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アブストラクトゲームの世界

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アブストラクトゲーム(運要素のないボードゲーム)全般に関する自分の記事をまとめています。
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#Abstract_Games

アブストラクトゲームはなぜそう呼ばれているのか

もしあなたが「アブストラクトゲーム」という言葉を聞いたことがなくても、「チェスや将棋、囲碁やオセロのようなゲームのことだよ」と聞けば、「ああ、そういう「そっけない」感じのゲームね」と、おおまかなイメージがつかめるかもしれません。この言葉はボードゲームの世界で流通している用語なのですが、以下のような二通りの意味があり、慣れない人をいささか当惑させる言葉になっています。 1.運の要素がない(ダイスを振ったりカードを引いたりしない)ゲーム 2.テーマ(SF、ファンタジー、戦争、歴

非商業アブストラクトの世界

アブストラクトゲームは「運や隠蔽要素がない」という特徴を持つ、定義上ボードゲームの(ややニッチな)一ジャンルです(この用語には独特の紛らわしさがあり、人やシーンによってはやや異なる意味合いや意味範囲でも用いられることは過去の記事で触れました)。とはいえ、実はボードゲームの一ジャンルとしては少々変わった特徴があります。それは「物理的かつ商業的な形で出版されていないゲームが多分に含まれる」という点です。 今回の記事は、一般的なボードゲーム愛好者の目からは隠れがちな「出版されない

<地形効果>とアブストラクトゲームのデザイン(2)コンペティション編

先日、ボードのスペース(マスやヘクス)に特殊な効果があるアブストラクトゲームを紹介する記事を書きました。 今回はその続きで、このようなタイプのアブストラクトゲームを対象に、アブストラクトゲーム専門誌Abstract Games Magazine (AG) にて行われたゲームデザインコンペティション”UNEQUAL BOARD SPACES GAME DESIGN COMPETITION””の内容を紹介したいと思います。 なおAbstract Games Magazineに