓉青菜湯がもう美味しい。もちろん炸馬介休球もね。次は乾免治薯粒食べたい。ショップカードも素敵すぎる。お店の伙記のおじ様、常連の方々、華人にもフィリピン人にもポルトガル人にも見えるマカエンセらしき方々。皆さんいい感じだ。香港居民からすると澳門に住むというのはかなりのドリームなのである。実際澳門に住んだらこのエロくそじじいが、となる可能性は高いのだろうがそれでも「澳門のじじは枯れ方がいい」と垂れながら食べる澳門料理は最高です。人類の悠久の歴史の味がします。この歴史を今受け止められた事に感動です。

かつての賽狗場(Canidrome)の横を通って入境に向かう。あの時の犬達は今は幸せに暮らしているのだろうか。

2018年7月、10號颱風山竹が来る少し前に最後の狗場レースを見た

私には香港という家族がいて澳門という彼氏もいるのです。今を生きているって最高ですね。また来ます。

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