かなごはん2膳目〜せいこ蟹鍋〜
冬になると蟹鍋をする。いつもはお高くて手が出ないカニたちも、冬には少し手が伸びる。家族と友達と恋人と。鍋は日常に笑顔を、ささやかな幸せを運んでくる。
高校生ぐらいまでは鍋の有り難みがわからなかった。なにせ味が薄い。20を超えて、ようやく良さと具材の適量がわかるようになった。白菜の旨さを、あふれ出るグルタミン酸を理解できるようになると、人は一歩大人になるのかもしれない。
さて、タイトルに話を戻そう。かに。身もうまいがやはり味噌が最高だ。味噌といえば毛蟹を真っ先に思い浮かべるだろうが、蟹好きのみなさんは今日この蟹だけ覚えていって欲しい。
「せいこがに」
別名香箱がに とも言われるこの蟹はズワイガニのメスだ。サイズは手のひらほど。決して大きくはなく身はあまり取れない。ただし、卵を身のうちにも外にも抱えており、蟹味噌とよく混ぜ合わせて炊きたてご飯に乗せて食べることが至高とされている。
加えて、この蟹。さほど高くない。禁漁期間でない11月から1月にしか取れないが、その期間に事前予約をかませばキロ3000円出せば立派なものが届いた。今年はコロナの影響で高騰している。ちくせう。でもガチャなんかよりずっとお得だ。
こいつを昆布だしでグツグツ煮込むと、それはそれは良い出汁が取れる。味噌汁なんかが推奨されているが、ダイレクトに旨味を味わえる鍋が俺は良いと思う。身は他の蟹で補おう。ズワイ・タラバ。その辺のスーパーで買える。
あらかた食い終わった後はお楽しみ。締めの「ぞうすい」だ。
父親から教わってよかったこと堂々のNo.1。ぞうすいの作り方。それをここに記す。
1 飯は茶碗一杯。それ以上はみんな食えない。
2 汁はひたひたになるぐらいが適量。あまりはよけとくと誰かが飲む
3 加熱!一気に沸騰。だらだらあっためると不要な粘りが出る
4 卵はすでに解きほぐしておく。必死になって混ぜなくて良い。黄味が溶けきらないぐらいがスマートだ。
5 箸に伝わらせて回しいれながら投入しよう。混ぜるのはしばらく我慢だ
6 7割ぐらい固まったかな?と思ったら即座に火を止め塩胡椒で味を整える
7 ほぼ満腹の奴らに美味しいと言わせれば君の勝ちだ
ぜひ、せいこがに鍋。試して欲しい。オフシーズンでも冷凍ものなら買える。
ちなみに僕は蟹のエキスを殻から余さず抽出するためだけのために圧力鍋を買った。余った殻をグツグツ煮込んでラーメンにする。最高だ。
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