[転載]2021-2022越冬闘争へのよびかけ

2021-2022年の釜ヶ崎ー大阪の越年越冬闘争への参加・協力をよびかける「2021-2022大阪越冬闘争に連帯する学生の会」(有名?な「学生企画ネットワーク」ではない)のビラから転載する。「2021-2022大阪越冬闘争に連帯する学生の会」は、小規模ながら釜ヶ崎のセンターやその他大阪各地の越冬闘争に連帯、また、各地の野宿者支援・運動に関わる学生の理論的実践的交流をするかたちで展開する。

2021-2022越冬闘争への呼びかけ

再開発下の釜ヶ崎

日雇い労働者の街であり、東京の山谷、横浜の寿などとともに「寄せ場」とも呼ばれてきた大阪・釜ヶ崎は大きく変容している。産業構造の再編や建設産業の求人方法の変容などにより1990年代以後、釜ヶ崎にくる仕事は構造的に減少し、大阪万博(2025年)を前にして、天王寺にはあべのハルカス、新今宮には星野リゾートが建設され、再開発の波も押し寄せている。
最近10年あまりでは、居住が不安定なため支援団体等事務所におかれてきた日雇労働者の住民票を大阪市が削除し(2007年)、橋下徹大阪市長時代に「西成が変われば、大阪も変わる」とのキャッチフレーズではじまった「西成特区構想」下では監視カメラの増加や、長年労働者・野宿者の使ってきた施設の縮小圧力が強まっている。そうした流れのなかで、2019年に閉鎖された労働福祉関係複合施設たる「あいりん総合センター」周辺で暮らす野宿者たちに対しては、大阪府が立ち退きをもとめて裁判を起こす事態に至った(2021年12月2日に府側の主張を認める地裁判決がでて控訴がなされる)。高度経済成長期に全国各地のインフラ整備に動員された労働者たちは、「経済的利益」をもはや産み出さないとして、今度は用済みになったため追い出されようとしているのだ。
仕事がなく釜ヶ崎からでて大阪市内各地へ野宿することになった、労働者たちのブルーシートで覆われたたくさんのテントも(これも契機となり世間一般に「ホームレス問題」が認知されるようになる)、2000年代に相次いだ行政による強制排除で今や数少ない。一見どれも似ているような寝床やテントでも、野宿者1人ひとりの人生を背負っているものだ。行政はそれらを暴力的に破壊してきた。その他にも、資源ごみ回収の規制強化圧力、「公共空間」たる公園の商業化といった野宿者をはじめ貧しい者の生活を破壊し、貧しいことを罰する動きは、コロナ・パンデミック下で強行された東京五輪を典型とした大規模イベント・再開発とともに全国―全世界で加速させられている。相次ぐ野宿者襲撃事件もこうした動きと無関係ではないだろう。

越冬闘争へ!

越冬闘争は、仕事がなく、行政機関も閉まる年末年始の時期に、仲間の命を自分たちで守っていこうという取り組みだ。そして、貧しい者から収奪をする社会のあり方を、衣食住、文化総体から問い直すものでもある。長年、全国各地の寄せ場、そして野宿者支援・運動の現場で行われてきた。
「中世の暮れ方から近世の夜明けまでを生きた」戦国時代の武将・三好長慶は連歌会において「すすきにまじる芦の一むら」へ「古沼の浅きかたより野となりて」と付けて賞賛を得たという。すぐれた歴史意識をもった芸術運動家・花田清輝は、これを評して、変革の時代を見すえるとは、古沼―芦―すすきの連なりのように深い焦点深度をもつこと、そして変革の時代に生きるとは「すすきにまじる芦の一むら」や「芦にまじるすすきの一むら」としての葛藤に置かれていたのではないかと述べている。
「全国の寄せ場化」の語られる一方で、旧来の寄せ場の解体が進み、富者が貧者を追い出す都市空間戦争=ジェントリフィケーションがなされる時代に、釜ヶ崎という地図的には狭い、そのまたさらに一画の越年越冬闘争も、さながら「芦」か「すすき」のようなものだろうか。
越冬闘争への参加・協力をよびかける。各地の野宿者支援・運動、下層労働、寄せ場に関わる学生の交流もはかっていこう。                 

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