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空を見る

10月11日、大学の同期が脳腫瘍で亡くなった。

はじめての近しい友人の死。ここ数年、直接会うこともできていなかった。。

30代になって体力の衰えが…と口走ることも増えてしまったけど、まだまだ若すぎるよ。。と思わざるを得ない。彼女の人生を考えたら、もっともっとやりたいことあったろうに、やっと念願だったライフスタイルを始めたところだったのに。。


告別式のため彼女の地元へ足を運んできた。朝東京は雨が降り続いていたが、到着すると嘘のように晴れてだいぶ北へ来たはずなのにポカポカ暖かかった。

彼女の笑顔が降り注いで、悲しみでいっぱいだった私たちの心を包んでくれているようだった…。

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大学入試の日に友達になった子が2人いた。ピリピリした会場の空気の中、いつどのタイミングで仲良くなったからわからないが、誰からともなくと3人集まってお昼休みにケラケラ笑い合ってお弁当を食べた。周りを見てもペチャクチャ会話して爆笑してるのは私たちだけだった。

私は学力的に合格できるかできないかギリギリのラインだったので、そんな余裕なかったはずなのに、こんなに楽しい子たちがいるんだからどんなに大学生活は素晴らしいものだろうと、受かってもいない国立音楽大学でのキャンパスライフを想像し、ときめいた。他の2人はもちろんだが、私は奇跡的に合格して、3人とも同じ学科に入学できた。彼女とはそんな出会いだった。


思い出を振り返ると、なんでもっとあの時一緒に時間を過ごさなかったんだろう、と自分のことばかりに時間を使ってしまっていた大学時代が悔やまれる。。

学生の頃、彼女のお家に何度もお泊まりさせてもらったし、一緒にjazz barやコンサートにも行ったし、夢を何度も語り合ってたくさん一緒にいたはずなのにね。全然足りなかったよ。


あの頃、みんな本当に自分の道を歩むのに必死だった。お互いものすごく尊敬し合っていたけど、馴れ合うことはせず、数ヶ月顔を見ないこともしょっちゅうだった。でも、仲間だっていう意識はすごくあって、たまに休み時間が合うと近況報告し合ってはお互いを讃えあってた気がする。


音楽が大好きで、大学でもいつも課題に真剣に向き合っていた彼女。会話にたまに出てくるクラシックの偉人たちのエピソードを聞いては、どれだけの情報量が頭の中に入っているんだろうと思ったものだった。お仕事を始めてからも、2夜3夜の徹夜はしょっちゅうだったと聞いていてたけど、すごくひたむきだった。頭がよくて美しくて、ユーモアに溢れてて…。可憐で品の良い知的なオーラをいつも身に纏っていた。

卒業後、演奏場所が少なくぐずぐずしてた頃、彼女の姿を見てこれじゃダメだと幾度となく思ったことを覚えている。

彼女は当時出版社に勤め、名だたるミュージシャンや俳優さんたちへの取材をし記事にしていて、本当に大変そうだったので少し心配もしてたが、大きな仕事の後には目をキラキラさせて「今回はこんなことがあった」と話してくれる姿が私はすごく好きだった。

いつかお互い歳を重ねてキャリアを積んだ頃に、彼女に記事を書いてもらえるようなミュージシャンになっていたいと密かに思っていたし、その道を少しずつでも歩んでるつもりだった。


でも、叶えられなかった。。


輝&輝の活動のことも本当に本当の結成当初からずっと見守ってくれていて、忙しい合間を縫って演奏を見ては長い感想メールをくれた。彼女が来てくれるというライブは、成長した姿を見せたくて私もいつも以上に意気込んだ。本当は2020年3月に企画してた浅草のライブにも来てくれると連絡くれてたのに、コロナ禍で中止してしまって会えなかった。。

「会えないことが当たり前」「また落ち着いたら」という雰囲気が世の中に漂ってしまっているけれど、チャンスがある時に動かないと本当に機を逃す。「LINEじゃなくて、電話にすればよかった。」「電話じゃなくて直接会いに行けばよかった。。」後悔は先には立たない。

会えなかった時間に、どれだけの苦しい想いをしていたのだろう、と思うと胸が締め付けられる。きっと彼女のことだから、静かに静かに頑張っていたのだろうな。

最高にエレガントで、スマートな友達。


もう少し若い頃に馴れ合っておくことも必要だったかもしれない。。


今はただ、もう会えないという悲しさと、今まで一緒に過ごしてくれた時間に感謝するばかりです。

元気で笑って過ごせることのなんと尊いことか。
大きなことはできないけれど、身近な人たちの笑顔が続くことを願い続けようと思います。

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告別式の日は、ここ数年会えなかった同期の友達と会えて、お互い整理のつかなかった気持ちを共有できた。

すぐにでも泣いてしまいそうな気持ちなのに、みんなと会ったら楽しい思い出話ばかりが出てきてたくさん笑いもした。みんなで心が沈まないように支え合ってたのかもしれない。

仲間って大切だなぁと感じさせてもらった。

ちょっと弱くなりかけた時は、みんなでシェアしあった彼女の写真を見て頑張ろうと思う。

なみちゃん、本当に今までありがとう。
ご冥福をお祈り致します。

2022年10月14日