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「早期に何者かになろうとすること」は幸福に繋がるのだろうか?(1/3)

ITSUDATSU社では「真本音」という考え方を軸に2020年3月に個人向けサービスとして“真本音を探求する9ヶ月”「KANAME Academy」、2021年8月に企業向けサービスとして“最優先育成人材発掘・抜てきサービス「KANAME」”、2022年7月に個人向けサービスとして“自分という可能性と向き合うポテンシャル診断サービス「KANAME Personal」”を開始し、これまで一貫して「ITSUDATSU(常軌を逸した成長)」を実現できる人材を社会に一人でも多く増やすことをミッションとして活動して参りました。
 
今回は『「早期に何者かになろうとすること」は幸福に繋がるのだろうか?』というテーマで弊社代表取締役の黒澤伶氏と弊社アドバイザーの竹内直人氏に弊社事業開発リーダーの岡山がインタビューを行いました。
 
なお、今回のインタビュー記事は全3話の第1話目となります。

※見えにくい場合は、画像をタップし拡大してご覧下さい。

1.「早期に何者かになろうとする」風潮に対する認識

1-1.「早期に何者かになろうとする」風潮の存在について

岡山:昨今、早期にスキルを習得し、転職市場での市場価値を上げたり、早期に人生のビジョンを持ち、行動を起こしたりして、早期に何者かになることを求めるような風潮があると私は感じています。「早期に何者かになろうとする」風潮は存在すると思いますか
 
黒澤伶(以下、黒澤):私は何者かにならないといけないという風潮は2010年代からあると感じています。
 
岡山:キャリアを考えた時に、スキルがないと、将来稼げないのではないかと心配している人は多くいると思います。例えば、大学では医療系など資格を取れる学部の人気が高く、就職活動でも公務員の人気が高いのが最近の若者の傾向かと思います。
 
黒澤:そうですね。全体的な傾向として、「手に職を」や「安定さ」を重要視する人は多いかと思います。

2020年のトヨタ自動車の終身雇用の限界論からも分かる通り、大企業神話はもうないのは一目瞭然ですが、それでもなお、企業の箔に乗っかるような安定さを求めている人は多いのではないでしょうか。それは、大きく2つの影響からきていると感じます。

就職活動という側面と市場価値という側面です。昨今の就職活動はテンプレート化しており、面接官から「3年後の弊社でのキャリアパスはどうですか?」とよく聞かれます。

正直、学生にこれを聞いても、本人たちは安易なビジョンを語るだけで、そこにはあまり意志もないように感じてしまいます。もっと言うと、企業の面接官たちは答えられるのでしょうか(笑)。

当然答えられる人事の方々もいるでしょうが、そんなにキャリア自律している人ばかりではないかと思います。
 
市場価値という側面では、例えば、現在、就職先人気ランキングで最上位の外資系コンサルティング会社など、一般的に稼げて、潰しがきく職種や様々な経済メディアやニュースからでもAIの影響で陳腐化する職種などが話題になっています。
 
このように、会社や社会がキャリアビジョンについて考えることを迫ってきています。考えるきっかけを与えることはプラスだと思う一方で、あまりにも煽りとしての機能が強すぎるのではないかと感じます。

しっかりと自分に軸があり、多少は、影響されたとしても、グラグラしない地力があれば良いかと思いますが、そうではないかと思います。

安易な問いに安易な答えを出してしまっているのが悪い風潮としてあるのではないかと感じています。 

ITSUDATSU社代表取締役 黒澤伶氏

1-2. 成功の定義とは何か

岡山:早期に何者かになろうとする風潮の裏には成功しなければという思いがあると考えられます。昭和の頃の成功と言えば、会社で管理職に出世して年収1000万円になるとか、結婚して、車を買って、家を買って・・・みたいなイメージですが、令和の成功の定義はどうでしょうか
 
竹内直人(以下、竹内):成功という言葉はよく分からないですね。多くの方が言われている成功は、どこで区切るか、その区切った時間までの状態でしかないと思います。

かつてサポートさせていただいた社長さんから、業績は上がり、欲しい人材は採用でき、こんなに理想の会社ができるとは思いませんでしたと言われたことがあります。

確かに、その時点で区切るとその会社は成功ということでしょうか。しかし、その会社は翌年には深刻な問題が起きてしまいました。とすると、この時点では成功ではないですね。

つまり、成功した時点で人生が終わりとなれば、成功かも知れませんが、人生はそんなことはありません。

また、成功や失敗はその人の解釈に過ぎず、人によって成功の定義は様々ですから、私は成功という言葉には馴染まないです。もちろん、昭和の頃は目に見えて分かりやすいものを成功と唱えていたというのはありますが。

ITSUDATSU社顧問•アドバイザー 竹内直人氏

岡山:たしかにどのタイミングで区切るかという点では、成功を定義づけるのは困難ですね。一方で、年齢と成功が絡まっているようにも思えます。例えば、35歳転職限界説のように、何歳までにこのスキルを身に付けて市場価値を高めなくてはという風潮や、正社員というレールから離れると、非正規雇用にしか戻れないという恐怖感が社会にあると思います。
 
竹内:かつては会社が社員を守ってくれて、なんだかんだ言ってそれなりの生活を送れました。就職というよりも就社と言う方が実態に近かったと思います。

一方で、昨今は大企業に入社したとしても、倒産しないかどうかは分かりません。私がコーチングを始めた27年前は人生経営という言葉をよく申しておりました。会社はどうなるか分からないから、自分の人生は自分で考えようと啓蒙しておりました。

最近の方は昭和の頃よりは人生のことを考えるようになったと思いますが、インターネットの発達によって、他人の成功を見て、意思決定するなどの安易な考えが増えてきたように感じます。

黒澤:一般的には、経済的な意味での成功はあると思います。また、SNSのフォロワー数など社会的影響力の大きさや、精神的な幸福というのもあると思います。

ウェルビーイングやマインドフルネス(この瞬間に集中すること)という考え方が広まってきてから、心の安寧のような精神的なものと、物質的なものを両立することが成功の定義になってきたと感じます。

自分の真本音に基づいて自分の送りたい1日を丁寧に生きることが本当の成功なのかもしれません。そもそも成功の定義は一人ひとり違うものだし、十人十色であって然るべきかなと思います。
 
会社員時代は、結果が出なければ自分は無価値であると思い込んでいました。しかし、今は気付けば、プロセス思考になりました。

どういう道でどういう仲間とどうやっていくかも自由で、一瞬一瞬を大切にしようと思っており、それが私にとっての成功の定義となるかもしれないです。
 
岡山:お二人のお話を伺う中で、成功の定義付けは難しく、そこに至るプロセスが重要であることが印象的でした。一方で、物事を短距離走で捉える人と長距離走で捉える人がいると思います。例えば、株式投資では短期間で一気に当てたい人もいれば、長期投資でコツコツ増やしていきたい人もいます。両者はリスク許容度が違うのですが、リスク許容度と真本音は関係があるのでしょうか
 
竹内:そもそも真本音で目標設定がされていれば、リスクを背負ってでも突き進みます。

目標には期限があることが多いですが、真本音で決まった目標に対しては、短距離走であっても、リスクを理解した上で、突き進んでいるように見受けられます。

一方で、反応本音で突き動かされている人はリスクに蓋をして、突き動かされている傾向があると感じています。


次回の第2話は、『「早期に何者かになろうとする」風潮はなぜ生まれたのか』について詳しく説明します。

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