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誰かが筆で描いたとしか思えない秋空

空の雰囲気がなんとなく変わったと思っていたその日は、ちょうど立秋の日で、感覚というものはとんでもなく正確なのかもしれないと驚きました。

まだ8月だというのに入道雲はどこかに行ってしまって、サーっと風がつくり出す芸術的な雲が空の端っこに現れ始めました。このときから、空だけでなく流れている空気まで変わったような感じがしました。秋の空は、夏や冬の空よりももっと身近なものに感じられてなりません。もくもくとどこまでも高く大きく膨らむ入道雲や、雪を降らせながら空を覆う灰色の雲と違って、秋の雲はどこまでも自由に、流れている形をしています。

雲はいつも自由な形をしていて、二度と同じ形にならないので、眺めていて飽きることがありません。飛行機に乗れば、雲を同じ高さと上から見ることのできるまたとない機会なので、飽きずに見ていることになります。秋の雲は、その自由な雲のなかでもさらに自由な雲のような気がしています。風によってサーっと軽い気分で空に現れるところが、他の雲に比べて仰々しいところがなく、旅をするように自由に見えるのかもしれません。

あるときには、誰かが筆を持って空に描いたようにしか思えないような秋の雲に出会ったことがあります。「神様が描いた雲だよ」と言われたら、私はきっと納得すると思います。絵描きの人はきっと筆でのびやかに表現できる景色だと思って、筆を手に取るかもしれません。夏と冬の狭間にある、秋という季節に現れるこんな雲みたいに、どこまでも自由な軽やかさで在ることができたらいいなあと憧れています。

#秋空 #感性 #iwate_i_design

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