遠距離恋愛の星

こんばんは、要小飴と申します。

今日は7月7日。七夕ですね。一年に一度の日というのに、あいにくの天気。雨だと天の川の水かさが増して、二人の逢瀬もかなわないと言われています。遠距離恋愛をする星たち、織姫と彦星。

さて、七夕のお話は、その起源含めて諸説ありますが、子供に聞かせるような一般的だと思われるお話を。

天の神様の娘の織姫は機織りが得意で、いつも一生懸命に機織りでみんなの着物になる布を織っていました。そんな織姫の結婚相手に選ばれたのは、こちらもいつも真面目に仕事をしている牛飼いの彦星でした。結婚した二人はとても仲良しの夫婦になりましたが、一緒に過ごす時間を大事にしすぎて二人は働かなくなってしまいました。これに怒った天の神様は、二人の間に星の川を流し、二人を離ればなれにしまいました。会えなくなってしまった二人は、大変嘆き悲しみ、ますます仕事が手につきません。織姫もずっと泣き明かしています。そこで、天の神様は一年に一度、7月7日にだけ、二人を会わせることを約束しました。すると、二人はその日が来るのを楽しみに、また一生懸命に、真面目に、仕事をするようになりました。

会いたい人に会えないということがどれほど辛いかは、ついこの前までの私たちと同じで、痛いほどよくわかりますが、それにしても、なんとも人っぽいお話だと思いませんか。

まず、結婚してから二人の時間が楽しすぎて仕事をしなくなるなんて、聞いていてこちらが恥ずかしくなるくらいのラブラブっぷり。でも、本当に大好きで一緒にいると気の流れが整う、みたいな相手だったら、ずっと二人きりで、お互いのことを考えながら過ごすというのは、もう幸せの絶頂でしょうね。各所に迷惑をかけそうだけれど。

そして、迷惑をかけた結果、わりと過度なお仕置きを受けるという。遠距離恋愛と書いたけれども、恋人同士ではなく夫婦として一つ形を築いた二人なのに引き離されるわけですから。二人で生活を改めろ、ではなく、お前らもう離れておけ、ですからね。最終手段感がありますよね。でも、それくらいしなければ、愛する人の存在は時にはそれほど、人の心を占めてしまうもの。お互いの魅力に惑わされている二人の目を覚まさせることは出来ないと思ったのでしょうね。誰が思ったのでしょう。天の神様が思った、ということはつまり、このお話を作った人もそう思ったということでしょうね。

そして、この最終手段を取った結果、更生するかと思いきや、病んで仕事をしなくなる逆効果しか生まない。神様は頭を抱えたでしょうね。理不尽なお仕置きは、思考を奪い取り再起不能にするだけというのは、よくあることです。意味がありません。

そこで、ちょっとだけの温情、譲歩とも言える年に一回の逢瀬。いやいや、それで納得するんじゃないよ、お二方。これから真面目に働きますので、二人の暮らしを返してください、せめてお試しで一ヶ月私たちの様子を見てみてください、って食い下がらなきゃ。とはいえ、一度決まったことが覆らないとか、自分の力ではどうすることも出来ない理不尽な状況とかは生きていて少なからずあるものです。それを人は生きている間に何度か経験します。このお話を作った人も経験したのかもしれません、今年の私たちのように。

そうしたら、「離ればなれにされて年に一度しか会えない」という最悪な状態を「離ればなれにされている」「けれど、年に一度会うことが出来る」と分解して、良い状態の方をより見やすくしてあげた方が人は生きていける。なんてささやかな幸せ。涙ぐましくもたくましい方向転換。

(天の神様の気持ちもわかる気がします。「これをやりなさい!」と言ったところを、本人たちが何も好転していないのに撤回出来ませんよね。わかります。少しの間我慢くらべをして、もうどうにもならなかったから、ちょっと動きやすいように手を差し伸べてあげたんですよね。大事なのは懲らしめることじゃなくて、本人たちが変わること。変わった実績というものを本人たちの中に持たせること。)

引っ込みがつかなくなった天の神様、もうそろそろ二人を許してやってもいいんじゃないですか。二人は川の東側と西側でそれぞれ真面目に働いているんでしょう?


え?

また二人を一緒にしたら、また仕事を怠けるかもしれない?

一緒になってから仕事を怠けない保証がない?



確かに。

それもそうなんですよね。ちょっと何か負のプレッシャーとか、賭するものがあったほうが、力を発揮できたりします。特にやりたいことではなくて、やらなければならないことに対しては。

なんだか、ままならん。

空の上でも、心を持つ者は悩んだり間違ったり怒られたりするのだなぁと思うと、親近感が湧きますね。

でも、一年に一度の逢瀬で、ずっと愛し合える関係って、なんていうか、本当に理想的な遠距離恋愛ですよね。(遠距離恋愛が理想、ではなく、遠距離恋愛の中では理想なカップルということですが)

どんなところでも、どんな状況でも、「一番幸せになれる思考パターン」を手に入れた者だけが幸せになれるのかもしれません。毎日会っていても、嫌いあう人たちもいます。

そういう意味でも遠距離恋愛の星ですね。


さあ、今年の七夕、皆さんはどう過ごしましたか。私たちも織姫と彦星のように、会えないことを嘆くよりも、会えたときの喜びを大切にしたいものです。

きっといつかは会えるはず。

それでは、今日はこのへんで。

要小飴

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いつも見守ってくださってありがとうございます! これからも表現活動、創作活動に勤しんでまいります。 要🍬 小飴