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ひとめぼれ ~一夏の恋~

※この記事は、日本科学未来館で科学コミュニケーターとして活動しているときに執筆したブログ記事です。【2014年8月19日に投稿】を編集・追記。当時の活動を振り返る”編集後記”を載せて再掲載しています。

この夏、私は恋に落ちてしまいました。

恋の相手は...

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アサガオです。

写真をモノトーンにしたのには理由があります!

その色に惚れこんだのです!

アサガオといえば小学生の頃に育てた思い出があるくらい。
未来館の変わった形をした変化アサガオを知っても「へえ、こんな形あるんだ~」という印象でした。

そんな私がアサガオの魅力に取りつかれたのは、本であるアサガオを見てからです。

しぶい...しぶすぎる...
かっこいい.
..

アサガオをかっこいいと思ったのは人生初。

ひとめぼれです。

うーむ。本物が見たい。

想いは募るばかり...


ひと目本物を拝むべく、朝早くに目をこすりながら向かったのは...

日比谷公園の変化朝顔・大輪朝顔展示会!

毎年の恒例行事で、アサガオ愛好家が育てた自慢のアサガオが展示されています。

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葉や花が変わった形をしている変化アサガオ。

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大きな花をつける大輪アサガオ。大きいものだと直径20cmは超えます。でかい!

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写真にある盆栽風のアサガオは、大輪アサガオの切込み作りと呼ばれる仕立て方で、ツルを伸ばさずに背が低くなるように育てています。(黄色い葉の品種は緑色の葉の品種よりツルが伸びにくいそう。)


そして、ひとめぼれしたアサガオも!

これです!この色!やっぱりしぶい!

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このアサガオは江戸時代に人気のあった歌舞伎役者の市川団十郎好みの色にちなんで"団十郎"と呼ばれています(右写真は"新団十郎"と呼ばれ、葉に斑点があります)。

間近で見ることができて、大満足!


そして、辺り一面のアサガオを眺めていると、一つの疑問が浮かんできました。

「私が団十郎の色にはまったように、年によって色の流行はあるのかしら?」

次から次へと生まれる疑問に、東京朝顔研究会の方が快く答えてくれました!

Q1:色の流行はあるの?
A1:流行はある。最近までは淡藤や桃などの淡い色が流行っていた。
しかし、淡い色のアサガオの数が増え、全体の色の種類が単調になってきたため、最近は濃い色のアサガオを増やしている。
やはり、アサガオは多様な色彩がそろってこそ美しいんだそうです!


Q2:どうやって、欲しい色のアサガオを増やしているの?
A2:人工受粉をして、色に関係する遺伝子を掛け合わせて作っている。

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異なる色のアサガオを人工的に作るには、変異した遺伝子を掛け合わせます。
   
<人工受粉の方法>
① アサガオのつぼみを開く
② おしべを取り除く(おしべのやくという袋に花粉が入っています)
③ 別のアサガオから採った花粉をめしべに付ける
④ 花が咲かないように縛っておく(他のアサガオの花粉がつかないように)
⑤ 種ができたら回収する

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という風に、遺伝子の掛け合わせを繰り返し、欲しい色が安定に出るまで根気強く人工受粉を続けるそうです。

様々な色のアサガオを集めて、人工受粉してみるのもおもしろいですね。


当時、日本科学未来館でも変化アサガオを育てていました。

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青常葉紫覆輪石畳咲(5枚の花びらが折りたたまれて咲いています) 

そして余談ですが。
日比谷公園の帰り、大輪アサガオの種が売られていました。
「団十郎ください!」というと、おじさんが「団十郎好きそうな顔してるねぇ、特別ね」とにやにやしながら奥から種袋を出してくれました。
団十郎好きそうな顔...?!

種をゲットできてラッキーです。
来年種を植えて、my団十郎を咲かせてみます!

【参考】
National BioResource ProjectMorning Glory(九州大学大学院理学研究院 NBRP アサガオ中核機関 仁田坂英二)  


【編集後記】翌年2015年夏、自宅のベランダで団十郎の種を植えて、見事な花が咲きました。




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