誕生日が怖い
誕生日が怖い。
私はもうすぐ33歳の誕生日を迎える。
昔は、誕生日ケーキにろうそくに火をつけて、その前でビデオを撮られていた。
カメラ越しに母に問われる。
「6歳のあなたは何ができるようになりましたか」
「7歳のあなたは何ができるようになりますか」
「逆上がりができるようになりました」、「漢字をたくさん書けるようになります」
小学生のうちは、言えることがあった。
毎年、毎年、「できるようになったこと」のハードルはあがっていった。「できるようになること」もわからなかった。
母は、きっとただ娘が成長していくのを記念に残したかっただけだと思うのだけど、だんだん、誕生日を迎えるのが怖くなった。
誕生日は、「なにもできなかった自分」を記録に残される。
何もできない自分にがっかりしたし、親もがっかりしていると思った。
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